
「食べることは生きること」料理研究家・枝元なほみさん
料理研究家という肩書の方はたくさんいらっしゃいますが、私の好きな料理研究家の一人が枝元なほみさんです。
枝元さんの優しさあふれる温かい笑顔にほっこりさせてもらい、声もかわいらしくて癒されます。
私の記憶が確かなら、昔実家近くのスーパーに置いてある冊子の裏に枝元さんのレシピが掲載されていて、結婚してからもその冊子を母からもらっては枝元さんのレシピで料理を作っていた私です。
そんな枝元さんが病気をされたというニュースは数年前に見たことがあったんですが、数日前に「クロワッサン ONLINE」のネット記事でそれが難病の「特発性間質性肺炎」だったと知りました。
お父様も弟さんも同じ病気で亡くなられているそうで、ご自身も罹患されたと知ったときにはかなりショックだったと思います。
それでも当初は薬も酸素吸入も必要ないとお医者さんに言われたので、その後も精力的に活動されていたようです。
料理研究家であることに加えて、フードロスと貧困問題の解決に挑む社会貢献の仕事も並行してやられていて、売れ残りそうなパンを引き取って販売するプロジェクトや食事の支援をスタートさせて、2022年には交流を生む場としてカフェも開いたそうです。
あの柔らかな雰囲気からは想像ができないほど、行動力があって芯の一本通った方なんですね。みんなが幸せになれるような居場所作り…これって心がけたいと思いながらも、実現するのはなかなか骨が折れますから…。
2023年コロナに感染してから病状が悪化して、今回写真を拝見したら鼻に管があったので“酸素吸入器“が欠かせなくなったようですね。
そんな状態なのにもかかわらず、今でも症状が落ち着いているときにはしっかり料理をされているそうです。なんと、作り置きまでやるそうです。「食べることは生きること」だから…と。枝元さんらしい言葉だと感じました。そういえば、うちの母もいつもこの言葉を口にしています(笑)。
お鍋などを軽いものに変えたり、包丁を使わないようにしたり、身体になるべく負担のかからない工夫をあれこれされて、今でもきちんと料理をされている枝元さん。
忙しいから、疲れたから、献立を考えるのが面倒くさいからと言い訳をして、つい料理をサボろうとする自分を猛省しています。
記事の中で、素敵な言葉がありました。
「今の私にできるのは、病気をしながらでも、何かやれることはあるんだよって発信していくことかな…と。同じような境遇にある人に、私も大丈夫だって感じてもらえたらうれしい。外に出られないなりに、与えられた環境の中で人と繋がっていく方法は、必ずあるんじゃないかって思っています」
私は心が弱い人間なので、もし自分が枝元さんと同じように病に侵されたとしたらこんな風に前向きに生きられるか正直分かりません。病気の自分の姿を周りの人たちに見られたくなくて、引きこもってしまうと思います。
でも枝元さんはありのままの自分を認めてあげて、さらけ出して、なおかつ自分が発信することで同じように病を抱えた人たちを勇気づけたいと考えている…徳が高い方だと感じます。
「食べたいものを食べる」ということは人が生きるための根本にある行為であって、さらには自分で「料理をする」ということが、料理研究家である枝元さんを今もずっと支え続けているんだということが伝わってきました。
「食べることは生きること」という枝元さんの言葉を胸に刻んで、これからも家族のために、自分自身のために、料理を作り続けたいと改めて感じています。
そして枝元さんが枝元さんらしく生きていかれることを、一ファンとして願わずにはいられません。