権力が生み出す心の病~「ヒュブリス症候群」~
連日兵庫県知事の顔がテレビで映し出されるたびに、もはや怒りや呆れる気持ちを通り越して「この人は今いったいどんな精神状態なんだろう?」と逆に興味が沸いてきました。
先日脳科学者の中野信子氏が「認めたら負けと思っている人の典型」と表現したそうですが、その言葉にも納得でした。
さらに昨日安住くんの『情報7days ニュースキャスター』にコメンテーターとして出演されていた、東京大学薬学部の池谷裕二教授の解説で腑に落ちました。
池谷教授いわく「人間は本来、多くても20名程度の組織をまとめるようにできている生き物」なんだそうです。
今回の兵庫県知事のように、膨大な数の人間で形成されている組織のトップに立ってしまうと、自分を特別な人間だと思い込む「ヒュブリス症候群」に陥ってしまうという話でした。
こちらのサイト「チームの教科書」の説明が分かりやすかったので、リンクを貼っておきます。このサイトでは「心の病」という表現、つまり「病気」の一つなんだと書いてありました。
確かに人間は一度権力を持つとそれに固執してしまい、人格さえ変わってしまうこともあるような気がします。事実、そういった人をこれまで見てきたことがあります。
「俺様はトップの人間だから、部下たちはみんな崇め奉れ!」
「俺様が気に障ったり、嫌な気持ちになることはするな!」
「俺様が望むもの、欲しいものはすべて手に入れて当たり前だ!」
表向きクールな風を装っているけれど、毎日毎日呪文のように知事室で一人、こう喚き立てている姿が勝手に浮かんできてしまいます。あくまでも、自分は正しくてなに一つ間違っていない…そう信じ込んでいるんでしょうね。
県民や議員、職員の方たちにどれだけ迷惑をかけても、”引き際の美学”という言葉はご自身の辞書にはないんでしょうね。
でもそもそもパワハラ疑惑うんぬんの前に、人が亡くなっているという重い事実があるわけで…。まるでそれは自分とは関係ないと言わんばかりの、あの冷酷な態度が一番問題だと感じます。
ドラマ『Shrink-精神科医ヨワイ-』でも、自分自身の精神状態を最初は認められない患者さんの姿が描かれました。でも、今現在の自分自身の心の状態を客観的に見つめ直さないと、状況はなにも変わらないような気がします。
権力は、それを持つにふさわしい人格が備わった人にこそ持ってほしいものですね…。