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中華イヤホン、中華ケーブルの線材ごとの特徴評価メモレビュー 2024-11 Update

イヤホンケーブルの線材ごとの特徴

イヤホンのケーブル交換による音の変化についてお話しします。ケーブル変更は「変わりはする」けれど、「いい方向に変化する」とは限りません。イヤホンとの相性がどうしてもあります。以下は、私が把握している大まかな傾向です。参考にしていただければ幸いです。

2024/12/01 アップデート


無酸素銅線 (OFC)

標準的なケーブル。高音域のスネアの音など、ザクザクとした感じがある。純度が高まると音の細かい部分が聴き取れる感じや、空気感がより濃密になる感じが得られる。
純度が高い場合は、高音域に雑味を感じにくくOCCより細かい音が綺麗に出てくるといった感想になることもあり。4Nくらいだと雑味感が強く、7Nくらいだと細かい音といった感じ。

銀メッキ無酸素銅線 (Silver Coated/Plated OFC)

標準的なOFCのケーブルより高音域が伸び、高音域が出てくる。高音域が伸びる特徴が出る、使いやすく合わせやすい線材。

単結晶状高純度無酸素銅銅線 (OCC)

OFCに対して、高音域のスネアの音などのザクザクした感が減り、なめらかで丸い高音域になる傾向。低音は増えがち。中音域は線数などによる。低音は締まる。
高音域が滑らかになる反面、刺激的な所が減り、音の詳細感が潰れる印象になるイヤホンとの組み合わせもあるので、OFCよりOCCの方が必ずいいという訳ではない。OCCに関してはWikipediaがある。

製品としては、TRN T4/JIALAI JLDT2など。

銀メッキ単結晶銅線 (銀メッキOCC)

OCCに対して、高音域が伸びる。OFCとは違いOCCならザクザクした感じもない。低音は純銀に比べて太い。お気に入り:JIALAIのJLY2, TRN T6など。

金メッキ線 (Gold Corted / Plated)

低純度の場合は雑味のある高音の伸び方がする。全体的に華やかでメリハリがつきやすい印象。高音域は伸びるが、やや温かみのある音に変化。音の余韻がまろやかな雰囲気を帯びる。メッキの金の純度が低いと雑味がある高音域になるのは、銀メッキと同じ。

グラフェン線 (Graphene)

メリハリの効いた感じに変化。ドンシャリを引き立たせる傾向が多い。スピード感、音のノリ、グルーヴ感が増す。音域の伸びは中間的。平面駆動のイヤホンに合う印象。低音域はタイトな感じになり純銀線のように少し減る。

純銀線 (Pure Silver)

高音域が伸び、透き通るような高音域の印象。高音域のザクザク感はOCCと同じくなくなるが、透明感のある高音域。低音がやせる(低音が少なくなる)中音域に低音がかぶって見通しが悪くなるのを防げる。芯数が増えると低音が減るのが少ない。BA/ハイブリッドのイヤホンに好適。リケーブルの効果を実感したければ、一本は持っておきたい線材。KBEAR KBX4904かKBEAR KBX4913、もしくはNICEHCK Litz PS /LitzPS Proがまずはおすすめ。

パラジウムメッキ (Paladium Plated / Corted)

まだあまり特徴が確定できない線材。人の感想では「彩度と解像感が上がるような感じ」という意見も。よりビビッドになる点ではグラフェンとも似ているかも。余韻の感じは金メッキにも似ている。

ミックス線 (Mixed)

+と- (GND)側で違う線材をミックスさせてあるケーブル。
両方の線材の傾向がミックスされ中間的になることが多い。
例としての製品はRedAg、Jialaiのミックス線JLH2など。
場合によってはこっちが良いこともよくある。

