Social Emotional Learning(ソーシャルエモーショナルラーニング)とは?私がSELを推す理由。
初めまして。Chisakiです。Social Emotional Learning (SEL)に出会って3年。SELについて自分の言葉で発信する場を作りたいとずっと思っていて、やっとこのnoteを立ち上げました。これからもっと日本の教育現場でSELが広まっていけばいいなという思いを込めて書いていきます。
まず、"ソーシャルエモーショナルラーニング"とは何でしょうか?簡単に言うと「自分や他人の感情を理解し、社会でやっていくためのスキルを身につける学習」です。「社会的・情動的学習」とも訳されますが、なんかちょっと硬いというか、イメージが湧きにくいですよね。なので私は聞かれたら上記のように説明するようにしています。
それで、私はSELのコンセプトを日本の教育現場にどんどん推していきたいんです。なぜかというと、SELを取り入れることで、全員とは言わないけれども少なくとも何人かの「生きづらさ」を減らすことができると思うからです。
SELは1960年代にアメリカで研究が始まり、分野として確立されたのは1990年代です。私とSELとの出会いは今から3年前の2020年、オランダのアムステルダムでした。当時私は現地のインターナショナルスクールで働いていました。小学部の特別支援教育担当の先生から"Social Emotional Learning"という言葉を初めて聞いた時の私の反応は、「???」。
私、オランダに行く前は日本の高校で6年間英語教師をしていたんです。しかも、オランダのスクールで働き始める前にはオランダの大学院で教育系のマスター(修士)も取っていたんです。だから「教育」は自分にとって専門分野であるはずでしたが、SELという用語は全くの初耳。単語から何となく想像はつくけど、一体どんなことをするの?(そんなゼロからのスタートで最終的にはその学校で自分もSELのレッスンを担当させてもらうことになるのですが、それについてはおいおい。)
特別支援教育担当の先生から話を聞いたり、教室の様子を見せてもらったりするうちに、SELのことが少しずつわかってきました。その中で感じたことは、SELでやっていることのほとんどが、日本では「自然にできるようになると期待されていること」だということ。
その期待通りに、自分の感情の理解やコントロール、他人の気持ちに配慮した言動などが自然にできるようになる人も、います。でも、できにくい人もいます。それが生きづらさにつながっていることもあるのではと想像します。
例えば私は、生きづらいと言うほどではないですが小さい頃から自分の意見を言うのが苦手で、本当は思っていないことでも周りの人に合わせてつい言ってしまうということがよくありました。ずっと忘れられないのは、幼稚園のお泊まり保育の時のこと。先生が「歯磨きをするのはいつですか?」とクラスのみんなに質問していて、自分の思う答えは「寝る前」なのに、そのちょっと前に友達が「朝起きた時、歯磨きするよね〜」と話しているのを聞いていたので、手を挙げて「朝起きた時!」と言いました。結果、「うーん、朝よりも寝る前のほうが大事だよね」と先生に言われてしまいました。自分の思う答えを言っておけばよかったのに(友達が朝起きた時にすると言っていたのは聞き間違いだったっぽい)。
と言う感じで、歯磨きの質問自体はどうでもいいこととは言え、4歳〜5歳からすでに「周りを気にしながら」発言していた私です。同じようなことが小学校でも中学校でも高校でもあって。でも、もし学校生活の中にSELが存在していて、例えば一人ひとりの意見に耳に傾け尊重するということを練習する機会があったとしたら、人の意見と同時に私は自分自身の意見にももっと耳を傾けて大切にしようとしていたかも知れません。
他にも、
イライラモヤモヤした時にその対処法に困ってしまう
とか、
小さなことにも極端に感情的に反応してしまうことがある
とか、
人に対して何と声をかけていいかわからない
とか、
性格やその時の気分によって違うとはいえ誰にでもそんなことがあるのではと思います。その時に行動のヒントになるのがSELです。決して万能ではないけれど、自分や周りの人にとってのヒントにはなります。そして、そういった感情への対処方法や人と関係を作っていくソーシャルスキルは、自然に任せるのではなく明確に「練習」することでもっと身に付きやすくなります。
自分が小さい時にSELがあったら、いろんなことがちょっとだけ違ったかも知れない。もしくは、自分が高校で教えていた時にSELの知識があったら、もっと上手く生徒をサポートできていたかも知れない。そんな思いで今はことあるごとにSELを推しております。
次回以降、Social Emotional Learning関連の教材をたくさん出版しているSocial Thinking社のウェブサイト記事をもとに、SELで扱う主なトピックを10個、解説していきますね。
お楽しみに!
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