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【要約】はじめに:セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する


序章:営業における「急所」

営業の成果が出ないと感じる人に向け、本書は営業の「急所」を科学的に解説する。 努力だけでは報われない場面があり、成功のためには「急所」を押さえることが必要である。 著者は膨大な調査結果から、営業の成果を上げる「武器」について語っている。

自己流営業の限界

著者はかつて自己流で営業に挑戦していた。 大量の行動量で成果を出そうと試み、基本的な行動を徹底することで一定の結果は得られたが、チーム全体の売上が伸び悩むようになった。

「基本がすべて」と信じ、朝礼と夕礼でメンバーを叱咤激励していたが、売上は伸びなかった。

Aさんとの出会いと新しい視点

著者が苦境にある中、豊富なビジネス経験を持つAさんが新しくマネジャーとして加わった。 著者のチームが成果を出せずにいる一方で、Aさんのチームは効率よく営業成果を上げていた。

Aさんの指導法は、「お客様の言葉をそのまま信じない」ことが鍵だった。 例えば、「忙しい」と言うお客様に対しては「商談の価値を示す必要があるサイン」として捉え、有用な資料を提供するなど、言葉の裏にある本音を見抜くアプローチを指導していた。

営業の本質:お客様の本音に向き合う

Aさんの指導に触れた著者は、お客様の表面的な言葉の裏にある「本音」に目を向ける必要性を感じた。 たとえば、「高いですね」というお客様の言葉は単に「値下げをしてほしい」とは限らず、「適正価格なのか不明」「社内で説明しづらい」といった理由が含まれることが多い。

著者は、Aさんのやり方を真似ることで、営業が対処すべきは表面的なセリフではなく、その裏に隠れた本音であると理解するようになった。

苦しむ営業チームがハマっている「2つの落とし穴」

著者はかつて、「お客様の隠れた本音」の存在を感じていたが、それをチームに伝えることなく「基本的な努力が足りない」と決めつけていた。 その結果、メンバーは思考停止に陥り、営業成果も伸び悩んでいた。

隠れた本音への気づきと指導の変化

著者は「隠れた本音」への対応方法を具体的に教えるようにし、「表面的なセリフに振り回されない」指導へと転換。 メンバーはお客様の言葉の裏側にある本音を理解し、効果的なアプローチができるようになり、成果が上がり始めた。

Aさんから「創業者の『当たり前の基本』は後から入社したメンバーには基準が高すぎる」という指摘を受け、著者は「どう考えるか」の思考回路を共有することに意識を向ける。

定例会議の改善と成果の向上

著者は定例会議のやり方を変え、「進まない案件」を取り上げてメンバーとディスカッションを行い、隠れた本音のパターンを整理して具体的なアクションプランを確認する体制を整えた。 これにより、メンバーが同じ問題に繰り返しつまずくことが減り、業績は飛躍的に向上した。

営業チームが陥りやすい2つの落とし穴

著者は、営業チームが陥りやすい「2つの落とし穴」に気づく。

  1. リーダーが「当たり前の基本をやるだけ」と指示すると、メンバーが「がんばれば何とかなる」と思い込み、思考停止に陥りやすくなる。

  2. 「隠れた本音」の存在を教えないと、メンバーが表面的なセリフに振り回され、成果が上がらなくなる。

転換点と成果

2つの落とし穴を乗り越えたことで、チームは「みんなが売れる営業チーム」へと変貌を遂げ、大きな成果を上げる転換点となった。

「急所」を押さえれば、驚くほどに成果があがる

著者は営業の成果を上げるためには「急所」を捉えることが必要であるとし、その「急所」に基づいたスキルの体系化を進めた。 この考えを元に、2019年に発表した『無敗営業』はベストセラーとなり、営業力を技術として高められるものとして多くの関心を集めた。

大規模調査による営業科学の検証

営業支援の過程で著者は、「努力だけでは成果が上がらない理由」を明らかにするため、2022年に営業1万人とお客様1万人の大規模調査を実施。 この調査では、ハイパフォーマーとローパフォーマーの違いや、営業に対するお客様の本音を多角的に分析した。

営業1万人調査では、目標達成度に基づきスキルレベルを比較し、お客様1万人調査では、どのような営業が信頼され発注されるか、また、どの営業が避けられるかに着目した。 その結果、「努力の方向性を間違えると成果は出ない」という結論に達した。

「急所」とは何か?

営業で成果を出すための「急所」は、「購買者の仮面」の裏にあるお客様の本音である。 この「急所」を外さないためには、「ガンバリズムの罠」に陥らず、お客様が本音をさらけ出したくなるような提案活動(=「武器」)が必要とされる。

2つのキーワード「ガンバリズムの罠」と「購買者の仮面」

著者は営業活動における急所を「ガンバリズムの罠」と「購買者の仮面」というキーワードで解説。 「ガンバリズムの罠」とは、ただの行動量だけで成果を求める過ちであり、「購買者の仮面」は表面的なセリフの裏に隠された本音を見極めるための概念である。 これらを基に、お客様が心を開きやすくするための「武器」を使うことで、営業活動の成果が上がることが期待される。

実践的な解説

本書は、お客様1万人調査のデータを主に用い、表面的なセリフに惑わされずに裏の本音を捉えるプロセスを解説。 著者は、これにより「がんばり方を変えたら受注が増えた」という成功体験がチームで共有され、成果が上がることを願っている。






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