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田舎の夜は暗い 〜図書室訪問の記録 2023年11月〜

11月25日(土)
この日は友人の家に遊びに行くことになっていた。一緒に行く友人家族が迎えに来てくれることになったので、図書室に寄っていってもらうことにした。
この家族は以前にも来てくれたことがあったのだけど、下のお子さんがしきりに「はじめてきた!」と言っていて、お母さんから「いやいや前も来たよ」と言われていたのが、なんだかかわいかった。

相談していたわけでもないのに、夫婦で同じ著者の本を借りていったことにはおどろかされた。政治学者の宇野重規さんの本で、なんでも最近コテンラジオがきっかけで民主主義について考えているとのこと。
その2冊の本をとおして2人の間にどんな会話が生まれたのかを聴いてみたいと思った。

その後、スーパーで買い物をし友人宅へ。

今回の集まりでは招待してくれた友人の提案で「泥酔ビブリオバトル」なるものをすることになっていた。
悩んだ末に西尾勝彦さんの詩集『場末にて』を選ぶ。

友人宅に着いたのはまだ14時くらいだったけど、さっそくお酒を飲み始める。出してくれる酒の肴も美味しくて、恐縮しながらも箸とお酒を持つ手が止まらなかった。

いい感じに酔いが回ったところで、泥酔ビブリオバトルがはじまった。
ひとり一冊ずつ本を紹介して最後に自分がいちばん読みたいと思った本の紹介に投票するらしい。

友人たちの、予想以上に熱のこもったプレゼンに慄きながら、自分の番では詩集の表題作である「場末にて」を朗読する。今思うと、プレゼンでもなんでもなかった。

読み終わったあとに友人から「内省ってこと?」と訊かれる。最初は質問の意図がわからなかったのだけど、自分の心境をその詩に投影しているか、という質問だったことがわかる。
深い考えもなく、こうやって集まってわいわいお酒を飲みながら役に立たないことをしゃべってる感じが「場末」っぽいなーと思って選んだので、「みんな場末が好きかなあと思って…」と訳のわからないことを言ってお茶を濁す。

全員の紹介が終わり、貴志祐介さんの『新世界より』を紹介した友人に投票する。自分のイメージしていたビブリオバトルってこんな感じだ!という簡潔だけど起承転結があって、それでいて熱量も伝わってくるという素晴らしいプレゼンだった。

20時ごろにそろそろ帰ることにする。家族が迎えに来る近くのコンビニまで向かおうと腰を浮かせたところ、なぜかみんなが見送りについてきてくれた。

人の家に遊びに行くってことも久しくなかったけど、こうして友人と酔っ払いながら夜の道を歩くことがずいぶんと久しぶりなことのように思えた。11月も終わりに近づき、この頃は一気に気温が下がったように記憶しているけれど、このときのことを思い出すと、寒かったことではなくて、外が真っ暗だったこととそのなかで光を放つ箱みたいに、少し先でピカピカしていたコンビニのことが浮かんでくる。酔っ払っていて、寒さを感じていなかっただけかもしれない。

今月は図書室訪問の記録というよりも、友人宅へ訪問した時の日記のようなものになりました。


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