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ドラマ『119エマージェンシーコール』は、119を支える新たなヒーロー像が描かれる意欲作になりそうです!

冬ドラマ、徐々にスタートしていて初回を観ていますが、レビュー書くのがなかなか追いつかない状況です。少しずつ書いていければと思っています。

月9のドラマ『119エマージェンシーコール』が始まりました。宮崎の地震の影響で初回から途中中断しましたが、録画が延長になっていて全編観ることができました。大好きな清野菜名が主演なので、これは迷わず観ることに。佐藤浩市が出演するのも珍しいし…。

昨年母のための救急要請で二度119の緊急通報をした身としては、今の119の裏側が見られたようで特別な想いを抱きながら観ていました。原則として救急車が向かう病院の指定はできないんですが、母のケースでは最初の大腿骨頸部骨折の手術をした病院になんとか頼み込んで、そちらに運んでもらうことができました。その際は病院と救急の方にご迷惑おかけする形になったと思いますが、今となっては心から感謝しています。

消防局の「通信指令センター」のセットがあまりにもリアルだと思ったら、横浜市消防局が全面協力で最新の「消防指令センター」を完全再現しているそうです。電話の内容に応じて手書きのメモを取ったり、タッチパネルで迅速に一つ一つの案件を処理していく様に、この仕事は常に極限の緊張感との闘いの連続だと痛感させられました。

「119番、消防です。火事ですか?救急ですか?」

119の緊急通報に応答し、適切に救急車や消防車の出動を指令するのが指令管制員(ディスパッチャー)。さまざまなスキルを持った消防・救急のスペシャリストである指令管制員たちは、自らの技能と知識を駆使して危険な状況下にある“命”をつなぐために、通報者の”声”を聴いて自らの”声”で救う…。通報場所を特定して、少しでも早く必要な部隊を現場に到着させる「消防指令センター」こそ、”救命のスタート”の場所なのだと改めて認識しました。

ロサンゼルス近郊の山火事はもちろん、この冬は日本でも火事が多発しています。火事の現場に遭遇する機会も絶対にないとは言い切れないし、自ら巻き込まれてしまうこともあるかもしれません。そういうときには、指令管制員の避難方法の指示が間違いなく心の拠りどころになるでしょう。

この先、なにかしらの事故現場に遭遇することもあるかもしれません。応急措置を指令管制員に指示された場合、冷静に対処できるかどうか正直自信はありません。でも”命”をつなぐために自分自身でやれることがなにかあるならば、パニックにならずに対応できたらと感じます。

119の緊急通報者と指令管制員とは互いに顔も知らない”声”と”声”だけのつながりですが、そこには誰かの”命”が関わっている可能性が高いわけなので、そこに生まれる瞬間の信頼関係は非常に深くて濃いものになると思います。

だからこそドラマでもそういったシーンがありましたが、いたずら電話や、大したことではないのに救急車を呼ぶケースが無くなってほしいものです。その度に指令管制員たちが対応して時間を割かなければならないという現状には、怒りや悲しさがこみ上げてきます。あと数分早く救急車が到着していれば…というケースも実際にあるでしょうし。

主演の清野菜名が演じるのは、横浜市消防局・司令課3係の指令管制員・粕原雪。銀行員を辞めて自ら希望して指令管制員になった雪は、子どもの頃に家が火事になった際、119番通報をした時に対応してくれた指令管制員に救われた経験から自分もその道を…ということのようです。そのときの指令管制員こそ、3係主任・佐藤浩市演じる”レジェンド”と呼ばれる堂島ではないかと。

雪は集中力が高く洞察力にも優れていて、一度聴いた”声”や”音”を忘れない特別な能力を兼ね備えているようです。指令管制員としての適性は、かなり高い人物。通話の中でのヒントになる情報も見落とさず、適切な対応をしていると思われます。

でも自分の対応が間違っていなかったかどうか、非番の日に通報の“その後”の状況を確認するため、実際に事故現場を訪れるという行動を取ってしまう少々”困ったちゃん”の要素も持ち合わせているようですね。自分の仕事に対する、熱心さゆえではあるんですが…。

