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今年こそ舞台に立つ彼を生で観に行きたい!~太神楽師・鏡味仙成さん~

テレ東『家、ついて行ってイイですか?』を番組スタート以来ずっと楽しみに観ています。

他人の”人生の機微”をのぞき見させてもらっているような気持ちもあります。一方でさまざまな人生模様からたくさんの学びもあり、ある意味”人生の教科書”というか”バイブル”のような番組でもあります。

5年前、彼のことを番組で観てから心の中でずっと応援し続けていました。彼の芸を生で観に行きたかったのに、出演していたお店(東京ソラマチの「そらまち亭」)が閉店してしまい、その機会を逃したままここまできてしまいした。

彼の名前は鏡味仙成(かがみせんなり)さん。「太神楽師」として働いていて、番組出演当時は若干21歳の最年少「太神楽師」でした。15歳でその道に入り、芸歴は既に6年目でした。

「太神楽」とは、お正月といえば海老一 染之助・染太郎!のあの芸の世界です。和傘の上で鞠や桝を回したりする…アレです。

毎日舞台に立っていて、お給料は「1円50銭×動員数+援助金」。10日で15,000円しかもらえないことも…。

それでも彼がその厳しい芸の道を選んだ理由は、彼が「字が読めない=ディスレクシア」という学習障がいを抱えていたからでした。

読書が好きで、こうして文章を書くということが好きな私からしたら「ディスレクシア」の方の苦悩は想像もつかないところがあります。

学校では問題が読めないからテストを白紙で出したりしてバカ扱いされ、周りを見返してやりたいという気持ちが最初は強かったようでした。

中2のときに「太神楽師協会」のホームページの質問コーナーを通じて、父親から「なんとか入れてもらえないでしょうか?」と連絡してもらったそうです。

師匠である鏡味仙三郎氏から返事がきて、中学を卒業したら推薦を取るから徹底的にやりなさいと言ってもらい、その道に入ったといういきさつでした。

学習障がいを抱えた彼に勉強以外の何かしらの道を歩ませようと決断されたご家族も、まだ中2にもかかわらず自分の力で”生きていく術”を身につけようとした仙成さんも、本当に素晴らしいと感じました。

今回番組で、5年後の仙成さんを観ることができました。相変わらず明るくハキハキとしていて、新年早々幸せな気持ちにさせてもらいました。

ずっと憧れだった彼女もできたり、学習障がい・発達障がいを抱えた子供たちの前で芸を披露する講演会が増えたり、番組出演後に大きな変化があったようでした。

でも彼にとって一番の変化は、師匠である鏡味仙三郎氏が2021年に亡くなられたこと。復帰できると信じていたけれど、それが叶わずだったそうです。師匠が病気で体力的にも辛い中、鏡味一門の十八番の「籠鞠(かごまり)」という芸を”最後の稽古”として録画させてくれて、最後の最後まで彼に技を伝授しようとし続けてくれたその姿に涙しました。

まだまだ失敗が多くて「籠鞠(かごまり)」は寄席では披露できていないそうです。でも、いつか仙成さんがその芸の継承者として技を披露する日が来るのが楽しみです。

師匠亡き後、兄弟子とも別々に活動しようという話もあったようですが、鏡味でしかやっていない「花笠」という技を残したいからと、今も兄弟子である鏡味仙志郞氏と二人、一緒に鏡味一門を守り続けているようです。

これがその技「花笠」です。観ているこちらが華やかな気持ちになれる感じがしますよね。

鏡味一門でしかやっていない技「花笠」

最初に番組出演したときに仙成さんが「60、70になるまでずっとこの道を歩み続けて”人間国宝”になるのが夢」と語ったその気持ちは、今もまったく変わっていないそうです。

「それ聞いたら師匠なんて言うと思う?」と番組ディレクターが質問したら「大きく出たな」と言うのではと。心優しい師匠は、その日が来るのを天国でずっと心待ちにしているのではないでしょうか。

新宿の末廣亭に出演しているそうなので、今年こそ生で仙成さんの芸を観に行きたいと思います!

”人間国宝”になる夢に向かって舞台に立ち続ける仙成さんを、これからも密かに応援し続けていきたいと思っています。

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