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JASSOの海外大学院生向け奨学金合格体験記_概略
どうも!
セイタです!!
現在北京大学修士課程で社会学を学んでいます。
この記事では、自分が2023年9月より支給予定の日本学生奨学金機構(通称JASSO)が実施している海外留学支援制度(大学院学位取得型)について紹介していきたいと思います。
この記事の対象者は
・JASSOの海外留学支援制度に興味がある人
・海外大学院を検討中の学部生
・社会学を専門の大学院生
・社会人経験のある海外大学院生
を対象としています。
JASSOの奨学生はその大多数がアメリカとイギリスの奨学生であり、それ以外の国の奨学生はほとんどいません、、ちなみに、自分が採択された2023年度の奨学生を見てみると、アジア全体で2人しかいません。自分はそのうちの1人です。なので、稀少価値はその分高いかと思います(笑)
そもそもJASSOの海外大学院生向けの奨学金とは?
まずはJASSOについて簡単に説明させていただきます。JASSOとは、独立行政法人日本学生支援機構の略称であり、日本において主に学生に対する奨学金事業や留学支援・外国人留学生の就学支援を行う独立行政法人です。文部科学省の管轄になります。
以下の理念をもとに運用されています。
海外留学支援制度(大学院学位取得型)は、諸外国(地域)に所在する大学へ留学する日本人学生等に対し、独立行政法人日本学生支援機構(が、国費により学修・研究活動に必要な経費を支援することにより、留学生交流の一層の拡充を図り、日本と諸外国との相互理解と友好親善を増進し、国際的にも指導的立場で活躍できる優秀な人材の育成及び高度化に努め、グローバル人材の育成に必要な日本人学生等の海外留学を促進するとともに、日本の国際化・国際競争力強化に資することを目的とします。
ざっくり言えば、日本のためになる人材に奨学金を出すということです。これがJASSOの奨学金の大きな特徴になります。この日本のためになる人材というのは、書類審査においても面接審査においてもカギとなってきます。
読者の皆様の中にもJASSOの貸与型の奨学金を借りていた人も結構いるのではないのでしょうか?貸与型の奨学金は、将来的に返還する必要があり、なぜ奨学金という名前を付けているのかが不思議な制度です。一方、この記事で紹介する「海外留学支援制度(大学院学位取得型)」は将来返還する必要のない奨学金になります!!
その分、倍率も高く奨学生になるには一定の難易度がありますので、しっかりと準備して挑む必要があります。とはいっても、コロナ渦以降は毎年100人以上奨学生として採択されています。また、倍率も3~4倍程度なので、しっかりと準備すれば何とかなります。
また、日本政府の管轄なので、書類の提出量が膨大かつ官僚主義的な細かさが要求されます。なので、申請予定の方はしっかりと時間に余裕をもって準備しましょう。
※ちなみに、中国政府奨学金は書類そこまで多くもなく細かくもなかったので、日本政府の特徴だと思います。
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応募資格
自分が受験した2022年度の応募資格について紹介させていただきます。ひょっとすると変更されているかもしれないので、最新の情報はJASSOのHPにてご確認ください。
ざっくり言えば以下のような条件があります。
・修士または博士の学位取得を目的とするもの
・学士以上の学位を取得または取得見込みであること
・日本人及び日本永住者
・年齢制限:修士35歳、博士40歳
・支援期間開始時から終了時までの間に、大学、企業等に雇用されていない者
・GPAが3.00以上
海外大学院生向けの奨学金を申請するにあたって、一般的な内容がほとんどですが、注意しておかなければならない点が2点ほどあります。
一つ目が年齢です。修士だと申請時に35歳以上だと採択されませんのでご注意を。
もう一つがGPAです。学部の時のGPAが3.0未満の場合は申請できません。まあ、海外の大学院を志すような人たちなので最低でもそれくらいのGPAは取得しているとは思いますが、法学部や一部の旧帝国大学はけっこうシビアに成績をつけられるので、学部の時からしっかりと勉強しておくようにしましょう。
また、海外大学院を受験する際に、GPAを簡単に上げられる裏ワザと名高いWorld Educational Service(通称WES)もJASSOでは使用できません。ちなみに、WESを使えば、GPSを0.6~0.9ほど上げることができるそうです。
※WESに興味のある人は下記のブログをご覧ください。GPAの算出方法から詳しく紹介してくれています。
奨学金の内容
奨学金の内容としては、生活費と授業料があります。
受給期間は修士ならば2年で、博士は3年までです。自分は中国の修士の中でも「学術修士」に所属しており、修了までに3年の期間が必要とされます。その場合でも支給期間は2年となります。
自分は修士1年の時に申請し忘れたので、修士2年と3年の時に受給することになりました(笑)
生活費
まず、生活費に関してなのですが、留学先に応じて以下の4区分に分けられます。
・148,000円(指定都市)
・118,000円(甲地区)
・104,000円(乙地区)
・89,000円(丙地区)
指定都市には、シンガポール、パリ、ロサンゼルス、ニューヨーク、ロンドンが含まれます。
甲地区には、北米、欧州、一部中近東が含まれます。
乙地区には、その他の中近東、韓国、フィリピン、インドネシア、ミャンマーなどの発展しているアジアが含まれます。
