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私の頭の中の小人【首藤誠人】

私は小人を飼っている。
その小人ははっきりとした容姿は持っておらず、私も特に愛着を持っているわけではない。ただ暇な時に現れて、私の想像の中で目の前の光景を走り回ってくれる。

よく現れるのがバスに乗っている時。通り過ぎていくガードレールの上などを小人に走らせる。他にも建物に登らせてみたり、ココアで泳がせてみたり。こういう文章の文字の上だって走る。
赤い帽子と立派な髭を持ち合わせたおじさまのゲームと似た仕組みで、小人を脳内で動かしているのだが、決してそのおじさまを意識しているわけではない。

これって皆さんあるあるですか?

最近忙しい。やることが多いのか、私の要領が悪いのかわからないが、少なくともこれまでのダラダラしていた大学生活と比べるとかなりのギャップがある。そのギャップが大きすぎて混乱している。よく乗り切れているなと最近を振り返ると思う。
夜更かしがワクワクするものからイライラするものになった。
移動時間がミュージックタイムからプランニングタイムになった。
毎週楽しみにしていた好きなドラマの最終回をまだずっと見られていない。
社会を経験している人にとってはこれが普通なのかもしれないが、もしこれが普通なのであれば、社会は私がイメージしている通り本当に嫌な世界である。
別に私が今一番忙しいんだぞと言いたいわけではない。本当に忙しい人なんて五万といるだろう。ただこれはだらしのない私が今の生活に思うことを述べているだけなので許してほしい。忙しい自慢はウザいという人の気持ちもわかるが、本当に忙しいと感じている人が忙しいとさえ言えないというのはあまりにも逃げ場がないのではなかろうか。

昔話を語り出すと決まって 
貧乏自慢ですかと言う顔するやつ 
でもあれだけ貧乏だったんだ 
せめて自慢くらいさせてくれ

彼の気持ちが少しばかりわかったような気がしている今日この頃。
クリスマスソングが街中で流れ始めつつあるが、余裕がないとイライラしてしまうことを最近知った。

とは言うものの、先日大きいイベントが終わり少しだけ落ち着いた。休暇を取れる日があり、初期の山Pくらい伸びていた襟足を切ろうと美容院に行った。そして、なんとなくパーマをかけた。


美容院に行った後、毎回必ず似合ってないなと思う。なぜなのだろう。顔のせい? 
家の鏡の前で髪型チェックを行う。うんやっぱり似合ってなさそう。ただ私はその手のプロなのでそんなことでショックを受けることはなくなった。

クルン。クルン。
小人が現れ、私の前髪の上で滑り台をしている。



お久しぶり。
どこ行っていたの?
昔は愛なく扱ってすまなかったね。
君がいることが当たり前だと思ってたんだ。
君がいない間、夜に飲むものがココアからコーヒーになったよ。
コストコで大量に買っていたホットアイマスクがなくなったよ。
僕はきっと君といる時間が多いほど幸せな人生なのだよ。
君が遊んでいると僕は元気になるんだ。
当たり前の反対は、ありがとうなんだって。
これからはありがとうってちゃんと思うからさ、
僕と一緒にいてくれよ。



これから小人を小人ちゃんと名付けることにした暇が大好きな私であった。



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