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ドラマ『わたしの宝物』の行き着く先がまったく読めません

初回の衝撃から始まって、毎回怒涛の展開に固唾を飲んで見守ってきたドラマ『わたしの宝物』。

このドラマについては、正直何か書くのをためらう自分がいました。でも第6話のラストでこう来たかと予想外の展開に、思わず…。

登場人物たちそれぞれが自分の周りの人間たちを決して大切に想っていないわけではなく、ちょっとしたボタンのかけ違いやタイミングのずれによってどんどん軋轢が生じていってしまったような気がしていました。

ただ、みんなかなり自分勝手ではありますよね。松本若菜演じる美羽が選んだ「托卵」という決断は誰も幸せにならない“茨の道“であって、栞を産んだことは間違いなく美羽のエゴだったと感じます。

シングルマザーになるのは母親の病院代も払えなくなり金銭的にも厳しいからと、田中圭演じる宏樹をだまして家族としての生活を継続しようとした…美羽が離婚を思い止まった理由はそれに尽きると思いました。

一方の宏樹は会社での自分の立ち位置を守るために外面はつくろって、上司からのパワハラに耐えて勝手にストレスを溜めて。その腹いせから、家では美羽に強烈なモラハラ。夫婦として向き合うことを避けてきました。

子どもができたことを最初は喜ぶこともなく「育児にも口出すつもりない。でも金は出すから。金で苦労はかけない。それでいい?父親の役目はできない」と身も蓋もない発言をする始末。

かと思えば栞を抱いたら急激に父性が芽生えたのか、昔のような優しい宏樹に逆戻り。そりゃ美羽も戸惑いますって…。

宏樹がモラハラ夫のままでいてくれたなら、「托卵」で栞を産んだ″自分の罪″も少しは許されると美羽が感じていたかもしれませんね。

真琴は宏樹への想いを抱えたまま、美羽とは年の離れた親友関係。冬月と美羽の関係を目撃してしまったことで、美羽への怒りを募らせて宏樹にすべてを暴露。母親の勘で、栞が宏樹の子どもではないと思うと余計なことまで…。おせっかいにもほどがあります。

北村一輝演じる喫茶店のマスター・浅岡が、真琴に言い放った言葉が正しいと思います。

「もういいんじゃないか?あんた何がしたいの?よその夫婦の話に首突っ込むのもさ…どうかと思うよ。あんたが動けば動くだけみ~んな不幸になってんじゃないの?正義振りかざすのもほどほどにしないと…。あいつらの正解をさ、あんたが決めんなよ」

確かに、夫婦のことは夫婦にしか分かりませんからね。外野がとやかく言うことではありません。恒松祐里の演技が上手いがゆえに、余計に真琴のウザさが際立ちます。お願いだから、冬月に栞の本当の父親が誰かを勝手に言わないで!

昔から想いを寄せていた美羽と思いがけず再会し、「助けて」と美羽に告白されて手を差しのべる意味で一線を超えてしまった冬月。アフリカから戻ってきたら、あっさり美羽にフラれてしまい…。

アフリカでのテロの犠牲者になったと思っていた冬月が生きていたという驚愕の事実を受け止めなければならなかった、美羽の心情を思うと何とも言えませんでした。冬月が亡くなったことを知ったからこそ、栞を産むことを決心したと思うので。

冬月は確かに現時点では、単なる哀れな男に映ります。でも栞が我が子だともしも知ったら、穏やかな冬月がどんな風に豹変するのか分かりません。

第6話「私は、宏樹と栞と一緒に生きていきたい」と想いの丈をぶつける美羽。栞の父親は誰かと宏樹に聞かれ、答えられない美羽に「答えられないか」と結婚指輪を外してテーブルに置く宏樹。

てっきり栞を連れて出て行けと宏樹が言うのかと思ったら、まさかの…。

「俺、美羽とは一緒にいれない。栞の父親は俺だ。栞と離れるくらいなら、あの子と一緒に死ぬよ。頼む、出てってくれ」

そんなにも栞を愛してしまった宏樹の姿は父親そのもので、それを目の当たりにして打ちのめされた美羽が小さく見えました。

「私一人の罪だから。一生一人で背負ってく。悪いのは私」

黒い背景に、鮮やかな色が抜けて白くなったドラマのタイトル『わたしの宝物』。

栞も、宏樹も、冬月も、真琴も…自分の大切な“宝物“をすべて失った美羽は、これからどうなっていくんでしょう。行き着く先がまったく読めません。

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