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認知症が悪化する原因は関係性障害



1.認知症の悩み

先日、イオンモール品川で『親にイライラしない介護コミュニケーション』のセミナーと相談会を行いましたが、ほとんどの人が認知症のことで悩まれていました。とくに「あんた、私の財布とったやろ」みたいな‟物取られ妄想”が多いですよねと言うと、「そうそう!それなんです!」とおっしゃっていました。

そうでなくても介護で起こる問題や、介護する人のストレスになっている原因ほとんどは、意思疎通が上手くいかない=コミュニケーションではないでしょうか。コミュニケーションがスムーズにいけば、繰り返し同じことを伝える必要もなく物事がスムーズに進みます。一つ一つ納得するまで事細かに説明しなくていいので、時間との戦いもマシになるだろうと思います。

認知症の方はわりと身体的には動けることが多いので、納得できなければ自分の判断で行動してしまうし、なかなか従ってくれないので、介護する人の根気の良さも限界になってきますね。では、認知症になると何故そんなふうになってしまうのでしょうか。



2.認知症は短期記憶性障害

認知症でよくあるのは物取られ妄想のほか、夕方になると急に「そろそろ家に帰らせてもらいますわ」と言い出したり、さっき病院から帰ってきたばかりなのに「全然病院に連れていってくれない」と言い出したり、「え?さっきご飯食べたん?」など。本人は真面目に話すので、第三者的に見ればちょっと笑えることもあるのですが、それが毎日毎日、1時間おき、10分おきに繰り返されると介護する方は疲弊していくのも当然です。

認知症の症状は、脳内の『海馬』という部分から大脳新皮質の萎縮が起こり、記憶力や実行機能などの認知機能がゆっくりと低下していく病気です。通常、今日経験したことなどの情報は、この海馬という短期記憶の場所に保管されます。そして眠っている間(眼球が動く浅い眠り、夢を見ているとき=REM睡眠)に大脳新皮質の長期記憶領域へと格納されていきます。

短期記憶の領域に機能低下が起こるため、認知症は今さっき行なったことや、つい10分前に話したことを忘れてしまうのです。また、この海馬と偏桃体は感情を生成する部分でもあるため、認知症は感情失禁(急に怒ったり怒鳴ったり、うつ状態になったり、能面のように表情がなくなったり)も起こりやすくなります。

以前、100歳の男性の訪問看護に行っていたとき、週2回、足腰のトレーニングを兼ねて近所の神社にお参りすることを日課にしていました。神社に行くときは正装しなければならないという認識が強くあり、必ずジャケットを着て出かけました。その辺りのことはしっかりされているのですが、道中では戦時中にシベリアでオオカミを食べたという話を10分毎に繰り返しお話するおじいちゃまでした。

昔の話はよく覚えていて流暢に話すのに、今さっき話したばかりのことを忘れたり、今さっき摂ったばかりの食事を忘れてしまうのは、短期記憶を司る海馬が委縮していることにあるんですね。



3.認知症の新薬

アルツハイマー病治療薬「レカネマブ」が2023年12月から保険適用になりました。対象は早期発見の軽度認知症のようです。レカネマブは脳内全体の神経細胞に毒性をもたらすアミロイドを阻害するという作用機序がありますが、脳浮腫や脳微出血などの副作用もあります。

18ヶ月間2週間に1回点滴で投与し、進行抑制効果を目的とする薬剤と言われています。体重50kgの人の投与で約450万円かかり高額医療費の対象ですが、公的医療制度として企業、地方自治体費用、国の税金から支出されます。費用対効果は、健康な生活が0.91年延長すると推測されています。



4.認知症は関係性障害

尼崎の長尾和宏医師をご存知でしょうか?
阪神大震災をきっかけに、地域医療の必要性を実感してクリニックを開業。在宅医療のオピニオンリーダー的な存在であり、生活習慣病やがんの早期発見、認知症等の高齢者医療、終末期医療においても過剰な延命治療を施さず自然な死の受け入れを尊重されています。コロナ禍以降ワクチンの副作用についても発信しており、この先生に診てもらいたいと言う人がとても多い真摯なドクターです。

