【ITパスポート】専門学校で伝えている「合格率」と「合格確率」の違い
私がIT専門学校で学生さんたちに話している「合格への心構え」を書きました。
ご存じの通りITパスポートの合格率が50%です。
もし
以下のような「勘違い」をしていたら、私の学生さん達と同じなので、ぜひ読んで頂きたいです。
試験会場の半分の人が落ちる
2回受ければ合格できる
簡単な数学とプログラムを使って「真実」と「裏技」を伝えます。
「数学に基づいた運」を味方につけて、手堅い合格をしてくださいね。
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「100名中50名を落とす」ではない
「合格率」は「試験難易度」の参考になりますね。
「受験勉強をした人の何%が合格できるか」ですからね。
「合格率70%は簡単そうだけど、誰でも受かるのはなぁ」とちょっと迷い
「合格率3%!? 無理ゲーすぎるだろ・・・」とガックリ
なんて思っちゃいます。私もそうです。
さて、ITパスポートの合格率は50%です。
実は国家資格にしてはタワマン並みに高いんですが、いざ「この試験会場の半分が不合格かぁ」と思うとドキドキしちゃいます。
ここで本題。
「合格率」は「合格確率」ではありません。
そもそもITパスポートには「定員」がありません。
高校や大学受験とは違って、「全員が60点以上なら全員合格」です。(まぁそんなβ世界線には早々行けませんが)
「100名中50名を落とす試験」じゃないってのは理解してください。
むしろ、2019年度のセキュリティマネジメント試験では合格率が悪すぎて、合格基準を60点から46点に緩めたぐらいです(慈悲)。
そして、「100回受けて60回受かる試験ガチャ」でもありません。次の話に続きます。
「100回受けたら50回合格する」ではない
「合格率50%だから2回受けたら合格するかな?」
と思ってる私の学生さん。
まず受からないです。
「試験の合格率」と「本人の合格確率」は、ほぼ関係ありません。
専門学校では、「ギリギリ落ちた・・・」「やった!ギリギリ受かった!」と一喜一憂する光景はあるあるです。
私も一応先生。表では「惜しかったねぇ」「やったね!」と励ましてますがあくまで仕事だから。でも「オトナの心」では、カイジの班長の顔してます。
「だから受からないんだよ」
「それで受かって大丈夫なの?」
さて合格率50%が「合格確率」ではない話に戻します。
答えは簡単。
「60問正解できる人」の合格確率は100%ですよね。
ITパスポートは「6割合格」ですから。もちろん「70問や80問の人も合格率100%」なのは分かりますよね。
合格率50%の試験で、
合格確率が100%の人はたっっくさんいるんです。
そして、
「50問正解できる人の合格確率」
と
「10問だけ正解できる人の合格確率」
が
同じなわけない。
「勘で答える問題」が少ないほど、「確実に正解できる問題」が多いほど、合格率は高まるのは感覚的にも分かります。
次の話で、数学的に裏付けます。
「自信ある/勘で答えた解答」をメモ
合格するかしないかを「勘」に頼るほど、「運ゲー」「クソガチャ」になるります(試験は課金なんてできません)。
合格する学生さんは、
「つまり80問ぐらい正解できる実力になればいいんでしょ」
「全問正解目指せばどんな状態でも合格でしょ」
と言ってくれます。その通り。「勝ちマインド」ですね。
とはいえ
「問題演習で600点前後だ・・・」
「なかなか550点を超えない・・・」
なんて学生さん。「自分は合格するのかなぁ」と頭を抱えます。
この悩み。
自分の実力を測れてないのが原因です。
なぜなら、問題演習の得点には「勘が当たった問題」が含まれるから。
勘がよく当たった得点なのか、当たらなかった得点を切り分けてないから。
「勘で当たって合格点を超えた」ならまだしも、「勘が当たっても合格点を超えてない」だったら目も当てられません。
まず、過去問を解く時に、
「自信ある解答」「勘で答えた解答」をメモしましょう。
私は紙で問題演習した時は、
自信ある問題は、問番を横線消し
勘で答えた問題は、問番を丸で囲む
としてました。
自分の「確実正解力」が分かるだけでなく、「苦手な問題」の洗い出しや傾向も分析できます。「苦手な問題集」なんてを作っても面白いかも。
では次は「自信ある問題は何問あればいいの?」に数学で迫ります。
「確実に47問正解」で合格は現実的に
