見出し画像

北京大学からオックスフォード大学へ!!_訪問留学プログラムの申請について

どうも!
セイタです!!
北京大学社修士課程で社会学を学んでいます。
現在はオックスフォード大学のOxford Institute of Population AgeingにてAcademic Visitorとして学んでいます。


この記事では自分がオックスフォード大学に訪問留学しているプログラムと選抜過程について書いていこうと思います。なお、このプログラムは北京大学人口学研究所が実施しています。


この記事の対象者は
・オックスフォード大学に行きたい人
・中国の大学の海外留学制度に興味のある人
・どのように海外留学プログラムの申請をしたらいいのか知りたい人

です。




プログラム概略

僕が現在参加しているプログラムの正式名称は「北京大学老龄化研究学生国际交流赴牛津大学项目(北京大学高齢化研究学生国際交流オックスフォード訪問プログラム)」と言います。


北京大学の人口学研究所もOxford Institute of Population Ageingもともに高齢化について研究している研究機関であり、このプログラムでも高齢者研究を行うことが求められます。


なお、Webサイトには今回のプログラムの目的として以下のようなものが挙げられています。

本プロジェクトは、北京大学の学生に国際的な学術交流の機会を提供し、高齢者研究の学際的研究レベルを向上し、人材育成を推進することを目的としています。《新時代の高齢者関連事業強化に関する中共中央国務院の意見》における高齢者研究の専門分野の建設と人材育成に関する要求に答えるために、国際的視野、体系的な専門知識、しっかりとした学際的研究能力を持つ高度なイノベーティブ人材を育成し、人口高齢化への積極的な対応と健康中国2030戦略目標に貢献することを目指します。

上記の太字の箇所が中央政府に関連する箇所です。中国のアカデミアの特徴なのですが、政策について言及することが非常に多いです。


なお、今回のプログラムは北京大学在籍中の修士・博士の学生のみ応募可能です。また、専門なのですが、以下の専門分野の学生を想定しているそうです。
※左が大分類で、右が小分類です。

漢字なので多分伝わると思うのでそのまま載せました(笑)
ざっくり言えば、人口学、心理学、公衆衛生分野がメインとなっていますね。



書類提出

それではどのような書類を提出したのかについて書いていきます。


まず、成績証明書です。今回のプログラムではGPAが3.5以上であることが求められます。


また、英語力の証明も必要です。英語の条件は
・IELTS6.5以上(2023年9月以降受験)
・TOEFL90以上(2023年9月以降受験)
・大学英語六級500以上(2019年9月以降受験)

のどれかを満たしていればいいそうです。


大学英語六級というのは中国独自の英語のテストで六級500以上だとIELTS換算5.5-6.0で、TOEFL80程度だそうです。なので、明らかにTOEFLとIELTSを受けるよりも楽です。しかも、このプログラムの申請が2024年4月だったのですが、4年以上前の試験結果でもよかったそうです。一方、IELTSやTOEFLは直近の受験しかだめというアンバランスさがあります。実際、一緒に来ている中国人の学生は一部を除きあまり英語が得意ではありません


さらに、推薦状が2枚必要となります。僕は指導教官と学部時代に懇意にさせてもらった経済学部の先生にお願いしました。



研究計画書(Research Proposal)

何よりも重要なのが研究計画書(Research Proposal)になります。このプログラムでは、帰国後に英語での論文を2本書くことを求められています
※なお、期限は設けられていません笑


なので、しっかりとした研究計画書が最も重要だと言えましょう。自分は具体的な内容の研究計画書を書くのは初めてだったので以下のサイトを参考にしました。

How to Write a Research Proposal | Examples & Templates


基本的には、普通に論文を書くように研究背景や先行研究、研究手法について書いていけばいいと思います。ただ、2点追加しないといけない項目があります。


1つがResearch Questionです。これは一番最初に持ってきておいた方がいいような気がします。なお、自分は以下のように書きました。ちなみに、研究計画書のテーマは《The Effect of Changing Migrational Trends Amongst the Chinese Elderly Population on Their Subjective Well-being》です。

・How will the migration of elderly citizens change in China?
・How do changing migrational trends affect the well-being and fulfilment of older people in China?
・What are the essential lessons from the ageing society in Japan?


