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「顧客時間」に入り込むためにペルソナを活用(株式会社良品計画:無印良品)

無印良品のような(衣、食、住)の全ての商品を扱い、広い顧客層を持つ企業では、「商品が誰に売れたのか」を見ているだけでは、特定のカテゴリーの商品を豊富に揃え、安価に販売するカテゴリーキラーに勝つのは難しい時代と言える。
そこで、無印良品は圧倒的な商品力でシェアを奪うのではなく、「顧客時間」つまり「お客様の日常の時間」に入り込めないかと考えているのだ。

商品をただ売っていては「他の商品と比べ、なぜ無印の商品が好きなのか」「なぜ買おうと思ったのか」「何と比較していたのか」「どのように商品を所有しているのか」「どのように使っているのか」ということを見落としがちである。
購買する瞬間以外にも、「購入前」「購入後」の時間にも目を向けることで、顧客をより深く知り、無印ブランドのコンセプトや考え方、USPへの理解を促し、「共感」を育もうとしている。

商品を購入した顧客自身が「なぜこの商品を購入したのか」ということをしっかり理解できるようにしなくてはならない。というのはジェイ・エイブラハム著書「HIGH POWER MARKETING」で紹介した。
これを可能にするために企業はUSPを作成し、「購入前」「購入する瞬間」「購入後」にこれを売り込むのである。
そうすることで顧客に「共感」してもらえるようになります。

「MUJI Passport」という無印良品が無料配布しているスマホアプリでは、口コミの発信や店舗へのチェックインをすると「MUJIマイル」が貯まる。
これを利用するメリットはポイントによって安く買い物ができたり、特別なクーポンが送られてくることにある。

一方、無印良品にとってはMUJI Passportによって顧客時間を理解するコミュニケーションツールとなっている。
特定の個人の行動データを収集し、家族単位ではなく、誰がどこで何を買っているのかを特定できるのだ。

無印良品では、ウェブ事業でペルソナを使っている。
上記の話からもわかるように無印良品の「顧客時間」に焦点を当てる取り組みの仕方というのはかなりペルソナにあっている。
ネットストアはスタートから10年が以上経て、顧客データも蓄積されており、その中からある一定の時点での購入履歴をもとにペルソナを作った。

ペルソナは全部で10種類にも及ぶが、これは衣服、食品、家具など購買する対象ごとに分かれているからだ。

無印良品ではペルソナに当てはまる顧客に対して、一人一人の嗜好に合わせた商品を記載したメールを毎週送っているという。

当時2013年なので今現在2020年において「MUJI Passport」がどうなっているのか。
これについても調べてみたいと思うところである。

当時、MUJI Passportからデータを収集、蓄積し、ペルソナごとの顧客時間が把握できれば、その情報を各店舗と共有でき、顧客時間を可視化することで、本当の意味でのロイヤルカスタマー(ある企業や商品やサービスに対しての忠誠心の高い顧客)を理解できそれぞれの顧客に適したサービスも提供できると踏んでいた。

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