クライオ処理(極低温処理)、焼きなまし(アニーリング、焼鈍)銅、レアアースとの合金、レアアースメッキなど

どれも私の中で音の印象が確定していない。クライオ処理は超低温でいったん線を処理するもの。音の印象は確定せず。
焼きなましは金属の熱処理の一つで、切削やプレスなどの加工工程で材料内部に発生した残留応力や加工硬化などを取り除く作業を指す。「焼鈍(しょうどん)」や「アニーリング」と呼ぶ場合もある。

OFCプラグ対アルミニウムプラグ:

NICEHCK SnowWingsで、OFCプラグかそうでないかかを同じ2PINでを試せる機会があった。
試したとき、OFCのほうが音がよりリッチ感があって、濃くなる感じがした。もっと細かい音がどんどん出てくるような変化かと予想していたが違っていて、音自体の印象が濃い印象になった。
非OFCよりも細かい音が出てくるようになるイヤホンもあったが、元のケーブルより音にやや迫力や濃さ、色が付く。
製品説明によれば、元のプラグの素材は「アルミニウム」と思われる。
なおSnowWingsは+と-の「+極性側のみ高純度線材を使用することで高品質な導体をしようしつつコストを下げるというアプローチ」らしいです。

銀メッキプラグ・純銀プラグ・ロジウムメッキプラグ:

通常はプラグ部分は金メッキされていることが多いのだが、このメッキの材質でも音が変わる。

銀メッキプラグはNICEHCKの一部ケーブル(BlackJam)で採用されている。
銀メッキではなく純銀プラグもあるが、柔らかいらしく、大丈夫か?と心配に…

銀メッキと、ロジウムメッキまたはニッケルメッキは見分けは素人にはつかないし、私にも見分けがつかない。ロジウムメッキは銀色で少し黒っぽい光沢感のあるメッキだったりする。
メッキの内側のプラグ主金属(素地)が何かというのは公表されてない場合もあり、謎が多いなど、私にもわからないことがまだ多い。

銀メッキプラグの感想は、情報量が増える感じがややあり、低音が減り、高音域が伸びる効果が感じられる。余韻感、広がり感も少し強調される感じがした。銀メッキは高音域が特に特徴のある伸び感が感じられたと思う。

純銀プラグは試したことないのだが、音を推測するとき純銀線の傾向から推測すれば、ピュアな感じ?とでもいうか、低音が減って高音が伸びて透き通るような感じ…といった効果を期待したいけれど、純銀は柔らかいため故障が多くなると推測される。柔らかくて折れやすいのは、正直扱うのが怖い。

純度、N数 (Purity):

99.99%なら4N。99.999%なら5N。99.9999%なら6N、99.99999%なら7N…という風にN数が多いと純度が高い線材になり、純度が高い材料を作るには高い技術、工業力が必要でコストも高くなる。N数が増えると、より線材は電気信号をよく通すようになり、抵抗が減る。
OFCなどでも純度が高いもの6Nや7Nなどになると、空気感や音空間のハリツメ感、音のつやなどが出てくる。
純度が高いと価格も高くなるが、2024年現在7N中華線はだいぶ安くなり現実的な値段で購入できる店も増えてきた。7Nであればさらにその差はわかりやすいともいえるし、純度が高ければ高いほど原理的には良いはずだが、チューニングの観点からするとそうとも言いきれない場合もある。

中華ケーブルのN数は「本当かよ?」という説も多いし、安定した純度なのかなど謎や疑いを持つ人もいる。私はどっちにしろ高すぎるケーブル買う金はどこにもないので、まあ話半分以上でそんな感じなのか、くらいに思っている。

純度の高さを生かすにはアンプやDACの側もいいものであることが望ましいし、ソースがFLACでハイレゾなど、ソースの質も非常に影響してくる。

バランス接続(Balanced):

通常の3.5mmプラグは-側(GND側)が左右で共通になっている。
バランス接続させると、左右を別々に駆動させることができるようになる。

3.5mmには2極(モノラル用)3極(ステレオ用)4極(マイク付き用)がデファクトスタンダード。例外とて5極(ステレオ・バランス接続・ノイズキャンセリング用)があり、まれに4極でバランス接続のもあり、混とんとしている。

