音楽制作につかう機材 〜イヤホン・スピーカー編〜
【自己紹介】
2022年4月より講師をしている2018年度卒業生の中園 湧也(なかぞの わくや)です。
皆さん、音楽はお好きですか?
僕は高校生の頃に立川・八王子合同エンターテインメントゼミに所属し、楽器演奏と音響を学んでいました。
もちろん楽器を演奏するのも好きなのですが、音楽を聴く方が好きだったりします。
今はレコーディングエンジニアとして音楽制作に携わっていて、録音・編集を主軸にしています。
【音楽制作に使う機材の話】
音楽鑑賞に用いるのはイヤホン・ヘッドホン・スピーカーの3種ですが、今日はその中でもとくに使用頻度と普及率の高いイヤホンとヘッドホンに焦点を絞って、音楽制作の観点から書いていこうと思います。
Ⅰ.イヤホン編
イヤホンは音楽再生機器のひとつで、その中でも最も小型で軽量で、持ち運びに適していて通勤や運動時に音楽を楽しむのに向いています。
小型で軽量故に迫力や忠実さを表現するためのメーカーの努力を感じやすいです。
音楽再生機器の中では発音部品が一番鼓膜に近く、音をダイレクトに感じられる反面、聴力の低下を最も招きやすいです。
1.Apple AirPods Pro
僕が現在使用している物のうちのひとつ「Apple Air Pods Pro」はApple iOSやMac OSでの使用に特化したワイヤレスモデルのイヤホンです、音色の特徴は無味無臭で、強力なノイズキャンセリング性能とAppel製品で使用した際のドルビーアトモス・5.1ch・7.1chサラウンドといった立体音響に対応しています。
星槎を卒業した後に音響の専門学校に通っていた頃に発売されてすぐに手に入れましたが、最初に感じたのはまず装着時の不快感が全く無いことでした、軽量かつ人間工学に基づいたデザインで着けていることを今でも忘れるほどです。
そして肝心の音への最初の感想は「なんだこのつまらない音は。。。」でした。
非常に平坦な音響特性で再生機器としての特色はまさに無味無臭、無色透明です。
でも、だからこそ曲そのものの色をそのまま写してくれるのです。
音響機器において没個性とは必ずしも悪いわけではないのです、もちろん派手な個性は素晴らしいですが。
2.SONY MDR-EX800ST
使用頻度の高いもう一つの機種が「SONY MDR-EX800ST」です、音響業界で長年愛されているヘッドホン「SONY MDR-CD900ST」のコンセプトをそのままイヤホンに落とし込んだモデルで、楽器演奏をする人・音響に携わる人向けの設計です。
このイヤホンはまずなんといってもドライバー(発音機関)が耳に対して斜めになるような設計です。
音をそのまま伝えることにこだわるあまりにかなり歪な形になってしまったSONYの不器用さの権化なのです。
一般向け機器を造るときのスタイリッシュで扱いやすいSONYからは考えられない程にプロ向け機器を造るSONYは不器用でデザインに無頓着なのです、悲しいほどに、愛くるしいほどに。
このイヤホン、、、着けにくい、、、デカすぎる、、、しかも粗雑で乱暴に楽曲そのものを鼓膜に叩きつけてきます。
しかしながらその乱暴に感じる音のなかには楽曲制作者の「こだわり」と「苦悩」を感じることができます。
音楽に対する感想に正解はありません、「好き」の大きさや種類に貴賎もありません。
そんな事を悟らせてくれるイヤホンでした。
Ⅱ.ヘッドホン編
ヘッドホンはイヤホンに次いで普及している再生機器で、サイズ的にも三種のなかで中間に位置しているので、ある意味で標準となるカテゴリーです。
鼓膜からそれなりの距離はありますが、耳を覆う形で装着するため、やはり音量には注意が必要です。
1.SONY MDR-M1ST
このヘッドホンはかなり最近発売されたモデルで、先ほど話に出たMDR-900STの後継となる機種です、現代の音楽は低音成分を多く含み、ハイレゾと呼ばれる規格が登場しました。それにに対応するために再生できる周波数帯域が大きく広がり人間の可聴域である20hz~20khzを超えています。
肝心の音は非常にスッキリして聴きやすく、楽曲の空間の広がりを認識しやすいです。
迫力のある音の割に非常に軽量で装着感も良く、楽器演奏者向けに作られていることがよくわかります。
2.YAMAHA HPH-MT8
レ
コーディングエンジニアの中で近年ブームのこのモデルはこれまで紹介した機器のなかでは非常に音楽的で色のある機器で、とても派手な音がします。
ですがモニター用の域を超えないように絶妙に調整されています、低音・高音ともに良く鳴り確認しやすいですが、派手さ故に聴いていて疲れてしまう短所もあります。
やや重めの筐体でそれなりの装着感ですが、逆に重さが高級感を醸し出しています。
3. FOCAL CLEAR PRO
今回紹介するなかで最高額のこのモデルは開放型(周りの音が聞こえる)タイプのヘッドホンで、音も広々としています。
聴いてみてまず感じたのはヘッドホンの音では無いことでした、まるで往年の名機のスピーカーを鳴らしている感覚で、これは持ち運べる高級スピーカーなのでは?と思いました、
装着感も高級そのもので重さを感じさせず、ヘッドホンをしている事を忘れる程でした。
III.まとめ
いかがでしたでしょうか?
音楽制作向けイヤホン・ヘッドホンに少しでも興味が湧きましたでしょうか?
どうしても高額になってしまいますが、作っている人と同じ環境で聴く音楽も素晴らしい物だと僕は感じています、何故なら製作者が感じていた事とやっていた事を追体験できるからです、音楽制作の裏側をぜひ感じてみてください。
長くなりましたが、今後も音楽制作に使う機材について語っていこうと思います。
次回もよろしくお願いします。