もう1つが、Research Scheduleです。これは最後に入れておいた方がいいと思います。

以上が研究計画書(Research Proposal)に関する概略です。なお、文献の調査から実際の執筆も含めて25時間強かかりました。


これらの書類一式を4月9日に送ったのですが、4月16日には書類審査を合格したという連絡が来ました。そして、4月19日は面接があるということを伝えられました。ものすごく展開が早いですね。



面接

書類選考の合格通知からわずか3日後には面接があるというタイトなスケジュールでした。なお、教務の方からは「あなたの面接番号は1番です」と言われました。



面接準備

面接まで時間はあまりなかったのですが、できる限りの準備をしようと思い、第1次応募を終えた先輩にどんな内容を質問されたかを確認しました。
※なお自分は第2次応募です。


その人は「研究計画書についていろいろ深堀されるから準備していた方がいい」と言っていました。なので以下のようなスライドを10枚くらい作って準備してました。


それ以外にも

・イギリスでどのように研究を進めていくのか?
・帰国後にどのように研究を行っていくのか?
・なぜオックスフォード大学人口学研究所なのか?
・趣味や興味関心
・強みと弱み

などの質問に対して9時間程度かけて準備していました。



実際の面接

面接はオンラインだったのですが、自分以外に3人先生がいます。一人はオックスフォード大学の研究員で、後の2人が北京大学のメンバーだった気がします。最初に、英語で簡単な自己紹介をしました。


その後、オックスフォード大学の先生から「働いてたときのこと、そして仕事を辞めて北京大学を選んだモチベーション」英語で聞かれました。完全に想定外の質問でした(笑)そのため、しどろもどろになりながらそれっぽいことを答えました。中国語ならばまだよかったのですが、英語なのもしんどかったです。


次に、「研究経歴として、高齢者問題を研究したことがないが、イギリスではどのように研究を進めていくつもりか?」中国語で聞かれました。これは自分の指導教官が高齢者研究の第一人者で普段の研究室でも読書会を実施しているし、自分自身も多くの論文を読んでいるといった内容を答えました。自分の指導教官の名前を出したら、一発でした(笑)


最後の質問が「海外で長期滞在した経験はあるのか?また、イギリスでの生活は適応できそうか?」と中国語で聞かれました。「中国も自分からすれば海外ですよ」と言いたい気持ちを押し殺して、「フィリピンに2か月住んだことがあり、どんな環境でもやっていける。問題があるとすれば、お金のみ」と答えました。すると、「お金はどうするの?」と言われたので、「奨学金を3つもらっているので大丈夫」と返しました。



以上で面接が終わりました。だいたい15-20分くらいだった気がします。上記内容を見てもらえばわかると思うのですが、質問内容がめちゃくちゃゆるかったです(笑)なので、あらかた合格は決まっていたように感じます。



合格後

上記の面接を得て、3日後の4月22日には合格通知が来ました。ちょうど四川省の九塞溝に旅行していたので、ホテルで喜んでいた記憶があります。また、北京大学から2等奨学金として2万元(約40万円)をもらいました。高い生活費の足しにはなりますね。


その後は事務的なやりとりが続きましたが、6月24日に人口学研究所の所長と先行に関わっていた教員と今回オックスフォード大学に留学するメンバーで顔合わせ会がありました。そこでは主に以下のような内容の注意点やアドバイスを受けました。なお、教務の先生が非常に仕事のできる先生で、全部まとめてくれました!!

