「見通しの良い生活」への道:生活マンダラ図と図解<その3>
生活マンダラ図をテーマにした3回目です。なんだか、生活思創の図解作法講座みたいになっている気がするけど、個人ラボなので良しとしましょう。今回は、思い切って、「生活思創での図解の図解」ってことにします。通称、メタ図解w
まあ、一度やってみたかったことをここで押し込んでみます。
かなり、マニアックなのでご留意ください〜
娘「図解って挿絵みたいなものなのかな?」
父「近いかな」
娘「父は挿絵画家みたいなものだね」
父「挿絵画家かあ、絵じゃなくて図だから、挿図画家だね。音がさしずだと、指図する人みたいになって、ちょっと避けたいな。他に何かいいネーミングはないですか?」
娘「じゃあ、トーチャンは文章も書いているから、図解作家はどう?」
父「確かに、そのあたりな存在だとは思うけど、作家はプロっぽ過ぎて小っ恥ずかしいです」
娘「図解屋とか、図解師とか?」
父「図解屋は屋号か、『いよっ、図解屋!』なんてね。図解師って陰陽師みたいで九字を切るところは似てるか。でも、オイラは粋でもないし霊験もないし・・・」
娘「トーチャンは、いろいろ注文が多いよ」
父「すんません、一言多いいのが性分なんで・・・。おお、そうだ、じゃあ、図解居士(ずかいこじ)なんてどうだろう?」
娘「何その居士(こじ)って」
父「一言居士(いちげんこじ)っていうのがあってさ、なんでも一言言わないと気が済まない人っていう意味なんだよ。 で、なんでも図解にしないと気が済まない人ってことでさ」
娘「いつも、一言以上言っとるよ」
◼️生活思創での図解の分類
生活思創でのチャートが溜まってきたので、それらから何が拾えるのか?を試考します。
スタートにあたって、チャート(図解と同じ意味ですが、図解は動詞の意味もあります。チャートは名詞のみの使い方です)が、どのように使われているかをフローにしました。
まず、生活思創にはキーチャートが存在します。あるテーマを試考するに際して、中心となる図です。キーチャートの特徴は複数回使ったり、部分的にモチーフとして活用したりするので、全体の話の流れを作る役割があります。生活思創では、毎回のお題ごとにキーチャートを設定します。
そして、キーチャートを加工したり、部分利用したりすることで、一貫した試考を推し進めるようにしてます。与太ってる時も多々ありますが、それは小生の試考力と表現力が弱いせいです。
追記:拙著の中で実際に使われているキーチャート例:砂時計型の図が本の中に何度も登場します。
キーチャートは事前に意図されているパターンと、書いているうちに結果的にキーとなるチャートになっていくパターンがあります。意図してる場合は、中心テーマの旗印のような図形があってアイコン的なチャートになったり、これから一緒に埋めていきましょうという意図のフォーマット的なチャートが該当します。
また、最初は意図してなくても、何回も登場していく結果として、自然にキーチャートになるパターンもあります。また、そこからの派生パターンで加筆や、部分利用していくチャートもあります。キーチャートをベースに変形していくケースです。まあ、これらもキーチャートの一部でもあるので、分類はやや曖昧です。それ以外は1回だけの使用のチャートで終わります。分類上は在庫チャートwになります。
以上が、前段です。
今回の目的は「図解を図解する」ことです。言い換えると、「チャートの役割を整理するチャートを作りたい」ってことなのです。特に、キーチャートね。
ということで、「図解の図解」のための見取り図です。試考していく項目をイメージしてみました。
大きくは文脈表現とコンテンツ展開の2方向に、キーチャート群を分けています。
1)文脈表現は、チャートの連続に意味のある順序、つまり、シークエンスがあるだろう、ってことです。図解だけでなく、複数の図解をどのように組み立てていくと良いのかを試考します。
