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スイスでの仕事観と実際

夏季、具体的には5月半ば〜10月ごろまでの初夏から秋、スイスはツェルマットにて働いています。※今年はなし・・悲しい
今回は自分の中での仕事の位置付けと仕事へのこだわり、そして実際の仕事について話したいと思います。

仕事の位置付け


生きていく手段、ではなくて、スイスにいる間は仕事がほとんど全てで生き甲斐。その為のビザで入国しているし、仕事が全部の中心。特に7月はピーク中のピークなので、日々記憶がないくらい忙しかったりする。ただ、何かしらの楽しいことはある毎日ではある。通勤時間がほとんどゼロに近い(生活の全てが小さい村内で完結する)ので、帰宅後にまた出かけることがとても気軽。加えてシェアハウスに住んでいるので、同居人と楽しい夕べを過ごしたり、友人宅にお邪魔したりされたり。全てが仕事を中心に回ってはいるものの、それで何かを犠牲にして心がすり減っていく感じはない。心の平安は保たれている。

仕事内容

観光ハイキングガイドとして、プライベートからグループの対応が主。ここ2年は日本以外のガイドをすることも多くなった。韓国、香港、マレーシア、アメリカ、などなど。加えてお迎えとかアシスタントとか、業務は色々。常に喋りっぱなしだが、喋るのは好きなので、全然問題なし。話すことは花の名前や山、街や観光の歴史、昔から今までの生活、スーパーの開店時間からおすすめのお土産・・ここで、今まで雑多に詰め込んできたいわゆるトリビア的な知識が役立つとは想像もしていなかった。千差万別、様々な人と会うけども、今まで経験してきたこと、つまみ食いした知識、繋がりを持たなかった点たちが一気に集結して役割を果たしているような気さえする。
1日平均歩数は15000歩。日本に帰ってきた途端にそれが3分の1程度になる。笑

やりがい

ズバリ、『これが夢だった』と言われること。ベタなことかもしれないけど、5歳の頃からここにくるのを思い描いていたとか、来て良かった、実現するなんて思わなかったとか、目元を拭き拭き言われてしまうと、あああああ良かった。この仕事してて良かった!と強く思う。そして一緒に泣く。そしていっぱい写真撮る。
時間通りに全部を進めて、時間通りに終わる事が大事なのは100も承知なんだけど、それでもじっくり眺める時間を無理にでも作ってあげたいと思ってしまう。なんならコーヒーを差し出してクッキーを頬張りたい気持ちでいる。
そして、やってみたいと言われたことはなるべく、叶えたいと思っている。なので笑わせるためにピエロになることだって辞さないし、ものすごい笑顔を写真に収められた時にはこっそりガッツポーズをしている。

厳しさ

時間がないグループの時、天気が良くない時。
ああ、もう少し見せてあげたい、もっと知ってほしいと思いながらも、時間が許さない時は悔しい。悔しいけど、アパートもあるから次回は10日くらい滞在してください、と伝えることにしている。
そして天気。これはどうしようもない。自然のことだし、誰にも文句は言えないことなので、極力ネガティブなことは言わないように最大限楽しんでもらえるように、いつもの倍は喋る。花の話も山の話も歴史の話も生活の話も地学だって盛り込んで全部喋りまくって、すごく疲弊する。帰宅してシャワーを浴びて、倒れてしまう。笑 けど、また来る!と言ってもらえると嬉しい。

気をつけていること

強い言葉を使わない、言わないということ。
悪い→良くない、嫌い→好みじゃない、見えない→言わない、今日はダメ→言わない、など。
これはカナダ時代に居候していた家の素敵な女性Celiaに言われたこと。強い言葉は言い換えると良いよと。潜む感情は変わらなくても、受け取り手の気持ちが変わるから、と。少しでも楽しく気持ち良く過ごしてもらうために、ポジティブ転換するようにしている。ネガティブな言葉にはネガティブな事象がくっついてくる、と思っている。ひとりでいる時は、信じられないくらいネガティブではあるけれど。

職場について

ツェルマットの街の約243㎢全て、と言いたいところだが、行くところは基本的に大体決まっている。図1

中央下部がツェルマット の街、黒線が各乗り物、の地図。
左から2番目、ゴルナーグラートとある線からツェルマットまでの登山電車を使うのが7割。大抵はマッターホルン の反射が見られる湖を通るルートで、スイスのガイドブックには100%載っているだろう、この景色が代表的。
画像2

左側、湖の畔にはグループが見える。
ちなみにトップ画像のように雲が出てる日もままある。真っ白な時だってもちろんある。自然相手なので、コントロールはできない。ただ、個人的には雲がある日の方が景色に動きが出て目に楽しいと思っている。うきうきしながら、5分に一回は綺麗、最高、と褒め称えながら歩いている。

書きながら、いかに幸運で幸せな仕事だったのか、今季は行けなくなってしまったので余計にそう感じている。そして、どれほど好きだったのかも実感している。仕事が好きと言えるなんて、すごいことだ。

この今の世の中で、国境が閉ざされるなんてことが起こるとは想像もしていなかった。

今は耐え時。

そう信じて、今年はもぎたてのとうもろこしでも楽しみにしようと思う。

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