【音楽×恋愛】愛のままにわがままに僕は君だけを傷つけない
タイトル通り、なんてわがままで愛しい歌詞なんだろうと思った。
中学2年の私にはセンセーショナルな内容だった。
そんな曲との出会いもセンセーショナルだった。
✳︎✳︎✳︎
当時、転校生だった私は、いじめられていた。
靴を隠されたり、傘を折られたり、教科書を破られたり……
ターゲットが変わるのを恐れたいい子たちも、私を助けようとしなかった。
そんな中、クラスの目立ちもしない/地味でもない男子が、帰りのホームルームで鼻歌混じりに歌った。
クラスは、あまりの出来事に呆然としていた。
そんななか、
私のために歌われたなんて限らないのに、
私の涙腺だけが反応していた。
「そうか、私は消えたいと思っていたんだ」
「そして、消えなくてもいいのかもしれない」
◇◇◇
その日から急激にその人のことが気になり出したのはいうまでもない。
B'zは、親が好きな世代ではあったけれど、同世代が歌っているのを聴くのは初めてだった。
私の家にも、親が当時買ったB'z The Best "Pleasure"のアルバムがあったから、その人を知るつもりで必死で聴き漁った。
が好きだった。
私も銃の弾丸のように窮屈なクラスから飛び出してしまいたいと思った。この曲に、その後押しをされているような気もした。
◇◇◇
何度か靴を隠されて嫌気がさしたある日、ついに私は、借りた来客用スリッパが脱げそうになりながら、クラスを飛び出す。
もちろん、誰も追いかけてはこない。
あの人が追いかけてくることを期待したけれど、彼は歌うこと以外しなかったし、直接私と話すことはほとんどなかった。
帰り道、彼と下駄箱ですれ違った。
少し恨めしそうに彼を見ると、ポツリと一言、
と言った。
今思えば、なんでキザな男なんだろう。
でも当時の私には、少し歌詞が浮かぶ程度だった。
〝DON’T YOU CRY〟程度に慰められた気分だった。
でも帰り道「裸足の女神」を聴くと
もっと大切なことを言ってくれているような気がした。
◇◇◇
もう私はその人のことが好きだった。
って、言ってやろうかと思った。
結局言わずに受験を迎えて、卒業した。
連絡先もきけないかわりに、今もB'zを聴いている。
✳︎✳︎✳︎
B'zがサブスクで解禁された時、正直にいうと「あの人も今頃聴いてるかな」という思いが一番に駆け巡った。
私をB'z好きにしたきっかけ。
その人がいなくなってからも私を支えてくれたB'z。
たくさんのありがとうを込めて……!!
(終)