現状4.4mm5極がJEITAの国際標準(JEITAのRC-8141Cとして規格化)になり、デファクトスタンダード(事実上の標準)となっている。

バランス接続は、一般的には左右のセパレーションがよくなるといわれる。クロストーク(左右信号の混ざり)が原理的になくなり、中心の音の定位感などに関係してくる感じがするが、バランス接続のほうが必ずしもいいと感じるものではない。これもイヤホン+ケーブル+アンプとの組み合わせでの相性が大きい。

またバランス接続もいいDACを使わないとご利益があまり感じられない。DACアンプによっては4.4mmバランスの方に力を入れ、3.5mmシングルエンドに手を抜いているために4.4mmがよく感じるという現象も起きがち。

マニアとなると4.4mmで揃えたくなってくる。
個人的にも4.4mmで揃えて、3.5mmが必要な時は変換プラグや変換ケーブルを通した方がコスト的に現実的な運用ができるし、接点復活剤で処理をするしやすさ観点からも、プラグ交換式より変換コネクタのほうが処理しやすい。

線数、その他のTIPS:

特にマルチBA機では、線材の線数が多いものは音がぼけることがあり「多芯=音よい」ではないことに注意。ここは機材との相性。純度の高い線で少ない芯数のほうが音がクッキリハッキリしやすい。

DDとBAでは明確にケーブルに対する反応は違う。BA機は純銀線のご利益はDDより大きいとも個人的には感じたところ。
他芯の線は情報量が増えるような反面、音のキレに関してはボケる印象もある。線数が増えると、低音が強く、音が太く重厚に感じられる印象になる。

平面磁界駆動(プレーナー)のイヤホンはケーブルに対する反応はDDよりも少なめで、軽微な印象を持っている。変わることは変わるのだが、どのケーブルでも中高音域の変化はDDよりは少ない印象。低音域の質感についてこだわる場合はリケーブルの恩恵は得られることもある。高級なイヤホンDDや、イヤホンによっても同様の場合を経験したことがあって、なんだかケーブルで印象があまり変わらないな、というイヤホンもある。

平面ドライバとよばれるものでもSPDとよばれるタイプのドライバについては、リケーブルの変化がわかりやすくかなりある印象。

素材や処理の組み合わせ:

パラジウムメッキ+レアアース+金メッキ…のような複雑な素材のケーブルも存在する。(XINHS/iViPQ/ZISinに多い)それらは特徴が混ざり合うため、一概にこういう音と言えないが、上記の特徴が混ざり合うのかも、と予想しておくと買いやすい。

太いケーブル:

太い方が音も何故か濃く太くなり、細いケーブルでは音が鋭くスッキリしがち。

接点復活剤:

接点復活剤で有名で定評のある製品はDeoxITという製品。安価な製品としてはKUREのものがある。
接点復活剤を金属接点にふきかけ、つまようじの表面などで少しこすったり、イヤホン側(メス側)に何度か挿抜したあと、ティッシュペーパーなどでふき取る。
これをすると音の細かい部分が出てきたり、音の抑揚がつかみやすくなったりする。音が本当によくなるので、かなりバカにできない。
接点は空気中の酸素のせいで劣化するため、定期的なメンテナンスが重要とされる。
接点復活剤の効果がなぜ起こるのかというと、油のような液体成分が金属の表面に膜を作り、その薄膜が電気の伝達をしやすくするといった何らかの影響を与えているらしい。
アンプ側のプラグ(3.5mmや4.4mmの)プラグ交換式のケーブルは接点が増えるというので、嫌う人も多い。