その長尾先生が『認知症は関係性障害である』とおっしゃっています。
たとえば認知症の初期症状が始まったとき、周りは危険を案じてさまざまな指示をするようになります。時にその言い方が強くなることもあります。意思疎通が上手くいかないことに対する苛立ちや、子供が持つ親のイメージと解離していくことへの不安から来るものだと思います。

そうした子供の親に対する態度、お嫁さんの姑や舅に対する態度などが、初めは本人の自尊心を傷つけていきます。ご本人も自分が辻褄の合わない話をしていることや、記憶にない行動をしていることに対し不安になっている上に、そうして身近な人から若干見下されているような感覚を持ちます。それが増々不安を助長し、症状が悪化していく…ということを伝えていらっしゃいます。

動画をご紹介します。
  ↓
意外と知られていない、認知症が悪化する本当の原因を在宅医療の専門家がお話しします【元長尾クリニック院長 長尾和宏医師】



5.認知症コミュニケーション

これは看護師としての私自身の経験で感じていることですが、認知症の根底には‟恐怖心”があると思います。険しい表情をしていることが多くありませんか?そして‟目の奥”を覗いてみてください。私も多くの認知症の方に関わってきましたが、どの方も目の奥に強い恐怖や不安があるように見えます。

それはもしかしたら‟不甲斐ない自分”への不安と、‟このまま人生が終わってしまうこと”への恐怖が現れているのかもしれません。

人は誰しも、何歳になっても、たとえ認知症であっても、生きているかぎり人との間に‟心の温もり”を求めているのだろうと思います。ということは、介護する人も不安を抱えていたら逆効果ですね、とくに親子は以心伝心しやすいものです。

今を勘違いしてしまっているのを責めるより、昔の話を聞いてあげたらいかがでしょう?私たちは親のことを知っているようで知らないのではないでしょうか。自分たちが生まれる前に親がどんな経験をしてきたのか?そのとき何を感じたのか?話を聞いてあげることは、その人生を肯定することにつながっていくのではないでしょうか。



認知症は脳内の情報処理能力に障害が起こることから、視覚や聴覚の異常が起こり、私たちには理解し難い幻視や幻覚が現れることもあります。なぜそこまで抵抗するの?!と思ったときは、そういう可能性も考えてみるといいかもしれません。

イオンモール品川シーサイド店に常設している【シニアケアMySCUE】では、VRで認知症を体験したり、脳年齢を調べることができる最新機器があります。私自身、「え~!そんなん恐いわ~」と思いましたが、実年齢よりマイナス18歳でした(笑)ほんまかいな?と思いましたが、イオンの担当者さんは実年齢プラス10歳だったらしく。ネタづくりかもしれませんが(笑)

よかったら覗きにいらしてくださいね。

お知らせ

|★||10月20日(日)イオンモール品川シーサイド店
MySCUEにて「認知症コミュニケーション」
セミナー&相談会を行います
担当:山川さちえ


|★||11月17日(日)イオンモール品川シーサイド店
MySCUEにて「更年期のこころと体の変化」
セミナー&相談会を行います
担当:福井三賀子


|★||12月15日(日)イオンモール品川シーサイド店
MySCUEにて「親の看取りの心構え」
セミナー&相談会を行います
担当:せのようこ


イオンモール品川店のセミナーは予約できます
MySCUEサイトよりご登録ください


|★||11月2~4日(土日月)イオンモール熱田(名古屋)
MySCUEにて「心の介護相談」ブースを出展します
担当:山川さちえ、福井三賀子、せのようこ、郷堀有里夏、大竹加代子

予約なしでも参加できます。
ご来店お待ちしていますヽ(^。^)ノ



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