うつ病と『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方』の話。
ここ数日、すっかり秋も深まって、もはや寒いですね。
日暮れも日に日に早くなり、
「あぁ、もう一日が終わる…」
と、物寂しい気持ちが強くなるこの季節。
私は結構、苦手です。
日が昇る前から出勤して、帰路に就く頃にはすっかり真っ暗。
会議やら打ち合わせやらに追われてバタバタして、
日の光をまともに浴びることもなく、会社の建屋の中でひたすらに過ごしていた、うつ病になるまでの苦しい時期を思い出すからです。
私がうつ病を患ったのは、今から約5年前。
新卒で入社した会社で、営業からマーケティング部門に異動した頃の話です。
私のうつ病の話。
入社理由でもあった「モノづくりがしたい」という念願が叶う異動。
内示をもらった時はものすごく嬉しかったことを今でも覚えています。
入社から5年目を迎える頃でしたが、
新人に戻ったつもりで、一から仕事を覚えるぞと息巻いていました。
今振り返ると、少し前のめりすぎたかもしれません。
着任してからしばらくは、“新任者”としてお客様扱いをしてもらえる時期。
部門全体での歓迎パーティがあったり、チームでの歓迎会があったり。
早くチームの人たちと打ち解けたくて、自分からも積極的に話しかけたりして、仕事以外にも、“人”として馴染めるように頑張っていました。
そんなお客様扱いの時期もつかの間、前任者からの引継ぎも終えて、
本腰を入れてマーケターとしての業務フェーズに移行。
右も左もわからないながら、
日々の業務に翻弄される中で感じ始めた違和感。
「適当な仕事すんなよ」
同じチームの先輩社員の隣で報告資料を作っているときに聞こえてきた声。
一瞬、誰に言っているのかわかりませんでした。
えっ?と思い隣を見ると、私の方を向いているその人。
「あ、私に言ってたんだ」と気づき、すごくショックでした。
私の会社はプレゼン文化が根付いていて、
資料の作り方も独特な作法というか、
理想とされる資料の形式が出来上がっています。
私も、営業時代に提案資料や報告資料は作ってきたので、
全く初めてではありません。
ただ、その人、その部署で望まれる資料の形、そして内容ではなかったのでしょう。
「厳しいことを言って叱咤激励するタイプの人なのかもしれない」
そう思うようにして、どう改善したらいいか教えてもらうことでその場は終わりました。
ただ、その後も取引先との接待の場で
「会議で発言しないのは給料泥棒だ」と言われたり、
「なるはやで」というあいまいな指示で仕事を言い渡され、
「具体的にいつまでですか」「今この仕事をしていますが、どちらを優先したらいいですか」という確認に対しても、「こっちをなるはやで」と具体性のない返答。
「言ってる意味わかる?」と馬鹿にした口調で呆れた顔をされる日々。
一番ショックを受けたのは、進捗が遅れている業務を一緒に進めていた後輩社員(その先輩社員とは数年一緒にバディを組んできた人でしたが)に対して、仕事の遅さに癇癪を起したのか、机の下で足蹴りする素振り見せたこと。
実際には当たっていなかったように覚えていますが、
それにしてもそんな暴行まがいの行動を普通しますか。
そんなことが許されるんでしょうか。
こんな粗暴な人が自分の会社にいるなんて。
これまでの人生でも一度も出会ったことのない人種で、
驚くということを超えて、心底怖かったです。
ただ当時私は、そうした先輩社員からの暴言も厳しい態度も、
「私の頑張りが足りないからだ」
「もっともっと頑張らないといけないんだ」と、
自分の努力、頑張りがひたすらに足りないからだと思い込んでいました。
いつもいつも疲れきっていて、
睡眠時間が足りなくて集中力も保てなくて、
チームでお昼を食べるときには手の震えが治まらなくて、
会社の行き帰りの道中、いつも地面しか見ていなくて。
ホームドアのない最寄り駅で、
「ここで線路に落ちたらどうなるんだろう」
なんて想像をするようになったころ、
ある朝、ベッドから起き上がれなくなりました。
今でこそ、うつ病になるほど追い込まれるとベッドから起き上がれなくなるという話を耳にしますが、まさか自分がそうなるとは予想だにしていませんでした。
もう無理。行けない。行きたくない。
心が悲鳴を上げていました。
人生で初めて、頭も身体も置き去りにして、
「心が叫んでいる」ということを経験しました。
その後、会社のカウンセラーに相談し、間髪入れず精神科へ。
うつ病の診断でした。
まさか自分が…。
うつ病の診断を得て、「やっぱりそうだったか」と安心したのと同時に、
「うつ病になってしまったのか」とショックを受けたことを覚えています。
これが、私がうつ病になった経緯です。
ここまでかなり長いですね笑
書きながら、ここまで読んでくれる人がいたらめちゃくちゃ感謝!と思っています。
復職するまでの話は、また次回にしたいと思います。
さて、ここからはお勧めしたい書籍1冊目を書きたいと思います。
(ここまでが長すぎる!)