2)コンテンツ展開は、一枚のチャートの中身です。巷には図解の仕方が多く紹介されてますので、小生がそれと重なるようなことをしてもお役にたてそうもないので、消失点と矢印の2種類の特性のみで、一枚のコンテンツの中身を語ってみます。できるのか?w 硬く言うなら、消失点のタイプ分けは視線誘導。矢印のタイプ分けは視点誘導です。
◼️感情に訴える図解での文脈を考える
まずは、文脈を試考します。前回にもあったように、図解の役割は感情に訴求するものだと見立てております。この感情とは生活思創では「清々しさ」と「穏やかさ」であり、この両方は「見通しの良さ」の心身での反応だと規定しています。
なので、図解が感情的な説得になるなら、他の感情に訴えているカテゴリーから対称性を引き出したらどうなるだろう?、図解の文脈役割らしきものが語れるだろう、と想定しましょう。
「対称の対象テーマ」になりそうなジャンルを生成AIに出してもらいました。
音楽、文学、映画、美術といった芸術系が出揃ってきました。まあ、主題と派生ってなれば、あまり、カチッとした論理展開からは程遠いことは間違いないので、当然と言えば当然な選出です。
さて、この4つ全てに対称性を組むのは大変なので、一つに絞り込みます。この中でも、音楽のソナタ形式が最もポピュラーな用語です。18世紀ぐらいからあるそうなので、そこにはソナタ形式を説明する用語も多いはずです。ならば、対称性からの「図解の文脈」へのヒントも多いと類推できます。
ということで、次は音楽のソナタ形式に絞り込んで構成要素を出してもらいました。
生成AIからはソナタ形式の展開を5つの形式に分けています。これを前提に、過去の生活思創での展開パターン(図解のシークエンス)に置き換えてみます。音楽のソナタ形式を地図にして、図解をその上にプロットするわけですな。
あと、そのまま図表を再掲するパターンもあるので、これは「0、反復」にしてみたよ。合計6パターンのシークエンスです。
◼️生活思創で、ソナタ形式の展開事例をあげてみる
それでは、生活思創の手持ちの図解で、1ー5までの事例をアップしてみます。「0:反復」は割愛です。画面上、左側に書いてあるのが主題に該当します。
(1)転調
キーチャートをベースに、加筆を加えて感情的な興味を喚起させます。
※図表は前回の記事から加工
(2)断片化
主題を小さなモチーフとして扱って再構成する
※図表は前々回の記事から加工
(3−1)増大ー縮小形:増大
主題を増大させて、コンテンツにダイナミックな変化を与える
※図表は「生活マントラ」記事から加工
(3−2)増大ー縮小形:縮小
主題を縮小させて、コンテンツにダイナミックな変化を与える
※図表は「生活マントラ」記事から加工
(4)反行形
主題の反対方向へ向くことで、予想を裏切って、感情的な変化を与える
※図表は生活リテラシー「比較」記事から加工
(5)逆行形
主題に逆行する展開で、新しい角度から探求を促す
※図表は前回の記事から加工
まとめてみると図表236のようになりました。
◼️図解コンテンツ展開
さて、後半パートです。今度は音楽のソナタ形式からの対称性を離れて、コンテンツ特性について試考します。せっかく、0−5までの6シークエンス・パターンができたので、そこにコンテンツ展開の特性違いを載せていきましょう。
一枚の図解を特徴立てる共通要素は「目線をどこに持ってくるか?」です。消失点と矢印の2つにフォーカスします。消失点は、見る人の視線を誘導します。矢印は、見る人の視点を誘導します。図解画面ならではなのが、線と点のコンテンツでの効果です。
※消失点と矢印は相補性があります。消失点に意識がいくと矢印は消え、矢印に意識がいくと消失点を感じなくなるからです。
<消失点>
まずは消失点の説明から。
図解の場合、画面全体で起点(何も書いてない場所のことが多い)があって、それが視線の誘導の始まりです。コンテンツの構図を作り、四角い画面をどこかに向かわせている感覚にします。
構図の重心がどこにあるかって、暗黙のうちに伝えることができれば、見る人に「ここが起点で、絵柄全体を見ていくのだな」っていう落ち着かせる気分を与えます。
