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【R06 新用語16問】ITパスポートの難易度を上げた要因

このNoteでは、ITパスポート最新問題(R06)の新用語問題だけを解説しています。


ITパスポートのR06年の公開問題は難易度が上がりましたね。

以前は、かなり流用問題・ジャンルをまとめた問題が多く、復習が楽でした。

しかし最近は、色々なジャンルをゴチャマゼにした選択肢にするなど、姑息に難易度を引き上げる傾向がありました。

問題ごとに学ぶべき量の幅が広くなり、学びがあまりない問題と、不正解の用語の背景も含めて「学びが超多い問題」があります。

今までの過去問題の問題と答えを覚える学習では、「学びが超多い問題」の問題文や選択肢が変わっただけでは太刀打ちできません。


さらに今回のR06はIPAも本気出してきました。

流用問題は、たったの6問。問11 ,17 ,47, 69, 81, 86だけ。しかも完全流用ではありません。

更に2つで難易度を上げてきました。

  1. 新用語を更に積極的に取り込んだ

  2. 解答形式に「組み合わせ」が多くなった 


1点目。

ITパスポートは元々、新用語・流行語を取り込む傾向が強かったです。R06ではさらに新用語が取り込まれました。16問が今まで見たこともない新用語です。


2点目。

R06では以下のような「組み合わせ」解答形式が多くなりました。

適切なものを全て挙げたものはどれか。
a:~なんたら~
b:~なんたら~
c:~なんたら~

ア:a イ:a, b ウ:b, c エ:a, c

R06の円グラフの緑が「組み合わせ」です。13から19に上がっているのが分かります。



このNoteでは、1点目。新用語16問を解説しています。

しかも。

今までの過去問題の問題と答えを覚える学習では、「学びが超多い問題」の問題文や選択肢が変わっただけで太刀打ちできなくなります。各選択肢について深い「芋づる解説」と、補強の無料Noteへのリンクもしています。

ITパスポートの過去/公開問題を「過去問道場」さんでするのは定石です。とはいえ、各選択肢の解説を読むだけでは太刀打ちできなくなってきました。

このNoteでの「芋づる解説」では、各選択肢から派生する知っておくべき知識・学習についても言及しています。

問題と答え・各解説を読むだけの学習の時代は終わりました。これからは、更に深い学習が必要な時代です。

「R06がやたら難しくなったなぁ」「過去問の点数は良いのになかなか合格しない…」と感じている方は、学習が浅い可能性があります。

このNoteには、私のIT専門学校での授業経験・対策授業のノウハウを詰め込んでいます。

一度、学習と理解を深められるか試して頂けると嬉しいです。

それでは始めましょう!


※ご注意ください。このNoteは3部作の予定です。3部作揃った時点で有料マガジンにする予定ですので、お早めにご一読頂くようお願い致します。




新用語16問



問01 | 出そろった営業活動3用語

マーケティングオートメーション(MA)の記述はどれか。
ア:企業内に蓄積された大量のデータを分析して、事業戦略などの意思決定に活用する。
イ:小売りのチェーン店で、レジで会計された瞬間にネットワーク経由で、販売された商品の情報をリアルタイムに収集するシステムである。
ウ:人間が行ってきた定型業務を、ソフトウェアのロボットによって自動化すること。
エ:見込み顧客の抽出・獲得・育成などの営業活動を効率化する。

ITパスポートR06問01より改変

正答はエ。

  • ア:「大量のデータ」「意思決定」よりBI

  • イ:「レジ」「会計」「リアルタイム」「収集」よりPOS

  • ウ:「定型業務」「ソフトウェアのロボット」よりRPA

  • エ:「見込み客」「営業活動の効率化」よりMA


MAが出題され始め、3段階の営業活動が出そろいました。

  1. MA(マーケティングオートメーション)は顧客の嗜好や興味を分析して見込み客の抽出

  2. SFAは、営業活動ITによる最適化

  3. CRMは、顧客との関係を一元管理


RPAは地味に毎回1問は絡んできます。>>RPAの特集Note



問03 | ペア用語と隠れた3用語

未来の目標を起点に現在まで遡って、行動すべきことを洗い出す思考法はどれか。
ア:PoC
イ:PoV
ウ:バックキャスティング
エ:フォアキャスティング

ITパスポートR06問03より改変

正答はウ。

アとイ、ウとエはペア用語です。

  • ア:PoC:新技術による商品が実現可能か検証する

  • イ:PoV:新商品が顧客に価値があるか検証する

  • ウ:バックキャスティング:未来から現在に遡る考え方

  • エ:フォアキャスティング:現在から未来へ向かう考え方


調べると、PoB:ビジネスとして成立するか検証 もあるとのこと。PoC→PoV→PoBです。今後出るかもしれません。

PoCはAI問題で出てきたのをキッカケで常連になりました。他にもDXやFinTechなどもありますね。>>AIブームで出だした新用語Note




問04 | オムニとTechシリーズ

金融システムにITをと取り込み、革新的なサービスを提供していく考えはどれか。
ア:オムニチャネル
イ:フィンテック(FinTech)
ウ:ブロックチェーン
エ:ワントゥワンマーケティング

