風を治す薬
やれやれ、またかよ。
最近の人間たちは、風に余計なもんを沢山乗せすぎなんだよなぁ。
空の上を散歩している神様が、ため息をついて苦労しながら拾い集めているのは、風に乗って運ばれてきた大量のビニール袋やゴミ。
風が悪いわけじゃない、人間が地球を汚しすぎたのだ。
ほら見ろ、風もゴホゴホいって調子が悪そうじゃないか。
可哀そうに、これじゃ気持ちよく空を渡ることもできやしない。
しっかり治してあげないと。
神様はほうきを取り出し、風をさっと掃除する。
すると、ゴミは空気中からきれいに消え、再び爽やかな風が戻った。
これでよし、と。
これで風も元気になっただろう。さて、人間には少しお灸を据えないとな。
人間どもには罰として、1週間風の恩恵なしだな。
次の日から、地球上ではぴたりと風が病んでしまった。
人間たちは洗濯物も乾かず、風力発電もストップしてしまい、クーラーも効かなくなって大騒ぎ。
風ってありがたかったんだなぁ。
と、ようやく反省するのでした。
文字数:410字