丙地区には、アジア、中南米、アフリカが含まれます。
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中国北京はまさかの一番下の扱いです。。インドネシアやミャンマーでさえ乙地区扱いなのに、、
北京の家賃は東京より高いんですけどね、、、
ただ、確認したところ北京大学から他の国に交換留学に行った場合には留学先の区分に変更されるようです!!なので、例えばシンガポールに交換留学すれば、「指定都市」と「丙地区」の差額の59,000円分追加で支給されます~
授業料
授業料に関しては、1万ドル(約140万円)までは実費で支給されます。1万ドルを超える場合は、採用状況により予算の範囲内で追加支給される場合があります。ただ、その場合でも上限は250万円までとなっています。アメリカやイギリスの大学だとどう考えても授業料自分で出さないとだめになりそうですね、、、
自分は中国政府奨学金の奨学生であったため、授業料全額免除なのでここはまったく気にしませんでした。
ちなみに、もし学費を払うとなっても、北京大学文系修士の留学生の学費は年間29,000元(約580,000円)なので、JASSOの支給範囲に収まります。
倍率
気になる倍率なのですが、ザクッとみるとおよそ3~4倍程度です。
それでは直近3年の合格者の傾向を見ていきます。
2021年度奨学生の傾向
まず、2021年のデータから見ていきます。
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2021年度は倍率約4.3倍です。
合格者の国別にみると
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イギリスとアメリカで79名なので全体の7割以上を占めます。
また、アジア全体でも5名でしかいません。
しかも、中国本土は1名しかいません、、
2022年度奨学生の傾向
次に2022年度の合格者を見ていきます。
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倍率は3.7倍ほどです。
応募者の数は変わりませんが、合格者が20人ほど増えたため、倍率が下がっています。
次に国別の傾向です。
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イギリスとアメリカで88名と引き続き全体の7割以上を占めています。
アジア圏は前年同様5名です。
中国本土も変わらず1名です。
2023年奨学生の傾向
最後に2023年の傾向を見ていきます。
自分はこの年度の奨学生です!!!
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倍率は3倍にまで下がりました。
応募者の数は変わりませんが、合格者がさらに増えたため、倍率が下がっています。国策で留学生を増やそうとしているのでしょうか?
次に、国別の傾向です。
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イギリスとアメリカで二か国で105名となりました。
また、アジア圏の奨学生は中国本土の2名のみです。この年はアジア圏の学生に厳しかったようですね、、
以上3年分の合格者の傾向を見ていきましたが、応募者は毎年450人前後で安定しています。ただ、2年連続合格者数が増えているので、倍率は下降傾向にあります。なので、ねらい目かもしれませんね!
また、国別にみると、アメリカとイギリスが奨学生が7割近くを占めているため、それ以外の国の学生は少し厳しい戦いを強いられるかもしれません。
選考フロー
最後に選考フローについて説明させていただきます。JASSOの奨学金が少し特殊なのは、「大学取りまとめ型」という形式をとることです。これは自分の学部の時に在籍していた大学の教務がその大学の学生を一括でやり取りするという方式です。
僕の知り合いは学部T大学で、修士をアメリカで取得し、数年間働いた後に博士号を取得しようと思い、JASSOに応募しようとしたのですが、T大学に拒否されたそうです。その場合は、個人でやり取りする必要があります。
ちなみに、JASSOはプロセスが煩雑なので、大学に取りまとめてもらっても面倒なのに、これを個人でやるとなると発狂しそうです(笑)
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大まかな選考フローとしては
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となります。
それぞれの審査の詳細や対策法については、以下の記事で説明しております。
それでは、本記事は以上とさせていただきます。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
JASSOの海外大学院生向けの奨学金に関して理解を深めていただけると幸いです。
次の記事では「書類審査の概略」に関して書いております!
そちらご参考にしていただければ幸いです。
また、以下の記事では、「研究計画書の書き方」に関して書いています!
ここが最も重要な箇所となりますので、ぜひご覧ください~
最後に「面接審査」に関しても書いております!
自分の体験や知り合いの話をもとになるべく包括的に書いているので、ぜひ参考にしてください。
下記のマガジンで本記事のように奨学金の申請や選考過程に関しての情報を紹介しています。
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