欧州スーパーリーグ構想に思うこと。まず優先されるべきは国内の試合ではないか。サッカーの話
欧州のサッカー界が揺れている。一部のチームを優遇したようなスーパーリーグ構想が持ち上がったからだ。
欧州サッカー連盟主催のチャンピオンズリーグ(CL)に取って変わる欧州強豪クラブによる大会だ。
元々、参加を予定していた12チームに、3クラブを追加。さらに前年実績や予選を通じて出場権を得た5クラブを交えて20クラブによって開催される計画だった。
しかし、欧州サッカー連盟のほか、選手、サポーター、さらには政府も巻き込んで、計画は反対が圧倒的な意見となった。
元々予定されていた12チームのうち、イングランドが6クラブも含まれていたことに目を引く。アーセナル、チェルシー、リバプール、マンチェスター・シティ、マンチェスター・ユナイテッド、トッテナムだ。
イングランドのこれらのクラブには、アメリカ関係のオーナーもいるので、「利益追求」の上では、もろ手を挙げて賛成だったのだろう。CLよりも、スーパーリーグの方が収入は多く得られるというからだ。
個人的には、これらのイングランドのチームが多く加わるのは興味深いが。そうなった場合に、国内リーグとの「棲み分け」はどうなるのだろう?
CLでも、決勝トーナメントでイングランド勢が戦うことはある。しかしスーパーリーグとなれば、さらに試合数は増えるはずだ。「イングランド・ダービー」とでも言われるようになるのだろうか。
イングランドでは、リーグ戦のほかに、FAカップ、リーグカップがある。FAカップはサッカーの世界最古(1881年)のカップ戦であり、リーグは1888年スタート(プレミアリーグは1992年より)。リーグカップは1960年に始まった。
それぞれに歴史や若手育成の目的もあり、「棲み分け」がされている。しかし、イングランド勢の対戦が増えるだろうスーパーリーグが発足したら、国内の各大会の意味合いが薄れてしまう気がする。
イングランドでは、かつて代表よりもクラブへの忠誠心が強いとされてきた。そのため、アラブの王族に扮装して、代表監督に引き抜き話をした「おとり取材」を行い、スキャンダルになったこともある。
日本では、そんなことは絶対に許されないだろう。しかし、イングランドは、こんなことも「ノープロブレム」。
イングランドのクラブのサポーターがスーパーリーグ参加への反対集会を開いたニュースが、テレビに流れていた。それも、クラブ愛がなせる業なのだろう。
海外の有力クラブ同士が戦う大会は魅力的だが、まずは国内の大会が優先されるべきだろう。
そして、それはCLについてもいえる。同一国から4チームが出る大会では、何が欧州チャンピオンなんだろうかと思ってしまう。それでは国内リーグの優勝の価値が薄れてしまう。
もっと国内の大会に重きを!それを反映した欧州の大会を!そう願わざるを得ない。
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