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『「かしもの・かりもの」の世界』澤井一郎


最近読んだ、お道の本の中では
ダントツ一番おもしろかった一冊。

なんとも、お道らしい
心の洗われるような読後感。

📕澤井一郎著『「かしもの・かりもの」の世界』



本書は
季刊誌『あらきとうりょう』の連載を
書籍化したもの。

既に「あら誌」を読んでいた私は、
「一度読んだものだし、改めて買わなくとも……」
なんて思っていた💦(反省)

でも、誠に失礼な言い方だが、
本からやってきてくれた(笑)

著者は、学生時代の恩師。
とても偉そうな発言であるが、
今でもとても親しくして下さっている。

ことあるごとに会いに行き、
お話しさせて頂くのだが、

「書籍のご出版、おめでとうございます」
と伝えると
「おー、本やるわー」
と、いとも簡単に下さった。



一度読んでいるとはいえ、
ご厚意で贈呈くださった本を
開かず棚にしまうことは出来ない。

書籍化され、あら誌の連載にはない
「補足」の書下ろしや、
「付録」としての先人の教話もあるし

いや

1ページ目からもう一度
通読しようと本を紐解いた。

すると、なんとも、
新たな発見ばかり。
新たな学びばかり。

本として、一連として
読むからこそ、学べることがある。



本書の要点は、

「かしもの・かりもの」を心に治めて
たすけ一条の「誠」の心で通る。
それが、お道の信心のかどめである

ということ。

これを、先人の教話を題材に
いろんな切り口から説明して下さっている。


では、なぜ、

題材が、先人の教話なのか。


原典やこふき話、
教典、教祖伝ではなく
先人の教話から「かしもの・かりもの」を学ぶのか。

ここの説明が、
重要かつ面白いところであり、
他にはない本書の特徴といえる。

まだお読みになっていない方のために
詳しい説明は控えるが、
「話」をキーワードに、見事に展開されている。



12回に連載されたそれぞれの項目は、
話の切り口は違えど、
すべて同じ結論へ帰着する。

つまり、
信心のかどめは、
どの先人の教話であれ、
さきほど挙げた要点に帰着する
ということ。

だから一見、本書を読み進める中で、
「あれ、また同じことを言っているのかな?」
と思うときもある。

しかし、この感覚こそが
何より重要だと気づかされる。


「かしもの・かりもの」の御教えは、

何度も何度も、
繰り返し繰り返し、
聞かせて頂くことで治まっていく。

『あらきとうりょう』の一読では
気づけなかった私のように、

重ねて重ねて触れるうちに
「なるほど、そういうことか」
と治まっていく実感。

それぞれが同じ結論へ帰着する、
だからこそ、やっぱり大事なのかと、

これこそが、
書籍として読む功績であろう。

「千遍聞いて千遍説け」って
こういうことか……

を、味わえる一冊である。



さて、

思えば思うほど、
「一度、読んでたし、いっかー」
と、恩師の書籍を軽んじていた反省が湧く。

読了後、
素晴らしすぎる書籍の出会いと
申し訳なさとが相まって

追加で10冊購入することにした。
・教会の夕づとめで少しずつ拝読
・思いつく知人へプレゼント


さいごに、
著者本人から教えていただいた表紙の意図を。

本書の帯をとると
回廊ふきひのきしんに伏せ込まれる方の姿が見える。

伏せ込みとは、
こうした見えない陰でするもの。

ここにも信心のかどめが表現されてある
ということをつけ加え
書評を終えさせていただきます。




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