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ドラマ『海のはじまり』最終回へのモヤモヤがどうにも消えません…

どんなドラマでも結末を好意的に受け止める方ですが、ドラマ『海のはじまり』についてはどうもそうはならなかった私のようです。書くか迷いながらも、書かずにはいられませんでした。なので、いい最終回だと感じた方はごめんなさい…。最初に謝っておきます。

水季と津野くんの「特別編」は作られた意味があり内容も非常に良かったけれど、それ以降のストーリー展開で登場人物たちに感情移入ができなくなってしまいました。

特に夏と弥生が別れを選んだこと。それは水季からの「夏くんの恋人へ」と題した手紙も色濃く影響があったと思われること…。これが決定打になった気がします。

夏が父親になる覚悟ができたのは弥生との別れが背中を押したのかもしれないけれど、弥生の気持ちはどこか置き去りにされたままのような気がしてあまりにも切なかったです。

第9話から最終回まで、自分自身の中でもさまざまな感情が入り乱れながら観続けてきました。第11話の終わりでは、打ちのめされた夏の姿に最終回を観るのが怖くなりました。

そして最終回を観終わっての率直な感想。このドラマのテーマがあまりにも壮大過ぎたような、どこか消化不良のような、正直そんな感じがしました。

人は、いつどのように″父に″なり、いつどのように″母″になるのか。この時代だからこそ伝えたい″親子の愛″を通して描かれる家族の物語。

ドラマ『海のはじまり』ホームページより

生方氏脚本の『silent』『いちばんすきな花』に比べると確実にモヤモヤが残り、生方ワールドにどっぷり浸りきれなかった自分がいます。

最終回なんとなくキレイにまとまっていたようですが、結局水季の人生の選択に夏はじめ周りのみんなが巻き込まれ、振り回され、それぞれの立場で水季の想いを受け止めて自分を納得させるしかなかった…最後はそんな風に感じられてしまいました。

夏と海二人きりの家族ではなく、周りのみんなを頼れるようになったことは夏にとって良かったと思います。でもそれすらどこか"きれいごと"のように感じてしまいました。

津野くん、あれだけ夏への当たりが強かったのに、夏のことを海の父親としてすっかり認めたんですか?無理してませんか?

弥生さん、夏への想いがまだ残ったまま、海と一緒にいるのが楽しいというのは本心ですか?無理してませんか?

最後の夏への手紙についても、水季の傲慢さが逆に際立ってしまったような、夏への上から目線のような、そんな複雑な感情を抱いてしまいました。

「人は二人の人から生まれてきます。一人で生きてくなんて無理なんだよ。夏くんも誰かと生きてね。海を幸せにしながら自分も幸せになってね。海と生きることを選んでくれてありがとう」

この文言にも違和感を覚えました。父親になる覚悟を決めた夏に渡して欲しいという手紙ではありましたが、たとえば海がいることで、これから先夏はずっとシングルファーザーとして生きていかなければならないかもしれません。

"海を幸せにしながら自分も幸せになる"、その両立ができないかもしれません。

そういうことまで考えてのこの手紙だったんでしょうか?命の期限が切られていたとはいえ、水季のエゴにしか感じられなかったのは私だけでしょうか?

人間ってこういうところあるな…と丁寧に繊細にキャラクター一人ひとりを描いてきた生方氏ですが、水季に関しては掘り下げれば掘り下げるほど自分の意思を決して曲げずに貫き通す、どこか身勝手な人間に映ってしまったことが非常に残念でした。

やっぱり、夏に内緒で海を産んだことは伝えるべきでしたよね。海を連れて夏に会いに行ったとき、弥生と一緒にいるところを見たから会わずにそのまま帰った水季。

でも少なくとも自分の命が残りわずかと知ったとき、優しい夏なら海の父親として生きる道を選択してくれると信じていたにせよ、手紙ではなく直接会って話をするべきだったと思います。

この大前提こそがこのドラマの″肝″だったので、致し方ないわけですが…。

最終回、唯一ウルッときたのは朱音が夏にこう言ったこと。

「娘が自分より先に死ぬこと想像してみて。私たちはね…娘の遺影の写真を選んだの。それがどんなに辛いか…。今なら少しは分かってくれるかなぁと思って言いました。意地悪ばっかり言ってごめんなさい。かわいいでしょ?全部かわいくてね。選ぶの大変だった」

私の兄…つまり我が息子の遺影を選ばなければならなかった両親の当時の姿を想い出して、ここだけはグッときてしまいました。

この最終回をハッピーエンドと捉えた方は、夏と海が本当の意味での親子をはじめられたことに対しての気持ちからだったと思います。

でも誰かの精神的な犠牲の上に成り立っているかもしれない幸せは、手放しでは喜べない気持ちなんです…。

だからといって生方氏の脚本を否定するわけでもないし、これからの生方氏のドラマも楽しみにしたいと思っています。ただ、そろそろフジテレビ以外の局で、別なプロデューサーの方と作品を作られたらどうでしょうか?また違った魅力を引き出してもらえると思うんですが…。

いろんな意味で賛否両論だったと思われるドラマ『海のはじまり』。注目作であったには違いないので、それは狙い通りだったといえるんですかね…。

でも個人的には月曜日夜9時からの″月9″は、ドラマ『西園寺さんは家事をしない』のように、明るく楽しい内容を希望します!やっぱり重たかった…。

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