「今、確実に50問は正解できるけど、残りは勘でなんとかなる?」
と気になったら読んで下さい。ちょっと数学入りますが、結果の「47問」だけ知れば、次の話に「ばびゅん!」と飛んで大丈夫です(お嬢か斬鉄のように)。
では数学の話。
「何問正解すれば、合格が現実的になるか」を考えてみます。
「どうなるか分からないなら、数字に励ましてもらいましょう」という考え。
ITパスポートは4択なので、1/4つまり25%の確率で勘が当たります。
では立式。
「確実に正解できる問題数」を a とすれば、
「勘で答える問題数」は、(100-a)
「勘で正解できる問題数」は(100 -a)/4 です。
100問の6割、つまり60問以上正解すれば合格するので、不等式を立てて解きます。結果は46.6…問以上。
つまり、
「47問以上確実に正解」すれば合格は現実的になります。
逆に47問を下回ると合格から大きく遠のき、7,500円+テキスト代を文字通り「ドブに捨てた方が時間節約」だった状態。
合格を現実的にするには「確実に正解する問題数を47問」まで高めるのが重要です。
と、ここまでが、私の学生さんに話すこと。
多くの学生さんはこの辺ですでにぐーすかぴー。(ガンジーさんにお願いして助走つけて蹴り起こして欲しいです)
「47問以上正解で合格する」の「確率」を知らずに。
次は、確率の「キビシイ裏話」です。学生さんよりも人生分かってるオトナにこそ、読んで欲しいです。
裏話「47問正解での合格確率は50%」
数式で解くと、「47問正解すれば、残り53問は勘で答えて合格」が「期待」できることが分かりました。
ピンと来た方。さすがです。(Iパス合格できますたぶん←)
そう。数式で解いたのは「期待値」。
実は、
「47問を確実に正解した時の、合格確率は50%」
※しつこく書きますが「合格率」と「合格確率」は別です。
「47問正解する実力なら、2回受ければ合格」できます。
これこそ、将に「合格確率」です。
では、なぜ50%なのか。
1/4以上で勘が的中する運勢は50%
1/4未満で勘が的中する運勢も50%
だからです。いわゆる「勘が当たる/当たらない」。
「47問」は「合格確率の方が高くなる目安」なんですよ。
ちなみに、「合格確率を90%以上に高めるには、53問が必要」です。
「半分以上が必要かぁ」となんか残念に思っちゃいますが、とはいえ「47問中7問だけを勘で当てれば合格」はまだ嬉しいかも。
なお「合格確率」の計算は数式ではなく、モンテカルロシミュレーションで算出しました。>>興味ある方はQiitaにまとめたのでどうぞ。<<
次は「47問のままでも、合格確率を93%まで引き上げる裏技」の話。
※●リーザ様に20倍界王拳をする時を思い浮かべてください。
裏技「47問正解で合格確率を93%に」
モンテカルロシミュレーションによって、「確実に正解できる問題数」から「合格確率」を算出することができました。
「4択」では、残り53問から13問以上当てねばなりませんね。
※はい、もうピンと来た方、サイコーです!(私の学生に欲しいぐらい←)
「53問から13問当て」は「なんかイケそう」なんですが、実は確率50%。「13問当たらない確率」も50%なんです。
やっとこ、合格率を「全勘の25%」から「部分勘の50%」に引き上げただけ。
そこで、「なんとか合格率を上げる方法はないかなぁ」と条件を変えてプログラムを走らせてると、いろいろ分かってきたんです。
その1つが「47問でも<<3択にすれば>>合格確率93%になる」って裏技。
たった1つだけの「確実な不正解」を見つけるだけで、50%から93%にぐーーーーんと上がるんです(賭けるしかねぇ…!!)。
もちろん実際は混合。3択に減らせない問題も、2択まで減らせる問題もあるでしょう。さっぱり分からない4択は、2択で迷う問題で打ち消しです。
つまり、
「確実に正解できる問題47問+3択問題+2択問題」が多ければ多いほど、合格率は上がるんです。
これが、今回モンテカルロシミュレーションで数値的に分かった真実でした。
次はちょっとおまけ。学生さんに言ったらクレーム、上司から注意されるメッセージを送ります。
私の学校以外のNoteで出会って、ここまで粘り強く読んでくださった賢明な方にこそ読んで頂きたいです。
注意点「人も水も低きを流れる」
専門学校生さんの会話に持つ疑問。
「ギリギリで不合格だった惜しかった」は、卒業しませんか?
「ぎりぎりで合格した良かった」は、少し誇りを持ちませんか?