ITパスポートR06問04より改変

正答はイ。

  • ア:オムニチャネル:顧客への販路を多くもつこと

  • イ:FinTech金融ITによる革新的なサービス

  • ウ:ブロックチェーン:ハッシュ値による取引の分散台帳NFTや仮想通貨の基礎技術

  • エ:ワントゥワンマーケティング:顧客1人1人に合わせた販売戦略


アのオムニチャネルが新用語です。オムニは全てをいう意味があります。オムニホイールとググって動画を見てください。あらゆる方向に移動できる不思議な車輪ですよ。


FinTechは、「~Tech」と造語がたくさんできてきています。ITパスポートでは出てきますが、英語で頑張る方が学習コスパが良いです。

  • Fintech:金融サービス

  • HRTech:人事業務

  • EduTech:教育サービス

>>AIブームで出だした新用語Note

Finはフィナンシャル。CFO(財務の責任者)でも見ましたね。

HRはヒューマンリソース(人的資源)、プロジェクトマネジメントでも見ます。>>4段階で学ぶプロジェクトマネジメントの特集Note

EduはEducation(教育)。常識として知っておきたい英語ですね。>>英単語を知る意味のNote


ブロックチェーンは、仮想通貨やNFTで使われている基礎技術です。

ハッシュ値によって取引の順番を記録し、取引データをネットワーク上の複数のコンピュータで保管・検証するため、改ざんが極めて難しい分散台帳を実現してます。>>ブロックチェーンの特集Note

ブロックチェーン単体でも解けるようにはなりますが、本来は>>公開鍵Note → >>デジタル署名 と理解を進めべきとは思いますIP最難関ですけどね。




問09 | フェルミ推定と推定まとめ

フェルミ推定はどれか。
ア:正確に算出することが極めて難しい数量に対して、把握している情報や論理的な思考によって概数を求める手法である。
イ:特定の集団の中に入り、一緒に活動することで、慣習・嗜好・地域や組織を取り巻く文化を類推する調査手法である。
ウ:入力データと出力データから、因果関係を推定する手法である。
エ:有識者のグループにアンケート調査をし、その結果をフィードバックして意見聴取する手法である。

ITパスポートR06問09より改変

正答はア。

  • ア:「算出が難しい量」の旨からフェルミ推定

  • イ:フィールドワーク、覚えなくてOK

  • ウ:因果推定。相関分析の一歩先で、原因と結果で結びついているか検証する

  • エ:「有識者(専門家)」「調査をフィードバック」よりデルファイ法

ア「フェルミ推定」とウ「因果推定」が新用語です。


「因果推定」も含め、ITパスポートに統計や推定方法が多く出題されるようになったので、少しまとめますね。

回帰分析は、散布図にプロットして2軸の量関係を、数式でモデリングすることです。例えば、気温とアイスの個数の関係が当てはまる数式を最小二乗法などを用いて推定します。

また、データの時系列変化に当てはまる数式を探索することを、時系列分析と云います。

相関分析は、主に1次関数(グラフで直線になる)にキッチリ従うかどうかです。片方の値が増えればもう片方が増える(右肩上がり)なら「正の相関(相関係数が正)」、逆相関なら「負の相関(相関係数が負)」と云います。

相関分析では、2値の増減関係を調べているだけで、本当に「原因と結果」なのかは検証していません。例えば、データマイニングの例でよくある「ビールを買うお客さんは、オムツも買う」は、数値としての相関関係はありますが「なぜか」は分かりませんよね。

因果推定は、統計学を用いて「原因と結果」があるかを分析します。

AI絡みで「主成分分析(PCA)」も出ます。散布図を用いた相関分析から、軸を減らして単純化する手法です。

下図では、データを表現するには2軸必要でしたが、新しく斜めの軸を採用することで、1軸だけで表現できるようになりました。


>>AI特有の技術特集Note




問10 | 不正競争防止法で保護される2つの情報

不正競争防止法で定められている限定提供データはどれか。
ア:特定の第三者に対して、1回に限り提供するデータである。
イ:電磁的方法によって相当量蓄積されており、技術上/営業上の情報である。
ウ:金庫など物理的 に管理されている技術上/営業上の情報である。
エ:不正競争防止法に定めている営業秘密は限定提供データに含まれる。

ITパスポートR06問10より改変

正答はイ。

不正競争防止法は、営業秘密絡みで出題されてきましたが、イノベーション絡みの限定提供データでも出るようになりました。

限定提供データは、限られたメンバー・企業間で、事業のために共有するデータです。

限定提供データとして法的に認められるのにあ条件があります。

  • 限定提供性:事業のために特定者の間だけで共有

  • 電磁的管理性:保管方法が電子データ

  • 相当蓄積性:価値が認められるほどの量がある

ただし「営業秘密は除く」と法改正されました。


営業秘密として認められる条件も復習しましょう。

  • 秘密として管理されている

  • 事業に有用である

  • 公然と知られていない


関連して、個人情報保護法にて、個人情報の定義に加えて、要配慮個人情報 も出題され始めました。時代の流れで追加されますね。




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