伊能忠敬もびっくり?!複合技術で当時は画期的な伸び縮みしないメジャーを ~積水樹脂グループを作った製品たち~
こんにちは。積水樹脂グループ公式note編集部の土井です。
2024年11月で70周年を迎える積水樹脂ですが、様々な時代や会社を作った製品を紹介させていただきます。
今回は 現在も販売している製品「計量用の巻尺」です。
創業当初の製品「アドヘヤ糊」の次を作る
当社は1954年(昭和29年)積水化学工業株式会社の接着剤事業を独立させるという目的で「アドヘヤ紙工株式会社」として創業しました。アドヘヤ(adhere)は接着する、くっつけるという意味です。
当初は今では当たり前となった封をするフラップの部分に糊がついている封筒の生産販売を行っていました。
販売は良好でしたが、当時の経営陣はこの製品だけでは会社の大きな成長は見込めないと新製品の開発を検討していました。
高度成長期を迎える手前、測量がメートルに統一されることに
戦後をすぎ、高度成長期を迎える手前、当時はまだ決まった長さのロープや巻尺で距離を測っていましたが、夏や冬など気候の変化や使用頻度により伸び縮みしてしまう、という今聞くとビックリの測量状況でした。
またこの時期は長さや重さのはかり方についてまだ統一されておらず、長さでいうと「尺」や「間」などの単位も使われていましたが、1951年(昭和26年)に、度量衡法を全面的に見直した計量法が公布され、尺貫系単位とヤードポンド系単位の使用期限を1958年(昭和33年)末としました。そして、1959年(昭和34年)1月からメートル法が完全実施されることになりました。
伸び縮みの少ないガラス繊維に注目 きちんと「はかる」製品の誕生
プラスチックと何かを複合させることで新製品を、と検討していたところその長さをはかる布やひもにこの糊の技術を複合させてはどうかと検討しました。そこで当時の担当者が目を付けたのが繊維の中でも伸びの少ない「ガラス繊維」です。
ただこのガラス繊維には伸び縮みしない、というメリットがあったのですが、もろさあることが難点でした。その欠点をカバーすることができる素材が「ポリ塩化ビニル」でした。
この2つを複合させることで
・伸び縮みしない
・水にも気候面でも強い
・帯電性もある
エスロンロープ(計量用ロープ)、エスロン巻尺を開発しました。
画期的な製品に日本の面積も変わるかも?
この当時の当社の営業報告書を読んでみたところ、、、
元々の資料も過去の方が鉛筆や赤鉛筆で書き入れていたのですが、
下記赤で囲んだところ、ご注目ください。
え!「日本国土面積が広くなる」だなんて
伊能忠敬もびっくり!
ただこの後、巻尺に目盛りを印刷することには大変苦労されたようです。が、
1959年(昭和34年)1月からメートル法が完全実施される際には非常にニーズを得ることになりました。
メジャーはメートル法記念としてお年玉付き年賀状はがきの景品にも
下記のエスロンメジャーは1959年のお年玉付き年賀状はがきの景品になったくらいです。(100万個も納入されたとのことです)
メートル法が実施された当時の日本はどんな様子?
私たちからすると当たり前のメートル法ですが、当時の日本はどのような状況だったんでしょうか?
調べたところ、鹿児島県阿久根市の当時の広報誌に、メートル法についての記事を見つけました。(阿久根市では過去の広報誌がホームページに公開されていました。最新版はこちら)
あけて新年のトピックでも大きなものとなっていました。
当社のエスロン巻尺は計測等で日本の高度成長期に建築含め様々な所で活躍しました。
ここから当社グループではメジャーをはじめ、「はかる」製品が主力の一つとして長期的に活躍していきます。
1966年にはリール巻尺(30m、50m)は商品デザイン部門でグッドデザイン賞のロングライフデザイン賞も受賞しています。
巻尺は今もデザインはあまり変わらず、当社のロングセラーの製品として販売しています。
これからも時代に沿った製品を作っていきたいですね。
おまけ
今回、1959年当時の資料を見つけるのに非常に苦労したのですが、
阿久根市役所の方が本掲載を許可してくださいました。感謝です。
うれしくて阿久根市のふるさと納税(メロン、糖度16度以上)をお願いしました。糖度16度以上ですよ?届くのが楽しみです。
実は郵政博物館にも相談しましたが、当時のお年玉付き年賀状はがきの
景品ポスターなどは見つけられませんでした。残念。(土井)