第1話でも、事故現場で実際に火事の対応をした消防救急隊の人に不快な思いをさせたりしていましたから…。消防隊長の「現場は、自分の命まで懸けて働いてる。安全圏にいる人間に、軽い気持ちで踏み込まれてもいい気はしない」という言葉はその通りだと思います。

組織というところはそれぞれのテリトリーには足を踏み入れないという暗黙のルールがあるので、雪の行動が組織の中で軋轢を生んでいくこともありそうですね。

雪の教育係の瀬戸康史演じる兼下睦夫が、雪の行動をたしなめるシーンでの会話。雪の想いと兼下の想いがぶつかり合います。

「余計なことすんなって俺言ったよな」
「勝手に行ったのは、すみません。でもこれは、通報者の気持ちを想像するためであって…」
「想像するなら頭の中だけでできんだろ?」
「でも現場を見ないでする想像は、ただの妄想になっちゃいますし…。そんなにダメですか、現場に行くのって」
「粕原はまだ分かってない。通報を切ってそこで終われることがどれだけ恵まれてるか…。昨日のキックボードの男性、亡くなったそうだ。どれだけ俺たちが頑張ったって、救えない命は確実にある。現場にいる人間は、その現実を直接自分の目で見て、触れて、嫌ってほど実感してる。そこにつなぎである俺たちが後からのこのこ飛び込んで、想像して、なにができる?なにもできないだろう!」

ドラマ『119エマージェンシーコール』第1話より

ここら辺、雪があまり面倒くさい人間に映らないようにしてほしいと思ったりします。確かに問題行動なのかもしれませんが、第1話で女の子の命が救われたのは、雪が答え合わせや復習の意味で事故現場を訪れていたからこそだったので…。

″想像″という言葉が、雪にとっては重要なカギのようです。まだ銀行員だった頃、堂島が「消防フェスタ」で演説していたのを偶然聴いた雪。

「人々の『助けて』っていう声を最初に聴くのは指令管制員なんだ。声と音だけの限られた情報から、電話の向こうの状況を想像する。そしてときには、命を救うための方法を判断する。現場の隊員が自らの手で命を救うとするならば、指令管制員は想像力で人を救うんだよ」

その言葉こそ、雪が指令管制員を目指した理由でした。だから″想像力″は雪にとってはなによりの武器なのかもしれません。兼下に言われて悩んでいた雪は、憧れの堂島との会話で迷いが吹っ切れたようでした。

「でも、どれだけ想像しても救えない命は絶対にありますよね?だから一つ一つの通報に向き合いすぎない方がいいんですか?通報を切ったら全部忘れちゃうぐらいの方が…」
「忘れることと、切り替えることは意味が違うんじゃないか?たとえ一秒前になにがあったとしてもさ、今この瞬間助けを求める声に応えて命をつなぐ…。それが俺たちの仕事だよ。想像力はそのために全部使え。それができるなら、救えた命も救えなかった命も、忘れる必要なんかない」

ドラマ『119エマージェンシーコール』第1話より

だから、兼下への雪からの言葉は、指令管制員としての改めての決意表明のように感じました。

「兼下さん、指令管制員の仕事はつなぎだって言ってましたよね?私たちは、通報者の情報を正確につなぐだけで、最終的に命を助けるのはいつだって現場の隊員だって」
「それが?」
「私、それだけじゃないと思います。だって私知ってるから。指令管制員の声で救われる命があるって」
「どういう意味だよ、それ」
「とにかく私は、つなぎはつなぎでも、命をつなぎたいって思ってます。指令管制員はいつだって『助けて』って声を受け取る一番初めの存在だから。私たちが想像することで、未来につながることもあると思うから」

ドラマ『119エマージェンシーコール』第1話より

「個性的な指令管制員(ディスパッチャー)たちが、困難な状況にチームとして立ち向かう中で、それぞれに抱える葛藤や問題を乗り越えて成長していく群像劇」

公式ホームページにこうあるように、雪だけではなく、チームのメンバー一人ひとりにスポットが当てられるエピソードも今後ありそうですね。チームの面々も個性豊かなので、どんな風にストーリーが展開していくのか非常に楽しみです。

ドラマ『119エマージェンシーコール』は、119を支える新たなヒーロー像が描かれる意欲作になりそうです!!

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