では、先の図解シークエンスでつかった参考事例に戻って、消失点を探ってみます。どうも、大きくは4つの視線移動、つまり、消失点を変えるパターンがありそうなので、下記にまとめてみました。
・断片化の図内移動:図表231では消失点が「円の中央=画面全体の中央」でしたが、今度は「円と円の間=画面全体の中央」へ移動させています。
・増大・縮小形の遠近移動:図表232では、消失点「菱形の中央=画面全体の中央」は変わらないまま、消失点に向かって寄りの動きをしています。また、図表233では、「3つの像の中央=画面全体の中央」でしたが、縮小することで「3つの像の最下部=画面全体の中央」に消失点が移動します。
・反行形の対称移動:図表234では、「消失点は画面全体の中央」でしたが、対になる対称的な要素が入って「消失点が左右の2つ」になります。緊張感が増します。
・逆行形の図外移動:図表235では、消失点が「黄色い楕円=画面右側の中央」から「黄色い楕円=画面中央」へ移動してます。一方で、最初の画面では、赤色の楕円が図の全体を示していたので、図の中から消失点が飛び出した印象になります。感情的なゆらぎを期待してます。
<矢印>
図解にとって矢印は一つの言語体系みたいなもんですな。一回で仕留めるには幅も奥行きもありそうなので、ここでは先の図解のシークエンスとの関係から限定的に眺めてみます。
まずは、生成AIからの矢印の幅についての説明から
生成AIからは9パターン。大まかに、単純なものから複雑なものへの流れでまとめてますね。要素9個は扱いを持て余す数なので圧縮します。今回は、先の図解シークエンスの順序に沿ってやってみます。 ちなみにこれは、音楽の情緒的演出のためのソナタ形式と、機能的な指示アイコンである矢印の邂逅です。
・直線的変更ベクトルは、キーチャートと同様な単純な指示アイコンとして、(1)転調は矢印の入れか変えによる視点の単純な方向移動になると分類できます。
・相対的変更ベクトルは、相互の関係性を結びつける関係アイコンとして、(2)断片化は「あの視点が、この視点と同じです」という含意がある矢印、(3)増大・縮小は同じ視点でありながらも、遠近による強さ・弱さの強調の矢印になると試考します。矢印が相対的な相違に視点を移動させます。
・動体的変更ベクトルは、複数の要素が変容していく動きのある様子を示す力学アイコン、(4)反行形、(5)逆行形はどちらも意外な展開の画面を落ち着かせる、または、意外な展開を興奮に持っていく、そんな画面に動きを与えてくれる感じです。
※(0)反復は同じものなので矢印は同一。
これらを、図表240にまとめてみました。
冒頭の図表228から図表241まで。キーチャートに関しては、ここまで解像度が上がったことになります。まずは、ソナタ形式を追求した音楽家たちに感謝。
娘「音楽と数学は近いって聞いたことがあるけど、図解もご近所なんだね」
父「図解は美術に近いと思ってたけど、こうやって音楽の理論を引っ張ってきても、それなりに馴染むのが驚きではあるな」
娘「図解も歌を唄うように書け!ってメッセージだったりして」
父「似たやつで、『蝶のように舞い、蜂のように刺す』っていうフレーズがあったな・・・、モハメド・アリだったけ」
娘「いいねえ。『音楽のように流れ、絵画のように見せる』図解なんてどうかな」
父「さすが、小説家希望だね。でも、ハードル上げ過ぎ。トーチャンは図解居士で、よござんす」
今回は、期せずして前回の話の実践例になっております。
下記の再掲図で言うなら、「課題テーマA=図解」、「相関が予想されてないテーマB=ソナタ形式」ってことですね。文脈視点でシークエンスに対称性を持ち込んでみました。でもって、出来上がった図解シークエンスの地図上に、消失点と矢印は相補性で結び目を作ったってことになります。
しかし、濃いな。オイラだけの備忘録だなw
シーズン5はこれで終了。次はシーズン6かあ、どうなるのかなあ・・・。
Go with the flow.
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