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カレッジ(College)とは何か?-オックスフォード大学特有の制度について

どうも!
セイタです!!
北京大学の修士課程で社会学を学んでいます。
現在はオックスフォード大学のOxford Institute of Population Ageingにて訪問学生として学んでいます。


オックスフォード大学には39のカレッジが存在しています。その中でも最も古いカレッジであるUniversity Collegeは1249年に設立されており、カレッジは時代とともに増えているそうです。


僕自身はAcademic Visitorという身分なので、特にカレッジには所属していないのですが、学生証は持っているのでカレッジに入ることはできます。僕は3か月で全体の半分である20のカレッジを見学しました。
※現在Associate Memberとしてカレッジの福利厚生を享受できるか申請中です。


オックスフォードのカレッジ制は僕も来た当時はよくわからなかったのですが、色々調べたり、色々な人に話を聞くことを通してなんとなく理解できるようになりました。そこで、この記事ではカレッジとは何なのかについて紹介していきたいと思います。
※僕自身がカレッジに所属していないので、間違った箇所があれば教えていただきたいです。


この記事の対象者は
・オックスフォード大学のカレッジ制に興味がある人
・世界最高の大学の雰囲気を知りたい人
・イギリスの大学を検討している人

になります。



カレッジとは?

オックスフォード大学は世界的に見ても非常に珍しいカレッジ制を採用しています。(ケンブリッジ大学も似たような制度です。)カレッジは以下のような特徴を持っています。

志願者は大学を構成するカレッジに入学を願い出る。38のカレッジのいずれかに入学を許可されなくてはならず、カレッジによって毛色が異なる。カレッジと科目は無関係である

コリン・ジョイス:『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』三賢社 2018年 第1節:すべては”カレッジ”から始まる
※2019年にReuben Collegeができたため、現在は39のカレッジ


なので、カレッジ一つ一つが大学のようなものであり、39のカレッジの連合体がオックスフォード大学となっているといってもいいでしょう。また、このようなカレッジは必然性があって誕生したというよりは諸学派や宗教的な共同体から派生していき、自然発生的に発展していったそうです。



カレッジの名前と設立年を列挙させていただきます(アルファベット順)。

- All Souls College (1438)
- Balliol College (1263)
- Brasenose College (1509)
- Christ Church (1546)
- Corpus Christi College (1517)
- Exeter College (1314)
- Green Templeton College (2008)
- Harris Manchester College (1786)
- Hertford College (1282)
- Jesus College (1571)
- Keble College (1870)
- Lady Margaret Hall (1878)
- Linacre College (1962)
- Lincoln College (1427)
- Magdalen College (1458)
- Mansfield College (1886)
- Merton College (1264)
- New College (1379)
- Nuffield College (1937)
- Oriel College (1326)
- Pembroke College (1624)
- The Queen's College (1341)
- Regent's Park College (1810)
- Reuben College (2019)
- St Anne's College (1879)
- St Antony's College (1950)
- St Catherine's College (1962)
- St Cross College (1965)
- St Edmund Hall (1278)
- St Hilda's College (1893)
- St Hugh's College (1886)
- St John's College (1555)
- St Peter's College (1929)
- Somerville College (1879)
- Trinity College (1555)
- University College (1249)
- Wadham College (1610)
- Wolfson College (1965)
- Worcester College (1714)

Chat GPTを使ったので間違っている場合はコメントしていただけると幸いです



カレッジに所属するメリット

それでは、カレッジに所属していない僕から見たカレッジに所属していて、うらやましいなと思う点について書いていきます。


コミュニティ

何よりも重要なのが、コミュニティです!!それぞれのカレッジの学生は自分のカレッジに強い帰属意識を持っております。例えば自己紹介をするときには必ずカレッジを聞かれます。で、僕は「訪問学者だからカレッジ所属していないんだ」というと、変な空気になります。


なお、オックスフォード大学の学部4年生の中国人や、修士と博士をオックスフォード大学で取得した日本人にその話をしたら、「長いことオックスフォードいるけど、カレッジに所属していない人初めて見た」みたいなことを言われます。


ただ、自分の周りのVisiting Scholar(訪問学者)としてオックスフォード大学に来ている中国人学生はほぼ全員カレッジに所属していません。また、訪問学者のグループがあるのですが、130人以上います。たぶん、中国人の訪問学者は訪問学者同士、オックスフォード大学の正規学生とつるむ場合でも博士以上の中国人としかつるまないからあまり知られていないのだろうなと勝手に納得していました。



ちなみに、自分と同じく北京大学から来た訪問学者の先輩がいたのですが、その人はAssociate MemberとしてExeter Collegeに所属していると言っていました。以下の文章がAssociate Memberに関する説明です。

Graduate students at Exeter are automatically granted ordinary membership status of the MCR. However, under certain circumstances, other people may also apply for associate membership of the college.
Associate membership comes with a variety of privileges, including:
-Invitations to all MCR social events.
-Access to College spaces, including the MCR itself, the Fellows’ Garden (best photo spot in Oxford!), the Dining Hall, and Cohen Quad. Note that the Library is not open to associate members.

What is associate membership?


