癒しとリラックスの場を作りたくて10
Rさんの場合:嫌なことを排出する催眠(前編)
その日サロンで出会ったのは、とても可愛らしい女性でした。Rさんというお名前のそのお嬢さんは、少し小柄でセクシーで、Mの気があるということでした。
話をするうち催眠に興味があるとわかったので、「ちょっと掛かってみますか?」と静かな場所へ移動。椅子に座ってもらって、僕は対面に回ります。リラックスして受けてもらうのには良い環境の中で、催眠を開始しました。
まずは暗示に掛かりやすいかどうかのテスト。手を組み合わせて左右の人差し指をそれぞれ伸ばし、隙間が次第にくっつくかどうか確かめます。
「いま僕はRさんの伸ばした左右の指先をつまんでいますね? これを離すと、指と指がだんだん近づいてきます。自分の意思とは関係なく、勝手にどんどん近寄ってきます。では離しますよ? はい、どんどん近づいてきます。そう、近づいてきましたね。ああもうすぐくっつきそうです。どんどん、どんどん近づいていきます……」
人によって度合いは違うのですが、Rさんの場合はあっという間にくっついてしまいました。いままで掛けた女性の中で最速です。「ええっ?」と目を丸くしている様子が可愛らしかったです。
Rさんが掛かりやすい方だとわかったので、本来の目的である「嫌なことを排出する」癒しの催眠に移ることにしました。
本来はカウンセリングをやるのですが、気軽な体験ということで、いま頭の中にある嫌なことを思い浮かべてもらいました。今日いやな女性に会ったそうです。それを覚えてもらったうえで、次に進みます。
次に行ったのが催眠導入。同じように指を立ててもらい、少し離した人差し指同士の隙間を、じっと見てもらいます。
「さっきと同じように、どんどん指がくっついていきます。そうしたら今度は、指がくっついているそこを、じーっと見てください。見ているうちにだんだんと瞼が重くなってきます。瞼が重くなってだんだんいい気持ちになってきます。そう、じーっと見ていてくださいね。自然と瞼が重くなってきますよ。はい、重くなってきます。だんだんいい気持ちになってきて、スーッと眠くなってきます……」
つぶらな瞳で指先を見つめるRさんの瞼が、ゆっくりと下りてきます。とろんと指先を見る目が、いかにも眠そう。
声を掛けるうちにどんどん瞼は重そうに下がって、やがて完全に目を閉じてしまいました。導入は成功。これからいよいよ催眠を掛けていきます。
それにしても、目の前で女の子がコトンと眠ってしまう姿はいいですね。信頼されていないと催眠は掛かりませんから、気を許してリラックスしてくれたんだなとうれしくなります。
お礼に、すっきりと気持ち良くなってもらおうと、この次の段階へと意気込んだのでした。
(後編へ続きます)