若年性認知症とは? 受けられる支援制度について
若年性認知症という言葉を聞いたことはありますか?
認知症、というと高齢者の方がかかる病気という認識の方が多いかもしれません。しかし、脳梗塞やアルコール、その他様々な理由によって若い方でも認知症になってしまう方はいらっしゃいます。今回は、若年性認知症についてお話していきます。
若年性認知症って認知症と何が違うの?
若年性認知症とは、64歳以下で発症した認知症のことを指します。つまり、症状などについては一般的な認知症と同じです。
しかし、発症する年齢が若いため、仕事に支障が出たり、家族の負担が増えたりなど、高齢者の認知症とはまた違った問題が発生することもあります。
認知症の症状や患者様との関わり方については過去の記事(認知症が進んできた家族、どうやって対応したらいいの?)にて触れていますので、ぜひ読んでみてください。
若年性認知症になると出てくる問題
まず、若年性認知症にかかった場合の主な問題点は、発症年齢が平均51歳と若いことです。
仕事盛りの年齢で発症することにより、仕事に支障がでて、仕事を続けることが困難になり、経済的に困窮したりといった問題があります。
また、更年期障害やうつ病など他の病気と誤診されやすく、診断が遅れがちになってしまうという問題もあります。
次に、介護についての問題です。
高齢者の認知症患者の介護では、患者様の配偶者やその子供世代が介護を担えますが、患者様が若い場合は子供もまだ若かったりと配偶者1人に介護が集中してしまいがちです。
配偶者がいない場合は、患者様の親世代が介護者となるため、高齢者が介護を担うことになり、体力的な負担が大きくなります。年齢的にも親世代の介護を考える時期でもあり、親の介護と配偶者の介護が重なる場合もあります。
そして、年齢的に介護保険が使用できないため、他の制度を利用し支援を受ける必要があります。
若年性認知症になったときに受けられる支援制度
自立支援医療制度(精神通院医療)
認知症で通院治療している場合、自立支援医療制度が受けられます。医療費の自己負担額の上限などは世帯所得や疾病に応じてそれぞれ異なるため、まずは住んでいる地域の障害福祉課などの担当課に相談してみましょう。
障害者手帳
認知症による精神疾患にて日常生活に支障がある場合は「精神障害者保健福祉手帳」、身体症状で生活に支障がある場合は「身体障害者手帳」の申請ができます。通院を始めてから6か月以上経過した時の障害の程度で手帳が申請できるので、通院中の医療機関や地域の担当課へ相談しましょう。
手帳を取得することにより、障害者雇用枠として働けたり、税金が一部安くなったり、その他公共交通料金の割引なども受けられるため、若年性認知症になり生活が苦しくなりそうな場合には申請を検討してみましょう。
障害年金
障害や病気によって生活や仕事に支障が出た場合に受け取ることができる公的年金です。
申請窓口は年金事務所や住んでいる地区の担当課、通院している医療機関になります。
医療費がかさんでいる場合に受けられる支援制度
医療費控除
1年間に自己負担した医療費の総額が一定額を超えている場合には、医療費控除が受けられます。確定申告にて税金が還付される場合がありますので、国税庁のホームページを見てみてください。
高額療養費
医療費控除と似ていますが、こちらは1か月単位で一定額を超えた場合、その超えた分を支給してもらえる制度です。限度額適用認定証を加入している健康保険組合などから申請し、提出することにより自己負担額を減らすことができます。
仕事に支障が出てきたときに受けられる支援制度
地域障害者職業センター
それまでの働き方が難しくなった場合の相談や、就労支援や職場復帰支援を受けられます。
傷病手当金
健康保険に加入している本人が、病気のため仕事を3日以上連続で休んだ場合に、4日目から支給されます。支給は支給開始日から通算で最長1年6ヶ月となります。
障害者の雇用支援
障害者手帳を取得すると、障害者雇用の枠で働くこともできます。務めている会社の人事課や産業医に相談してみましょう。
働き盛りの中で認知症になってしまうと、まず問題になってくるのがどうやって収入を継続して得ていくかになります。
発症が分かったら会社に相談し、配置転換や業務の調整、障害者雇用の枠に入れてもらうなど、職場の理解を得られるようにしていきましょう。
また、介護する側の負担も子育てや親の介護と両立しなければならないなど、大きくなりがちです。利用できる支援制度を上手く利用し、負担がかかりすぎないようにしていきましょう。
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