
私の世界は凸凹できている
私は病院で知能検査「WAIS」を受けました。IQには大きく「言語性IQ」と「動作性IQ」があります。前者は、主に文章の読み書きに関わる能力です。後者は、主に見聞きしたことを行動に移す能力です。
ちなみに、言語性IQの平均は90と言われています。私のIQは120台なので、一般の方より約30高いことになります。
加えて、動作性IQの平均は96と言われています。私のIQは80台なので、一般の方より約10は低いことになります。
発達障害は、主に「言語性IQ」と「動作性IQ」の差が15以上の場合に診断されます。
20以上差がある人は7%しかおらず、25も離れていれば脳の器質的問題も懸念されます。
それなのに私... よ、よんじゅう(40)も違う?!
結果が返ってきた時は、医師も看護師も私自身も、それはそれは驚きました。
そして、ついに、この差が生まれた理由がわかりました。
私の脳は「言語代償発達」を起こしていたのです。
きっと、もともとの私は苦手なことだらけの平々凡々な子供だったに違いありません。
でも、小さいころ苦手なことが多かった私が、なんとか生きのびる術を身につけようとして、代償的に肥大させた能力が「言語能力」だったというわけです(健気で泣けるぜ)。
思い返せば、教師から私の特性を理解されずに、苦しんだ時もありました。
苦手な数学を誰より勉強しているのに、国語の点数と数学の点数だけ見比べて「お前は大好きな国語の勉強ばかりして、数学は努力してないんだろう。数学を舐めてるな」と責められたこともあります。
でもはっきり言って高校のころ国語の勉強なんて1秒もしていないと言い切れるし(それはそれでまずい)、数学は与えられた宿題(週30問)の倍の数(60問)を自分に課していました。
なのに、たいてい国語は満点、数学は40点前後でした。
医学部にどうしても入りたかったので理系に進んだものの、いざという時のために、国語だけで入れる大学(当時、筑波大学にそういう学部があった)も視野に入れていました。理系の授業についていけず、本気で文転しようか迷ったこともあります。
このように、発達障害の人は、一般の人より多くの壁にぶち当たります。先ほどの「国語と数学の成績」の話ではないですが、下手にできることがあるばかりに「(できないことは)手を抜いている」と思われがちです。
ひどい場合は、それが差別につながって不登校になったり、心の病に陥ることも多いのです。
→これを発達障害の「二次障害」といいます。
私の場合は、発達障害に気づかれるのが遅く、さまざまな病気にかかりました(病歴一覧はこちら)。
成人になってセカンドオピニオンを受けた時、あまりにも過去の病歴が多かったため、二次障害を疑った医師が知能検査をすすめてくれました。
そして私の正真正銘の病態がわかりました。
それが「重ね着症候群」です。
重ね着症候群は、発達障害を背景に、鬱などの精神疾患が「重ね着」する状態です。 鬱病や社会不安障害などのほか、パーソナリティ障害が合併することもあるそうです。
私は双極性障害(現在も治療中)も経験し、不安障害も経験し、パーソナリティ障害も経験しました。
しかしその時は、深層にある「発達障害」にアプローチせず、その時々の病気の治療(いわば上辺だけの治療)しかしなかったので、難治性になってしまいました。
その結果、14歳ごろから病院のお世話になっています。
そこでみなさまに知っていただきたいことは、
「得意な分野がある人は、必ずしも他の分野まで得意なわけではなく、苦手な分野がある場合もある」
ということです。
だからもし周りに「特定の何か」に長けている人がいて、その人が他のことを「同じスペック」でできなくても、勝手にサボっていると決めつけないであげてください。
もしかしたら、苦手な分野が隠れているのかもしれません。
世の中にはさまざまな人がいます。
たとえば私は、文章は得意でも、できないことばかりの人間です。
私は、せっかく生きる術として身につけた言語能力が仇になったら悲しいです。
だから、私みたいな人がいると知って欲しくて文章を書きました。
何かの参考になれば幸いです。
いいなと思ったら応援しよう!
