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あなたへ向けた日記 No.20

あなたへ向けた日記。もともと、noteはこういうものを書こうと思って始めたのだが、かれこれ No.20になったようだ。

さて、記念すべき?20個目を誰に何を書くかと考えた。親か、妻か、友人か、少し悩んだが、やはり息子のことが1番に頭に浮かぶ。だから君に向けて書く。

君は言葉が遅かったし、今も早いとは言えないだろう。家族や保育園の先生、友達なら聞き取れるが、第三者が聞いたらわからないかもしれない。

保育園に入った頃からそうだった。そこで、君が身につけた、友達から自分を守る術は、おそらくつねったり引っ掻いたりだっただろう。

何かが自分の思い通りにならない時、それでもなんとかしてやろうと思う時、大人でも、それを暴力に訴えようという発想はあるものだ。お父さんも、ないわけではない。それ自体は別に悪いことではない。

それから君も成長して、最近では友達同士の喧嘩を止めるようになったそうだね。保育園の先生から聞いた。その引き換えで、目のそばをひっかかれたみたいだ。先生は謝ってくれたが、おとうさんはなんだか、嬉しいような誇らしいような、素敵な気持ちになったよ。

君は勇気があると思う。基本的には引っ込み思案だけど、いざという時には周りが驚くような行動力や能力を見せる時がある。高いところからジャンプできなくても、英語の読み書きができなくてもいい。そんなことより、とっても大切なことができていると思う。親バカと言われるだろうか。でもそれでもいい。お父さんはそう思っているぞ。

保育園で、してはいけないことを何度もしてきたり、攻撃してきたり、やめてと言っても何度もしてくる友達に、うんざりしているようだけど。それが嫌で保育園に行きたくないとか言ったり。

お父さんもお母さんも、「やめて」と言って、それでもやめなかったら先生に相談したらいい、と言うけど、君はとっくにそうしていたようだ。えらい。だがそれでもやめてくれないと、時々、保育園に行くのも嫌だと感じるみたいで、朝、よく君はそう言っている。

世の中にはいろんな人がいる。時には嫌な人もいるだろう。そういう時は先生みたいな人に言いつけるのが1番だ。だからお父さんもお母さんもそう言っていたのだけど、どうやらそれでは解決しないようだ。それで君が嫌な思いをするのは間違っている。だからお父さんは君にこう言った。

「やめてと言ってやめてくれるのが1番だけど、どうしてもやめてくれなくて、君が嫌な思いをするなら、その時はやり返してもいいぞ」

そしたら君は、「やり返すのはダメだって先生が言ってた」という。それはその通り。よく先生の言うことを聞いていてえらい。

けど、お父さんはやり返してもいいと思うぞ。何より、ルールを守っている君の方が嫌な思いをするという体験を、「世の中はそんなもんだから」と我慢させてはいけないと思ったから。

その時、お父さんは条件をつけた。「まずはやめてと言って、それでもダメなら先生にも言って。それでもやめてくれなくて、どうしても我慢できなくなったら、だよ」、と。

やり返していいと言われたからといって、君がやたらと暴力を振るうとは思っていない。けど、それは言っておくべきだと思ったのだ。その上で、最後にこう言った。

「ね、わかったね。それでもどうしても我慢できなかったら、君が思うようにやってやれ。お父さんは君を信じてる。何があったって、君の味方だからね」

うん、と泣きそうな顔で頷いて、その日は保育園に行った。お子さんが他の子を引っ掻いた、叩いた、と連絡がこないかな、帰り際に言われるかな、といろいろ思いながら。でも、案外なにもなく、その日は終わった。

帰ってきてから、妻にそのことを話した。妻は保育士だから、そんなことを吹き込んだ上で保育園に連れてこられることをどう思うかなというのもあったが、意外と、そうだね、と納得していた。

息子に聞いてみた。「今日は〜くんどうだった?」とそしたら、

「やめてって言ってもやめてくれなかったけど、先生に言ったらやめてくれた」

とのこと。きちんと言ったことは覚えていて、守ってくれたんだな、と思った。うちの子はえらい。親や先生の言ったことをきちんと守ってくれる。我慢できなかったこともきちんと理由と共に説明してくれる。本当に偉い。

ちなみに。君は偉いな、いい子だな、お父さんとお母さんのだいじだいじだね、と言いながらご飯を食べている時、君は言ったんだ。

「そういえば、“信じてる”ってどういうこと?」

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