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五条天神宮〜日本最古の宝船図考10〜あふね
ついに10回を迎えた五条天神宮〜日本最古の宝船図考〜ですが、次回の第11回にてなんとかひと区切りを迎える予定です💦
長きに渡って読んでいただき、まことにありがとうございます。
そろそろまとめに入らなければ、というところ❗️
いえ、これまでは導入で、いきなりのギアチェンジ、実はここからが本題かもしれません(笑。おっそ)
これまでの記事の中で、この宝船図が、
・陰陽(火水)の調和的状態
・男女の交わりと生命の誕生
・あの世とこの世の境にあるもの
を描いているのではないか、ということはだんだんわかってきました。
宝船図はそもそも、良い初夢を見るために、正月二日の夜、枕の下に忍ばせたという古来からの風習から生まれたと言われています。しかもその風習が始まった室町時代においては、正月ではなく節分の夜に宮中にて配られていたと言います。
だから、五条天神宮の宝船図も節分のみ授与しているのですね。
「姫始め」「あふね」という言葉をご存知ですか?
江戸時代の川柳にこんなものがあります。
女房と 乗り合いにする 宝船
宝船 しわになるほど 女房こぎ
新年に初めて、特に一月二日に男女が性交をすることを「姫始め」と言ったそうですが、これは「姫始め」をお題にした川柳です。いずれにも宝船の2文字が入ります。
かつて宝船図には、
ながきよの とおのねむりに みなめざめ なみのりふねの おとのよきかな
(長き夜の 遠の睡の 皆目醒め 波乗り船の 音の良きかな)
という回文(上から読んでも下から読んでも同じ文)がつきものでした。これについてはまた後日解説したいと思いますが、こちらの川柳と合わせて読むと、その意味が言葉通りのそれではなく、非常に意味深なメッセージが込められているのが分かるのではないでしょうか。
ここで山口志道『水穂伝』より「船」の解説を見てみたいと思います。
フネとは、本語アフネなり。アは起言にして省けてフネという。男子は伏寝、女は仰寝(アフネ)なり。女の仰寝の形を名となす。故に船神は女体なり。
はい。言霊学においては、船はあふね、仰向けの女体が語源なのであります。ですから実は、宝船図というのは、ことたま的に解釈すると、比喩ではなく、そのまま男女の交接を意味しているのです。
しかも面白いことに、世界的に船は女性を表し、女性代名詞を使います。そして、その船に立つ帆柱は、男性器を意味し、オランダ語のマスト(帆柱)は「マスをかく」という俗語の語源ともなっています。
女性が仰向け? それがどうした? と思われるでしょうか。
いわゆる正常位で性行為をするのは人間とボノボだけだと言われていますが、つまり、口づけをかわし、目と目を見つめ合う(まぐわう)ことができるということなのです。(民俗学者・吉野裕子さんはその著書『扇』において、「人間らしい性の営み」という扇に込められたメッセージを読み解いています。ぜひご一読いただきたい)
そう理解して、改めてこの宝船図を見ると、人間だけに許された心の通った性愛を求める純粋な思い、子宝を願う切実さ、そうした昔の日本人の性や出産、生命に対する眼差しに対して、深い慈しみさえ感じてしまうのは私だけでしょうか。
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モモノキ文字やヨモツ文字に似ているが確かなことはわからない。
最後に、この古代文字が表すところの、「テイヨクヘリホミヰ」について、天道仁聞さんのカタカムナ言霊解を参考に解釈してみたいと思います。
テ:調和から出る、関わる、手、左右
イ:最小単位、粒子、命
ヨ:女男の契り
ク:解く、自由
へ:潜象の方向
リ:分離
ホ:臍 女陰 天地万物の初め 母
ミ:生命の源 渦巻き 五穀 生命の実態
ヰ:現象と潜象との融合 存在そのもの
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テイヨクヘリホミヰとは、
射精(テ・イ)から性交(ヨ)、妊娠(クヘ)、胎児の成長と出産(リホミヰ)
を表す、生命の誕生をさきわうことたまではないかと思うのです。