綿帽子 第三十二話
『ホームページに掲載された』
確認してみたが、注文通りではない。
情報にも誤りがある、先の思いやられる旅立ちだ。
本当にこの人に任せても大丈夫なのだろうか?そんな心配が脳裏に浮かぶ。
困ったことに家にはもうほとんど生活費も残されていない。
それを不動産屋に悟られるわけにもいかず、我慢の日々が続く。
気になった点を電話で伝えると「直ぐに修正する」と言う。
そして
「またご意見ご要望ありましたらいつでもご連絡ください」
と、ありきたりの返事が返ってくる。
これを三度繰り返した時点で俺は諦めた。
多分伝えれば伝えるほど担当者のやる気がなくなってきそうな気がしたからだ。
ホームページを確認しましたかと問えば
「確認していません、すみません」と返事が返ってくる。
「部署が違って、データを渡して要点を伝えるだけなんです」
「分かりましたが、ホームページは確認されてみては如何でしょうか」
「ごもっともです、私のミスです。次回からはしっかりと確認致します」
こういうやり取りが毎回なのだ。
暗い毎日が連続して続いていく。
秋も深まり木々の葉が色づいてきた。
ネットを眺めているとAmazonで「THE TRIO OF OZ」のファーストアルバムが1万円の値下がりをしていた。
リーダーのOmar Hakim(Ds),その奥さんのRachel Z(P),Maeve Royce(Ac-B)からなるJazzTrioで輸入版でも中々手に入れることができなくて、ずっと欲しかった代物だ。
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