人生は洗濯の連続
むかしむかし、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に。
絵本を開きながら、私は母親から聞かされた昔話を、わが子にも読み聞かせていた。
桃太郎である。
私の母親は、祖母から聞かされたという。
祖母はさらにその母から。
そして私の娘も、いつか生まれてくるであろう娘に、絵本を開き同じ話を繰り返すのだろう。
だけど、昔話に出てくるおばあさんたちは、何代にも渡って川で洗濯ばかり。
現代の私たちは、家の中の洗濯機でボタン一つで完了するのにね。
でも未来の子供たちには、こう言いたくないんだ。
「おとぎ話に出てくるおばあさんたち、いまだに川で洗濯してるってさ」
「あんな非現実的なこと、どうしていつまでも繰り返すんだろうね」
「川で洗濯なんて、汚くて有り得ないよ」
って。
自然を守るために、いつまでもあのおばあさんが、川で洗濯できるようにしておこう。
たとえ私たちが、それを「非効率」だと思ってしまっても。
文字数:410字