セラーごとの特徴

NICEHCK / JIALAI

2万円といった高額なフラッグシップのケーブルほど、実は味付けが少なく「純」な感じのケーブルが多い。
時々セールで激安になり、普段は高額な値付けがされていることがあるが、Amazonでの売り方はそうでもない。味付けの多いケーブルは中価格帯(3000-9000円)に集中している印象。突然音にクセのある突然変異みたいなケーブルも出してくるが、そういう製品はフラッグシップではない印象。

なお、JIALAIは安価で私も基準にしている、使いやすいケーブル。ほかRedAgといった安価な純銀ミックス線もあり。

近年は数に限りがある限定生産の製品が多いのは、限定素材だと、安価に仕入れできるためらしい。マニアでずっと状況をフォローしている人はいいが、ずっと同じ線材を手に入れたい人にとっては困るとは思う。
といっても、超高額な製品になってしまうようなケーブルが比較的安価に手に入るのはありがたい。そういう限定なので、あんまり気にすることは無いとしか言えないし、長く売ってくれるケーブルもある。

見た目に関してもいろいろなケーブルを出している。

JSHIFI / BIGMANGO

6000円程度でもNICEHCKの万以上の高額なケーブル並なことがありコスパは高いし、いつも大体同じ値段で売っていて売り方も適正な印象。2000円程度のエントリーケーブルもある。そのあたりの価格帯はKBEARとどっこいくらいだけど、個性的なケーブルも多い。低価格でも多少の味付けがあり、価格が高い方がより味付けが強くあるケーブルの傾向を感じる。
同じケーブルをある程度長い期間、ずっと売ってくれる。

XINHS / ivipQ/ ZiSin

SNSをみていると定期的にキャンペーンで、激安で放出してくれる。安くても中音域が太かったり味付けが濃いケーブルが多く、紹介した中では最も音に色がありがち。普段の値札は高額になっているが、DMで相談すると値引きしてくれたりがありがち。
プラグのカスタマイズ、たとえばヘッドホン用のDual 3.5mm にしたり、2PINを埋め込み2PINではなく平型2PINにしてくれたりを、個別に行ってくれたりする。
見た目が豪奢なケーブルも多い。マニア向け。そもそもここ、多くのケーブルを輩出してきたケーブルの工場が元締めらしいともうわさされる。

Yongse

Yongseも普段からの適正価格での販売が多い。今のところアリエク店舗。製品傾向は、高額な方が味付けがあるとも言い難いが、基本は高額な方が味付けが強い傾向。あまり経験がない。見た目やプラグなどに独自性があるケーブルも出している。

KBEAR

心者向きのアップグレードケーブルが多い印象で、どのケーブルもそれほど強い味付けではない感じだが、十分に違いはある。取り回しなど使いやすいケーブルが多い。色々な工場のものをこのブランドとして売っている感の印象。TRNやKZやCVJなどよりは一歩上級のミドルクラスといった印象、ハイエンドのケーブルは今のところ見かけない。見た目も無難なものが多い。

TRN / CVJ / KZ など

TRN/CVJはプラグのレセプタクル(ケーブルの付け根)交換式にこだわりがあるようで、すべての製品のプラグが交換式になった(2024現在)。
エントリークラスが多いというか、エントリー以外はない。TRN/CVJは、OFCのT2Pro,OCCのT4Pro/純銀のT3Proなど、ラインアップも分かりやすい。私はここから入った。シンプル。

伊東屋国際 Soundgoodシリーズ

国内代理店の恩恵と中華線材のメリットを得られる感じで価格も良心的

その他会社

ヨドバシカメラなどで売ってるリケーブルは、正直2万とか高すぎると感じるけど音が良くて細いケーブルなどがある。

最後に

ここに書いたことはあくまでひとりの意見であり、ひとつの傾向として長年触ってきて感じた感想にすぎません。自分で確かめて追試してみることも大切です。

またイヤホンのケーブルはイヤホンとの相性がすべてであり、高ければよいという事には必ずしもなりません。

ご意見はXの@sekixyoまで


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西野績葉
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