最近好きなイディオム“pinch of salt”。何事も塩ひとつまみで受け止める
先日エマ・チェンバレン(Emma Chamberlain)のポッドキャスト『Anything Goes with Emma Chamberlain』を聞いていて、「pinch of salt」というフレーズが何度も出てきて気になった。
調べてみると「with a pinch of salt」で、何かについて「疑ってかかる」、「鵜呑みにしない」という意味のイディオムらしい。これを情報の受け手ではなく発信者、つまりこの場合、エマが「pinch of salt(鵜呑みにしない)でいいからね」というスタンスで話していたのが、とても謙虚で、僕の「アメリカ人=自己主張強い」というイメージに反するもので面白かった。
塩は少しの"塩梅"で味を大きく変えるし、入れすぎると台無しにもなりうる。小さな匙加減がモノを言う。同様に人の意見も吟味が必要だ。「エビデンスはあるのか」、「ポジショントークになってないか」といった問いは、批判的なアプローチとしては一見当たり前のようで、自分に都合のいい意見にはつい甘くなってしまう。
とりわけ自分の好きな人から出てくる意見は全肯定してしまいたくもなるが、それは一種の思考停止になりかねない。むしろ人でななく、意見単位で良い・悪いを吟味してもいいのだと思ったりもする。例えば「この人自体はそれほど好きではないけど、この意見はいいな」と"塩ひとつまみ"程度に取り入れてみる。
よく「いい塩梅」というが、ここでも塩(salt)が出てくるのは面白い。全否定もしないし、全肯定もしない。それがpinch of saltであり、「いい塩梅」とも言える。
「ソーシャルメディアが社会の分断を生んだ」と言われることも多いが、情報の発信者も受信者もpinch of saltを頭の片隅に置いておくといいのかもしれない。とはいえ、病院に行って医者の意見を話半分に聞くことは滅多にないように、専門性の高さや置かれている状況次第ではしっかり受け止めるべきなので、僕の話もpinch of salt程度に聞き流してください。
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