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ホームスクーリングの現状と課題
ホームスクーリングって?
ホームスクーリングとは、家庭ベース教育(ホームエデュケーション)とも呼ばれる新しい学習形態です。学校に登校して学校で学ぶという従来の形とは異なり、自宅で両親や家庭教師と共に勉強したり、ICTやメタバース空間を活用して学習するスタイルで、欧米や米国などの国では制度化されている所もあります。
大きく異なる点は、学習拠点が学校から自宅に移管している点です。よく不登校とは違うのかという話がありますが、外から見ている分にはあまり差は無いように思います。本人や家族が自宅での学習を選んで学校に行かせない(能動的不登校)はホームスクーリングに近く、本当は学校に行かせてあげたいけど何らかの事情で学校に行けない(受動的不登校)は不登校に近い、そのような認識で構わないと思います。
教育現場では近年、ホームスクーリングという学習の選択肢が認められてきている一方で、馴染みのない方にとってはよくわからない点も多いと思います。今回はそんなホームスクーリングのメリットとデメリットを紐解き、ホームスクーリングのこれからを探ってみましょう
ホームスクーリングのメリット
ホームスクーリングの大きなメリットの1つは、子どもの理解進度で学習を進めていける点です。学校での画一的な授業は、クラス全員が単元の到達目標を理解する事にフォーカスして授業を行っているので、なかなか個人にベストなペースで授業を進める事は出来ません。一方ホームスクーリングでは、親もしくは家庭教師がその子1人のために指導を行うので、その子にとって最適のペース、最適な声掛けで学習を進めていく事が出来ます。
また、いじめや学級崩壊などの悪い環境を完全に排除する事が出来るのもメリットの1つです。学校現場の大きな問題、いじめ。いじめを訴えた時に対応してくれる所が多いと思いますが、学校側が取り上げてくれなかったり、最悪の場合隠蔽されたという事もあるようです。自分の愛する子どもがいじめにあうかもしれない、そして学校はそれを隠すかもしれないと考えると、それらのリスクをすべて回避できるためのホームスクーリングは選択肢として非常に有用だと考えられます。
家族で過ごす時間が増えるというのも見逃せません。家族で共にする時間は必然増加することで家族の絆は深まっていくでしょう。単純に時間の増加だけではなく、勉強という課題を共に乗り越える事での連帯感も強くなることが期待されます。家族で遊びに行ったり、出かけやすくなる点も家族関係の良化につながるかもしれません。
ホームスクーリングのデメリット
それではデメリットは一体何なのでしょうか。
1つ挙げられるのは社会性の育成の問題です。学校は基本的な学力を身につけると共に、不特定多数との共同生活を通して社会性を学び、自分のアイデンティティを形成していく場という役割があります。この社会性の形成をホームスクーリングで補っていけるのかには疑問が残ります。
社会に出れば知識量よりも、他者を思いやる心や円滑なコミュニケーション能力、集団の中での自己表現力などの対人スキルが重要視されます。この力がホームスクーリングで成長でき得るのかはしっかりと考える必要があります。
また、親の負担と責任がかなり大きくなる点も挙げられます。ホームスクーリングでの学力の伸びは、親の教育への造形の深さが強く影響してきます。教師は教育のプロです。過去から最新の指導法までの膨大な知識とノウハウを持ち合わせて指導をしています。家庭でこれと同等以上の教育を行うことが出来るかどうかは甚だ疑問が残ります。これらの教育の基礎基本を親御さんが1から勉強するとなると膨大な時間がかかるので、親の負担は計り知れません。義務教育の学習レベルまで到達できないケースもあるかもしれません。
進級の問題からも目を逸らせません。日本ではホームスクーリングが浸透していない事もあり、適切な法整備がまだ行われていません。例えば小学校6年間でホームスクーリングを導入した家庭の子どもが中学受験を志したとします。学力の対策は家庭で行うことが出来るかもしれませんが、内申書の作成が出来ません。このような場合ホームスクーリングがマイナスに響いてくる可能性があります。高校、大学受験でも同様です。内申書が不要の学校ももちろんあるのでそちらを選択して進学することは可能だと思います。しかし現在の日本では、ホームスクーリングによって将来の選択肢が狭まる可能性は考えられます。
ホームスクーリングの今後
今後ホームスクーリングは日本でも広がっていくと予想されています。学びの多様化は進んでおり、ICT教育の普及により自宅からでも義務教育の内容を学習できるようになりました。学校での不祥事が多数ある事も、ホームスクーリング導入の増加に影響を与えるかもしれません。
今後増加するにあたって適切な法整備も進んでいくでしょう。前述の内申書の課題やホームスクーリングでの学習到達目標についても解決されていくと思われます。
また、メタバース空間での教育やホームスクーリング向けの教材も今後ますます普及していくでしょう。メタバース空間での学習が一般的になれば、前述の社会性の育成の課題は解決されるかもしれません。また教材の普及が進めば親の負担軽減と、家庭間での教育格差も是正されるでしょう。
まとめ
ホームスクーリングは新しい学習形態として注目を集めていますが、現状は法整備や環境整備が追い付いておらず、デメリットの方が大きいように感じます。もちろん親がしっかりと調べて、造形を深めていく事で上手くいくケースも多分にあるとは思いますが、誰でも手軽に手を出す学習形態と呼ぶにはまだまだ課題が多いと思います。
しかし魅力やメリットは大きいものがあります。学校環境や学習進度などからホームスクーリングを必要としている子ども、家庭がある事は忘れてはいけません。私は子どものためには学びの選択肢は多い方が良いと思います。そう考えるとホームスクーリングを誰でも利用できる選択肢にする、その為のルール作りや法整備は至急取り組む必要があるでしょう。
最後になりますが、ホームスクーリングについての賛否を教えてください。
また、これが解決できれば賛成みたいなのもあればコメントに残していってほしいです。
ご査読ありがとうございました。また会いましょう!