おすすめしたい本の話。
『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』 八木仁平著 株式会社KADOKAWA
この本は、現在2回目の休職中の「今」の私が読んでとても参考になった本で、この記事の前半部分でまとめていた、うつ病だったころの自分はまだ出会っていない内容です。
こちらの本のおすすめなところは、「やりたいこと」というものを
1. 好きなこと
2. 得意なこと
3. 大事なこと
という3つの要素に分解し、
それぞれを掛け合わせることで見えてくるもの、と定義している点です。
私も同じ会社で2回も休職する事態に陥ると、
「私のやりたいことって何なんだっけ。やりたいことを仕事にしたいな」と思うようになりました。
でも、やりたいことってなに?
全く漠然として、何をどうすればいいかわかりませんでした。
それに、「好き」を仕事にするとそれが「嫌い」になるということも耳にします。
何が正解なのだろう…。
そんな時にこちらの本に出会い、まさに目からうろこ。
何より、読者である私と同じ目線でわかりやすい言葉でまとまっている。
「こんな風に考えていませんか?」という事例が、
いちいち自分に当てはまること笑
詳細な内容は本書でぜひ読んでいただきたいと思いますが、
私にとってとても腑に落ちた言葉をいくつかご紹介します。
(以下、本書より抜粋)
●「『やりたいこと』を続ければ仕事になる!」という人もいますが、それ は間違いです。誰にどう届けるかをしっかり考えた上でないと、どれだけやりたいことを続けたとしても、永遠に自己満足のままです。自分と他人、どちらも「飽きない」のが、いい仕事の条件ということです。
ではどうすれば、そんな仕事を作ることができるのか?
その時に一番重要なのが「大事なこと(価値観)」です。
「自分がこう生きたい!」という自分の人生の目的と、「人にこんな影響を与えたい!」という仕事の目的、これが1本の線で繋がっている時に仕事に夢中になることができます。その中心になるのが「大事なこと(価値観)」です。」
●「得意なこと=成果を出すために使える無意識な思考・感情・行動パターン」「「得意なこと」は、自分にとっては「無意識」であることがポイントです。」
●「好きなこと=興味・好奇心を感じる分野」
「『好きなこと』という分野で仕事を選んでしまい、その仕事で具体的に何をするかを考えずに選んでしまうと大抵失敗してしまいます。」
「大事なのはその分野で、自分がどんなことをやっている時に楽しいのかという「得意なこと」もセットで考えることです。」
●「仕事にすべき好きなこと」と、「仕事にしてはいけない好きなこと」の違い
「「役に立つから好きなこと」は仕事にしてはいけません。「興味があるから好きなこと」を仕事にしてください。」
この本の中では、上記の「好きなこと」「得意なこと」「大事なこと」を整理し、見つけるためのワークや質問もたっぷり収録されています。
さらには、著者である八木仁平さんのYou Tubeチャンネルもあることを最近知りました。
私と同じように悩み、苦しむ人が八木さんとのカウンセリングを通じて
「やりたいこと」を見つけるヒントや、これまでの凝り固まった考え方などにメスを入れられる様子がたくさん投稿されています。
その相談の様子を見ながら、
あたかも自分自身が八木さんとカウンセリングを受けているかのような気分でもう一度ワークをすると、見えなかったものが見えてきたりして、
動画も一緒に活用するとさらに効果がありそうだなと感じます。
ただ、あまりにいろいろな人の事例を見ていると、
だんだん八木さんの思考・思想に洗脳されてくるような気分になるのもまた事実笑
あまりのめりこみすぎず、
時に客観的に自分の考えや自分自身すらも俯瞰して、
適度な距離感を保つことが大切かもな~とちょっと感じます。
もし、今後の人生で自分の「やりたいこと」を軸に生きていきたいなと思う方がいたら、ぜひ一度読んでみることをおすすめしたいです。