腸の声を聞く
体が重かったり、疲れが溜まっていたり、昨年まではそうした体からのシグナルをできる限り無視していた。
まるで、現場の悲鳴をなきものにする暴君管理者のように。
しかし、昨年からはすっかり状況が変わってしまった。
もし免疫力を落としたら、もし病院にかかるようなことになったら、そしてもしあのウィルスに侵されてしまったら。そうした危機感から少しでもサインを感じると早めに体を休めるようにして、1年以上。
そうすると、サインを受け取ってからまずやることがわかってくる。おかげで、回復を早めることができるようになってくる。
わたしの場合は「腸」を労ることが、体へのサインに対する最初のリアクションになってきた。
・よく寝る
・胃腸を休める
・消化を促す食材で養生する
・腸内環境を整える
・薬用酒や酵素を取り入れる
・体を温める
などなど、習慣になっているものもありながら、体調が崩れるとこれらを重点的に意識する。
生物の器官の進化を辿ると、腸の歴史は35億年前の誕生と言われる。
一方で脳は5億年前。
体内の器官のなかで特に長い歴史を持つ腸には、実は脳と同じように情報の処理・伝達を行う神経細胞が存在していることがわかってきているそうだ。
脳からの指令が発せられるよりも前に、腸があたかも自発的に考え活動するかのような働きをしているとのことが実証され、これがいわゆる、腸が「第二の脳」とされる所以となっている。
特に、腸から脳への情報伝達ルートとして重要なのが、「迷走神経」と呼ばれる神経。
腸から脳へ伝達される情報量は脳から腸へ送られる情報量より多く、脳は腸から送られてくる情報に大きな影響を受けている、と考えられている。
英語で「直感に従う」、を意味することばに、「listen to one's gut feeling」がある。
このgutはガツ刺しなどで知られる「ガツ」すなわち腸、はらわたであり、ここから転じて「野生の勘」を示すように変化していった。
体からのサインを受け取ったら、頭を一旦休ませ、野性の声が響く臓器に耳を澄ませる。
そのメッセージを、時間をかけて、ゆっくり頭で考えるようにする。
最近の自分のささやかな健康法。
これはいまのところ個人的に、心身の両面に対してすこぶる効果を発揮してくれている。