愛はコンビニでも買えるけれど、もう少し探そうよ。
6月20日は父の日。毎年広告やキャンペーンでも大きく取り上げられる母の日に比べて少し影が薄いような父の日。今年はお父さんにも感謝を伝えてみませんか?
わたしと父の思い出
わたしの父は無口だ。超おしゃべりで趣味の合う母とは、永遠に話してられるけれど、父とは送り迎えをしてくれる車の中でもイヤホンをつけて音楽を聴いてしまうくらいあまり会話がない。でもそんな父との間には「ずっと忘れられない思い出」と、「救われた言葉」がある。
思春期の娘と父と夏フェス
高校生の頃、音楽の趣味ほぼ一緒の母とずっと「行きたいね!」と話していた夏フェスに行く約束をした。初めての夏フェスで、「こんなにアーティストが出るのか」と豪華すぎる出演者たちに心を踊らせていた。しかし、当日の朝に事件は起こった。
「母の二日酔い」だ。
前日、会社の付き合いで飲みすぎてしまった母は、遠出ができないような状況だった。今ならその気持ち、めちゃくちゃわかる…のだけれど当時のわたしは大号泣。悔しくて、何度も「行こう!」と粘った。
すると、今ドキの音楽なんて全く知らないし、好んで暑い場所に行くなんて考えられない父が「お父さんと行こう。」と声を上げた。「え…お父さんと?」という戸惑いはあったけれど、フェスに行ける喜びが勝ち、初めてのフェスはお父さんと行くこととなった。
最初は、イケイケの若者やアウトドアを好むおしゃれな人々で溢れかえるフェスの中で、あまり会話もなくおとなしい親子は悪目立ちしているのではないかとチラチラ周りを気にしていた。しかし音楽の力はすごい。超楽しい。大勢で楽しむ臨場感とCDで聴くのと全く違う生の歌声に感動した。このあとの人生に何度も影響を与えてくれたスピッツとの出会いの場にもなった。本当に行ってよかった。
父は楽しめているのか気になった。普段さだまさしとか南こうせつを好んでいるひとだ。でも、父も「このひとたちいいね。」というアーティストを見つけていた。数日後に一緒に行ったTSUTAYAで、その人達のCDをレンタルしていた父をみて素直に嬉しかった。照れくさくて忘れられない父との思い出。父にとってもいい思い出になっていたら嬉しいな。
夢を応援してくれた静かな言葉
わたしの夢は「コピーライター」になること。学生の頃からぼんやりと思っていた広告に携わりたいという気持ちは、業界のひとと話したり、いろんな本を読む中で次第に大きくなっていった。その中で、言葉で人の心を動かす「コピーライター」になりたい。という想いが芽生えた。久しぶりに夢ができた。
だから、広告業界に絞って就職活動を行った。周りがいろんな業界にエントリーしてとりあえず数社の内定を保険を手にし頑張っている中、わたしは内定ゼロのまま落ちまくっていた。
母は一番に私の夢を理解してくれていたし、応援してくれていた。しかしなかなか内定が出ずになれるかもわからない夢を追いかけるわたしが心配だったのだろう。「他の業界も受けてみれば?」と何度も逃げ道を用意してくれた母だったが、わたしは頑なに「広告だけでいく。」と譲らなかった。
ある日喧嘩になった。
「そんなにコピーライターになりたいんだったら、大学じゃなくて専門学校に行けばよかったじゃない。」と母が言った。そんな簡単に言うなと泣きながら言い訳を考えている中で、ずっと黙って話を聞いていた父が口を開いた。「大学に行って色んな経験をしたから、コピーライターになりたいって思えたんじゃないの。応援してあげようよ。」と。
後に母から聞いた話だが、母がずっとわたしの就職活動を心配してくれていたとき、父は「大丈夫。あの子ならどこかに入るよ。」と声をかけてくれていたそうだ。直接何もいわれなかったけど、父はずっとわたしのことを信じ、応援してくれていたのだ。
本日から公開されたサントリーの父の日ムービー。
わたしにとっては、素敵な過去になってるよ。
照れ隠しに「父の日」を使おう。
今日は父の日。一緒に暮らしていた頃はコンビニでコーヒーを買って渡すくらいだったけど、ひとり暮らしを始めてからはちょっとした贈り物を探すようになった。今年は念願の教頭先生になったお祝いに、良いネクタイを買ってあげようと思う。父に「ありがとう」って普段言うのは恥ずかしいけど今日なら言える!父の日って良い日だ!
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