・授業やセミナーは、規定に従って受講してください。
・休暇を希望する場合は、1ヶ月前までに英国の指導教員および高齢研究所の担当教員に連絡してください。
・オックスフォード老齢研究所の授業や学術活動を優先し、無断欠席はしないようにしてください。
・学術成果を発表する際には、謝辞にプロジェクト名、北京大学人口研究所、オックスフォード高齢研究所の名前、および協力いただいた教員や同級生の名前を記載してください。
・第三国への訪問は、1ヶ月前に担当教員に報告する必要があります。
・多くの現金を持ち歩く必要はありません。農業銀行や工商銀行のクレジットカードが利用可能です。
・各学生は、陳功先生のグループミーティングで学術発表を行う必要があります。
・必要な薬を十分に持参してください。病院での診察は非常に不便です。
・健康と安全には気を配り、夜8時以降はできるだけ外出を控えてください。イギリスの一部地域では、強盗の危険があります。
・現地の法律を守り、北京大学の海外訪問に関するガイドラインを事前に読んでおきましょう。
・イギリスで「私の提案は…」と言われた場合、それは提案ではなく実質的な要求と理解してください。授業に遅刻や無断欠席はしないようにしましょう。
・各学生は、総括レポート(中間評価は英国の指導教員が行います)と、老齢に関する英語論文2本(Working paperでも可)を提出する必要があります。
・指導教員との密なコミュニケーションが必要で、週に1回以上連絡を取り合ってください。
・毎月、北京大学人口学研究所の教員とご飯会を行ってください。
・指導教員との連絡は、北京大学またはオックスフォードのメールアドレスを使用してください。論文投稿の際も使用するメールアドレスに注意してください。
・入学後、システムを通じて5000ポンドの登録料を一括で支払う必要があります。もし問題があれば、事前に海外の教員に相談してください。
・オックスフォードでNHS健康保険に登録することが可能です。
・9月末から10月初めには、10校のトップ大学が参加する学術会議があり、積極的に参加するようにしてください。陳功先生も参加されます。冬休みには、陳先生がオックスフォードを訪問します。
・夏休み中に研究計画をしっかりと練り上げてください。


この内容は、文化の違いから中国人の学生が陥りがちな問題やイギリスでの生活上の豆知識などを丁寧に教えてくれました。今見直すと非常に役に立つアドバイスだなと思います。



実際のプログラム内容

10月13日から学期が始まり、Oxford institute of population ageingにて約2週間授業を受けました。ざっくりとどのような内容なのかを説明させていただきます。なお、オックスフォード大学は3学期制で1学期は8週間となります。


以下がスケジュール表になります。

月曜日と金曜日は特に何もありません。


火曜日の午前中は「Econometrics and Statistical Methods for Social Science Research」という計量経済学の授業です。ここで定量調査に必要なスキルを英語で学びます。90分で1つのトピックで、「回帰分析」、「一般線形モデル」、「操作変数法」、「固定効果モデルとランダム効果モデル」、「傾向スコアとDID」などをそれぞれ終わらせます。そのため、表面をかいなでるだけになってしまいます。しかし、数学的な観点から解説してくれるので割とためになります。なお、先生は中国人です。生徒も僕以外全員中国人です(笑)


火曜の午後は、「Public Policies and Older Adults」というテーマで南米の研究者がブラジルやアルゼンチンでの研究を紹介してくれます。プレゼンターの人の英語があまりうまくないので割と苦痛です、、


水曜日は、北京大学の学生が自分の研究内容についてプレゼンします。それについて先生や他の学生がコメントしていきます。


木曜日は、「Ageing, Gender & Sexuality」に関する講義をまずは聞きます。その後、オックスフォード大学の研究員とともに先ほどの講義の良かったところと悪かったところを話し合い、自分の研究発表に活かせるようにするにはどうしたらいいのかといった話をします。


プログラムの内容に関しては、留学が終了後に改めてまとめようと思います!!


それでは本記事は以上となります。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
引き続きオックスフォード大学での日々について執筆していきますので、今後ともよろしくお願いいたします。



下記のマガジンでは、北京大学での日々について書いています。



下記のマガジンではオックスフォード大学での日々について執筆しています。



下記のマガジンでは、人口学について執筆しています。



下記のマガジンでは、自分が獲得してきた奨学金や申請のコツなどについて執筆しています。




もし気に入っていただけたならば、
スキとフォロー、マガジンの購読よろしくお願いします~



いいなと思ったら応援しよう!