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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
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2023年1月の記事一覧

プチDAYS 「縁結びの神様! ありがとう」

「4年ぶりですか? アリとマットとやったブルーノートでお会いして以来ですよね?」 「そうかもしれない。あのときチケット買ってくれて楽屋に顔だしてくれたんだったよね」 懐かしい友、常(つね)と酌み交わし互いに頷きあった。 N Yへ帰る最終日の仕事が終わるのが4時半。夜はパッキングがあるので一応空けておいたのだが、ふと、もしかして常が空いてたらほんの少しでも会えるかなと思い勇気を出してメッセンジャーしたのだった。 仕事の話、奥さんの健康の話など聞きたいことは山ほどあって、

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プチDAYS「キャッシュを呼ぶ男の大冒険」

「お兄ちゃん、今回はマジでもう帰ってけえへんの?」 妹に突っ込まれ返す言葉がなかった。1月7日に芦屋ルナホールでソロピアノコンサートを終えて1月16日のチャリティコンサートまで日本に滞在するので、実家にいっぱい帰って父が亡くなった後の色々をやろうねと妹と相談していたのだ。 それが「Senriさん、取材を2本ほどこの日に頂けますか?」「京都へ一泊旅行しませんか?」「急ですがラジオ収録をよろしくお願いします」などありがたいお誘いを次々いただき、スケジュールに余裕で「はいよ!」

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プチDAYS「覚えてる? あのホームルーム」

62歳になって何が変わったといえば行動が鈍くなったということである。物事を考え込む傾向が増えて、じっくりやっていると気がつくと時間に押されていつも放課後である。 「Senri、日本へ帰るまでにクリスマスツリーを片さないと大変なことになるよ。引火して火事にでもなったらどうするんだい?」 部屋に遊びに来たマーレーの奥さんが言った。いろんな人に言われてもやろうやろうと思いつつ「もう少し後でも。だってこんなに綺麗なんだから」と思って先延ばしにしていたら、もう旅立つ前日だった。

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特別寄稿「紅白歌合戦を観ながら」

「紅白歌合戦、私のPCで観れますよ!ご覧になります?」 今回の年末年始我が家に来てるKayがYou Tubeで「ユーミンがAIと一緒に歌ったってる動画が見たい」と探す僕にそう誘い水をかける。 人の出入りの多いお正月は楽しいものだ。何年ぶりだろう。 始まりはブルーノートを終えてN Yに戻った時だ。いろいろあった一年だからこそ、感謝を込めオープンで「短いライブ配信」をやろうと思い立つ。 暮れの忙しいカウントダウンなので観てくれる人も少ないかもしれないし、コッソリでいいやと直

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