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13/1,000冊目 「恋は盲目」ということばが生まれた → ウィリアム・シェイクスピア(著)『ヴェニスの商人』
読んだ1,000冊を紹介しています
3年と数百万円かけて1,000冊読んでみました。
シェイクスピアの戯曲はぜんぶで37つある
シェイクスピアの戯曲は全部で37つあります。こちらの記事で一覧を設けています。
『ヴェニスの商人』(The Merchant of Venice)
登場人物
アントーニオ (Antonio) :貿易商人。正義感が強く情に厚い。
バサーニオ (Bassanio) : アントーニオの親友。高等遊民。ポーシャと結婚する。
グラシアーノ (Gratiano) : アントーニオとバサーニオの友人。ネリッサと結婚する。
サラリーノ (Salarino)、ソラーニオ (Solanio)、サレーリオ (Salerio)、サラーニオ (Salanio) : アントーニオとバサーニオの仲間。
ポーシャ(Portia): 莫大な財産を相続した美貌の貴婦人。
ネリッサ (Nerissa) : ポーシャの女中。
シャイロック (Shylock) : ユダヤ人。強欲な高利貸し。
ジェシカ(Jessica):シャイロックの娘。
ロレンゾ (Lorenzo):ジェシカの婚約者。
テューバル (Tubal):シャイロックの友人。
ランスロット (Launcelot):シャイロックの召使。道化役。
ドージェ (Duke of Venice) : ヴェニスの元首。裁判長。
モロッコ公 (Prince of Morocco)、アラゴン公 (Prince of Arragon) : ポーシャに求婚する貴族。
内容は、超ざっくりまとめると「友だちバサーニオーに頼まれてお金を貸したいヴェニスの商人、アントーニオー。しかしちょうどタイミング悪く金がないので、致し方なく利子をつけて金を貸す(利子はあたりまえだけど、キリスト教徒的には、「はしたない!」と思っている)ユダヤ人のシャイロックに金を借りて、それをバサーニオーに貸す。バサーニオーはその金をつかって、金持ちで美人のポーシャに求婚にいく(そしてうまくいく)。返せるあてがあったのに、アントーニオーは金を返せない。アントーニオーは、ユダヤ人のシャイロックを以前からずっと馬鹿にしていた。それをずっと恨みに思っていたシャイロックは、借金が返せなかったら、アントーニオーの肉を1ポンド差し出せと証文を書かせていました。果たして返せなくなったアントーニオー。アントーニオーに金を借りていたバサーニオーは結婚できて巨額のお金を手に入れて、アントーニオーを救おうとするも……」という内容。
そもそもアントーニオーがユダヤ人のシャイロックをいじめすぎ問題
ユダヤ人のシャイロックが意地悪な証文を書かせるまえから、アントーニオーがシャイロックにつばを吐きかけたり、犬呼ばわりしてきているし、金を借りたって返したらまたやるかもしれないとか言っている。
そもそもアントーニオーがユダヤ人のシャイロックを差別し、虐げていることがいけない
このあたりは、シェイクスピアの時代のイングランド王国はユダヤ人を締め出していたので、シェイクスピア本人はたぶんユダヤ人を見たことがない状態だったことなども大きく関係しています。身の回りにいない悪名高いユダヤ人。それを悪役に、それもキャラクターの深い悪役にする、そういう算段があっての差別。しかも、よく読んでいるとシャイロックにも言い分がけっこうある。勧善懲悪に見えて、そうは描いていないところが面白い。
「恋は盲目」
『ヴェニスの商人』(英語では、The Merchant of Venice)は、複数のエピソードがからみあっています。そのうちのひとつが、シャイロックの娘、ジェシカの駆け落ち。このジェシカが家から抜け出すときにこんなセリフを吐きます。
“でも、恋はめくら、恋するものには見えないのね、自分たちのやっている結構ばかげたことが。”
これが、「恋は盲目」という言葉の誕生したところです。こんなふうに名言がいっぱい。もう一回読んで記録しようかと思っています。うちひとつを紹介したいです。
“世にむきだしの悪というものはない、かならず大義名分を表に立てているもの”
すごくないです?エピグラフに使いたい!そんなわけでもう一回読んでみます。いやーシェイクスピアはおもしろいです。
この本で得たもの
(1)読んだ充実感
(2)ヴェニスに行きたいなーという動機