平たく言えば、図書館以外のCollegeの設備である中庭や食堂、パブを使える準カレッジメンバーのことです。登録の条件として、現在カレッジにいるメンバーの推薦を受けた上でBoard Memberの許可が必要とのことです。また、1ターム50ポンド(約9700円)が必要です。


カレッジの生活こそがオックスフォード大学の醍醐味みたいな話を聞いたので、その先輩にお願いして、第二タームからAssociate Memberになれるように動き始めました。受かることを祈っています。



このように、カレッジは帰属意識が強いためか、カレッジごとに服を作ったりしています。

“Oxford University”のロゴ入りのトレーナーは人気だが、それを着ているのはほぼ観光客である。オックスフォード生はカレッジのトレーナーやマフラーを身につける。

コリン・ジョイス:『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』三賢社 2018年 第1節:すべては”カレッジ”から始まる


僕も観光客と思われたくないので、カレッジの服が欲しいです(笑)カレッジ毎に頼む場合だとジャケットが35ポンド(約6800円)ほどで買えるそうです。また、少し割高になりますが、以下のサイトからは誰でも購入できるそうです。

https://thecollegestore.co.uk/collections/university-college




食堂

更にカレッジはそれそのものが一つの生活環境ともいえます。当然各カレッジに食堂があります。イギリスなので、味は正直いまいちです。また、カレッジ毎に結構差があるように思います。大半のカレッジはそのカレッジの学生しか使えません。一部のカレッジは誰でも使用できますが、値段が1.5-2倍近くかかります


まずはMansfield collegeの食堂です。ここは学生以外も食事できます。ただし、学生に比べて値段が倍近くするそうで、僕は9.2ポンド(約1800円)払いました。

Mansfiledの食堂です。
ラム肉とご飯とズッキーニ



友達のベトナム人にSt Hugh collegeにてご飯を奢ってもらいました!!確か5-6ポンドくらいだったような。。

チキンパイとスープ



ここはSt Anthonyです。日本研究センターがあるため、日本人が多めです。ここの食堂が一番おいしかったです。中国人の友人におごってもらったのですが、中国人も認めていました。

ラム肉とチキンライト、ベビーポテト





パブ

さらにどのカレッジにも専用のパブまであるそうです。

ぼくの時代のセント・アンズのバーは、学生が仕切っていた。ほぼ報われない仕事だった。発注、受取り、ビールサーバーの洗浄、(ささやかな賃金で働く学生の)スタッフのシフト表づくり。だが、いささかの敬意もいだかれていた。

コリン・ジョイス:『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』三賢社 2018年 第14節:オックスフォードのトリビア


バーは比較的安いと思います。学外のパブでビールを1パイント頼むとだいたい6ポンド(1150円)程度なのですが、カレッジのパブで飲むと3パイント程度で飲めます。また、みんなオックスフォードの学生なので、雰囲気も良いです。

St Peter Collegeのパブです。
タッチラグビーのSocialイベントとして参加しました。
アップルサイダーが2.5ポンドから
バドワイザーも3ポンド弱で飲めたはずです。




Formal Dinner

何よりも重要なのがFormal Dinnerです!!これはカレッジが実施しているディナー会のことで10-15ポンド(1900-2850円)程度の安価でしっかりとした西洋料理が味わえます!!僕も友達や中国人の学生団体に招待されて何度か参加しました!!


友達に誘ってもらって、参加したThe Queens Collegeのフォーマルディナーです。ここのフォーマルはおいしいそうです。



次は中国学聯という訪問学者向けにイベントを開いてくれる学生団体のフォーマルです。Balliol Collegeという伝統あるカレッジにて開催されました。







古いカレッジについて

カレッジの設立年が古いほど、格が高いとみなされるそうです。

歴史を誇るカレッジの学生は、セント・アンズなどの後発組のカレッジを見下すような態度を取る。振興のカレッジの強みとしては、だいたいにおいて”ソーシャルミックス”が進んでいて、さまざまな社会階層や地域の学生たちが集まっている。

コリン・ジョイス:『なぜオックスフォードが世界一の大学なのか』三賢社 2018年 第1節:すべては”カレッジ”から始まる


古くからあるカレッジとして、
・University College (1249)
・Balliol College (1263)
・Merton College (1264)

の三つがあります。なお、この三つのカレッジはそれぞれが自らのカレッジこそが最古のカレッジと主張しています。


あくまで傾向についてですが、古いカレッジほどイギリス人、しかもパブリックスクールという名門校出身のお坊ちゃんが多いそうです。


日本人会で出会ったとある修士の学生は諸事情により、比較的新しいカレッジ (1962)から伝統あるカレッジ (1379)に移ったそうなのですが、そのことを嘆いていました。


というのも、伝統あるカレッジの学生は非常に排他的で、「学部はどのカレッジなの?」と聞かれて日本の大学と言った瞬間に、「Oh」と言われて話が終わったそうです(笑)彼らの中ではオックスフォードとケンブリッジしか頭にないことが垣間見えたそうです。


古くて権威のあるカレッジに行くことは名誉あることなのですが、それが必ずしも幸せな学校生活につながるかはまた別ということなのでしょう。



ここまで読んでいただきありがとうございます。以上が、カレッジに所属しない僕が、「カレッジうらやましいな」と思いながら色々な人に話を聞きながら調べたことになります。何か訂正や質問などがあれば是非ともコメントいただきたいです。



以下のマガジンでは、オックスフォード大学のことについて書いています。


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