癒しとリラックスの場を作りたくて15
Mさんの場合 外伝:なんでもないものが好きになる催眠
さてヒーリングには成功したので、ちょっとした余興の催眠を受けてもらうことにしました。
前にも試した、なんでもないものが好きになってしまう催眠です。
前回は得体の知れない木の壺を使って失敗したので、今回はもっと普通でお洒落なものを……。ええと……。
借りているサロンの中を見回しましたが、適当なものがありません。
仕方なく、ペットボトルの水を使うことにしました。
Mさんはリクライニングシートの上で、気持ち良さそうにリラックスしています。
目は開けていますが、まだきちんと催眠を解いてはいないので、被暗示性が高まったままの状態です。これからの催眠にも掛かりやすいでしょう。
これからやることについて説明した後、彼女の前にペットボトルをかざしました。
「これがなんだかわかりますか?」
「……水」
「そうです。なんの変哲もない水。別に好きでも嫌いでもないですよね。でもこれが大好きになっちゃうんですよ」
「えっ」
いまから合図をすると、あなたはこれが好きになります……という言葉を繰り返し、前暗示を十分にかけた後、3、2、1と指を鳴らしました。
パチン。
例によって、目をパチパチさせているMさん。
僕がかざしている目の前の水のペットボトルを、じっと見ています。
「これ、好きですよね」
「好き……」
こくこく。
ちょっと感動しました。ああ、掛かってくれたんだ。
「さわっていいですよ」
ふっと微笑を浮かべて、ペットボトルに指を伸ばすMさん。とてもうれしそうです。
しばらく楽しそうに撫でていたので、少し意地悪を。
「これ、別に無くなってもいいでしょう? 向こうに置いときましょうか」
「やだ」
くい、と引っ張って離そうとすると、引き寄せて抵抗します。
どうやら、なんの変哲もないペットボトルの水を、本当に好きになってしまったようです。
催眠のたしかな効果を確信した僕は、さらに実験を続けました。
彼女の顔の前に、指を一本突き立てます。
「じゃあ、今度はこれが好きになります……」
※エロいので、ここから先は有料にしますね。
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