ドラマ『宙わたる教室』~第5話から第8話まで~
昨日、感動の最終回を迎えたドラマ『宙わたる教室』。感想を書きかけましたが、第5話からのストーリーを整理しないとどうも書ききれない気がして、まずは第8話までを第一弾ということで書いてみようと思います。
科学部が発足してから、藤竹の提案で「学会発表」という大きな目標を掲げて奮闘してきた四人。世代もバックグラウンドもまったく異なる彼らが、ときにぶつかり合いながら一つの目標に向かって結束して挑んでいく姿が本当に清々しく、毎話心が洗われました。
「火星クレーターの再現実験」が試行錯誤しながらも前進していく様子にワクワクさせられたのはもちろんですが、登場人物たちそれぞれの人間模様も丁寧に描かれていて、脚本の力をまざまざと見せつけられた感じがしました。
第5話では関東の科学部ならエントリーできるコンテストに、まずは予行演習で参加してみようと藤竹は四人に提案します。ところが、“定時制高校“のエントリーは「前例がない」という理由で突き返されてしまいました。
普段は冷静沈着な藤竹が「そんなの理由にならない!」と怒りを爆発させるシーンは、その落差に強烈なインパクトがありました。
悲しいかな、それが日本という国の現実なんだと思います。“無意識の差別“…こういう点も赤裸々に描いているところが、このドラマが信頼するに値するドラマになり得たところだと思いました。
なかなか士気が上がらない科学部の四人に、天体観測をしようともちかける藤竹。そこにキャバクラ勤めの麻衣もやって来ます。
「私たちみたいな人間は…とか、どうせ俺なんか…とかさぁ、結局そういう風に決めつけてるのは自分なんじゃない?大事なのは、自分たちが何をしたいかでしょ?ここでできないなら、できるとこ探してやればいい。やっちゃうんだよ!やったもん勝ち!」
麻衣のこの言葉に、藤竹も四人も勇気づけられたシーンが心に残っています。
みんなで学校の屋上から空を見上げるこのシーン、大好きでした。思えば“名ゼリフ“だらけですね。このドラマは!
第6話では、実験のために校内でもっとも天井の高いコンピューター準備室を貸してほしい科学部と、頑なに部屋を譲ろうとしないコンピューター部・部長の要とのやり取りが中心に描かれました。
父親が家を出てから弟が部屋から出てこなくなり、家で暴れるようになったと岳人に告白する要。弟が怖いと…。そんな要に岳人はこう言います。
「家の中をめちゃくちゃにすんのはさぁ、誰かを傷つけたいんじゃない。きっとその逆だ」
弟の一件で岳人と要の心の距離が縮まり、科学部でやろうとしている「火星クレーターの再現実験」で使用する「重力可変装置」を要に見せる四人。科学部がやろうとしていることに興味を持った要は科学部に協力し、コンピューター準備室を貸してくれました。
このドラマでは世代を超えた友情のようなものも描かれていると思いますが、“全日制“と“定時制“の友情もいい雰囲気でした。そもそも同じ学校なんですから!そして、佳純と要の淡い恋心みたいなものも″オマケ要素″として、いいスパイスになっていました。
第7話は、四人それぞれが″トライアンドエラー″を繰り返しながら一歩ずつ実験を進めていき、アイデア満載の素敵な化学反応が起き始めました。まるで四人と一緒に実験をやっている感覚になれて、なんとも幸せな回でした。
“定時制“の先生をやりながら、昼間は自分の研究を続ける藤竹。JAXAに勤める友人・相澤は、先生なんて辞めて自分と一緒に“しののめプロジェクト“をやろうと懇願しますが、藤竹は断ります。それでも、相澤のところに藤竹は顔を出しました。
そこで、過去に遺恨を残す石神教授と再会します。いかにも藤竹や藤竹の恩師・伊之瀬に対して嫌悪感をあらわにする石神教授。
「僕には僕の信念があります。それを証明するだけです」藤竹は、そう石神教授に言い残してJAXAを後にしました。
第8話はハラハラ&ドキドキで、心が押しつぶされそうになりました。こういう回はストーリー展開には必要なのかもしれませんが、心臓には悪いですね。
岳人は、ディスレクシアの教室で大学受験できる可能性があることを知ります。長嶺に「もしも研究者とかになれたらさぁ、ずっとこういうことに没頭できるのかなぁ?」と。実験にのめり込む岳人に対して、長嶺が一抹の不安を抱いたことがその表情で伝わってきました。
佳純とアンジェラが実験をまとめていると、岳人の悪い仲間・孔太たちが物理準備室に押しかけてきて、せっかく彼らが作った「実験装置」を壊してしまいます。
発表まで時間がない中「実験装置」の修復に努める四人でしたが、その作業中にアンジェラが装置の一部を破損させてケガをしてしまうというアクシデントが…!
いらだちを隠せない岳人はアンジェラに強い言葉を浴びせ、連日長時間作業が続いてみんな疲れていることを長嶺は岳人に説きます。気持ちが焦るばかりの岳人に、長嶺は「最たる原因は自分だろうが」とつい責めるような言葉を言ってしまいます。
岳人は長嶺に食ってかかり、佳純はそんな岳人に怯え、あれだけ順調に進んでいた実験が頓挫して科学部は空中分解寸前に…。
夢に向かって必死になればなるほど、それが破れたときの傷が深いだろう…。長嶺は藤竹に、岳人をこれ以上その気にさせて、期待させていいのか?と問いかけます。
藤竹への涙ながらの岳人の吐露が、切なくて苦しくてたまりませんでした。
「柳田くん、やめるつもりですか?実験…」
藤竹の言葉に何も言わずに部屋を出ていった岳人。それ以来岳人は学校に来なくなってしまい、科学部のメンバーも物理準備室から足が遠のいてしまいました。
この第8話の最後に、結末が分かっていながらも残り2話でどうなっていくのか不安がよぎりました。
第9話も最後の方まで苦しい展開が続きましたが、そこから最終回へ向けてはただひたすら感動の嵐でした。それはまた次回に続きます!