「2週間で合格しました」はすごいけど、そうなりたいですか?
よく聞く「分かり易い!」って「苦労しないで理解する」なので、なんてワガママなんでしょう。もし学生さんが電脳化してたら、USBメモリで直接学習内容送ります(ついでにウイルスも)。
と、学生さんを笑かしながら励ましますが、なかなか脱学生をしてくれません。
あなたはオトナ。すでに大丈夫だと思いますが、思い当たりそうなら読んで頂ければ嬉しいです。
「ギリギリで不合格だった惜しかった」は卒業しませんか?
問題演習でも本試験でも「ギリギリ足りなかった。惜しかった」ではなく、「何問、自信あって答えられたか」を考えましょう。
47問ないと、負けが濃くなってきます。
勘で当てる問題数も増えてしまい、1/4以上の運で当てねば合格できません。
キビシイ話ですが、47問でやっと勝つ確率の方が上になっただけです。
運がちょっと悪ければ不合格。なんて悲しい。
寝る時間を削って勉強して、フルプライスゲームのお金だして受験して、「最後は運頼み」で納得できますか?
「ぎりぎりで合格した良かった」は少し誇りを持ちませんか?
合格は合格です。その通り。おめでとうございますなんです。
90点だろうが60点だろうが、履歴書の資格欄は同じです。その通り。
シュミならいいですよ。
でも仕事で、「お、ITパスポート持ってるからこれ理解できよな」前提で取引先との会議に出されたり、仕事振られたりして大丈夫ですか?
「え、自分600点ギリギリ、確実に分かった問題40問ですけど・・・」で、やっていけますか?
ITパスポートの次は、「基本情報技術者」を狙う方が圧倒的に多いでしょう。
次は科目A・Bの「隙を生じぬ二段構え」(一番好きな流派←)。
しかも科目合格なし、同時に一発でぶち破らねばなりません(日本中の電力を搔き集めてでも)。
科目A試験はITパスポートの延長です。
私はITパスポート970点合格だったので、科目A(当時は午前試験)の勉強は「ちょっと毛が生えた程度」ですみました。
引き続きITパスポートで土台を固めて、大きく追加される「計算問題」「IPアドレス」「デジタル署名」に取り組んでいってくださいね。
「2週間で合格しました」はすごいけど、そうなりたいですか?
例えば
「2週間で合格しました」
なんてすごいことですね。
実力としても運としても。
「短期集中の馬力」がすさまじい。鬼タイパといったところでしょうか。
で、
そうなりたいですか?
あなたは、「2週間で資格合格」が目的ですか?
あなたは、
最短の時間
最小の労力
最低の点数
で資格合格をしたいんですか?
それとも
資格で学んだ知識を使って、業務の幅広げたり、仕事を確実に遂行したり、新しい職業に転職したりしたいんですか?
私からは以上です。次はまとめです。
まとめ | 受験するまではどっしり構えましょう
最後にちょっとお説教も入ってすみませんでした。
もちろん資格は合格すれば「良かったぁ」です。それはOK。
とはいえ、受験勉強から「なるべく楽に」ましては「ギリギリで」を目指すのは「ちょっとどうかなぁ」と思っています。
私にとって資格は、
初学者の入門であり学習目標
独学で偏ってしまう知識を、体系的に再構築
するためです。
重ねて「合格率」だけを見て、自分の実力を測らずに、受かった/受からないにキャッキャウフフ。
合格率90%の試験にだって、30問しか正解できない実力なら、100回受けても1000回受けても合格しませんよ。
※シミュレーションしたら、10000回受けたら6回受かるようです。
やりますか?
「お金払って受験するんだから自分の勝手でしょ!」もその通り。
しかしせっかくお金かけて受験するからこそ、「私」は無駄にしたくないです。
たとえ不合格になっとしても、「少しでも知識を得た」「勉強の仕方が固まってきた」なんて成果が、「私」は欲しいです。
どうぞ
何のために資格を取るのか
資格を取るためにどう行動するのか
など考えて、お勉強をしてみて下さい。
そんな「工夫」をしてたら、「数学」も「運」も味方になってくれると考え、このNoteにまとめてみました。
ITパスポートの勉強を始めるときは >>4用語から覚える<< からどーぞ。
\全てのNoteへのリンク集/
p.s. 普段は、>>専門学校やIT就職についてのブログ<< をしてます。
では!ばいにー(>ω<▼)ノシ
人差し指と小指を立てながら