インドを編む山荘
編み物で世界を表現する芸術家として有名な老人のもとに
ある日特別な依頼が舞い込んだ
インドを編んでほしいという依頼だ
デザインは大変細かく
網目単位に指示がなされていた
このような依頼は彼にしかできないであろう
高齢である老人は
これが最後の仕事に相応しいと感じ引き受けた
そして彼は静かな山荘に一人引きこもり
黙々と編み物を続けた
サリーの鮮やかさやインドの神秘性を象徴する複雑な柄が
次々と編み込まれていった
老人は知らなかった
依頼主はクーデターを目論む秘密組織
編目の微細なパターンにクーデター計画を隠し
インドに持ち運ぶ計画なのだ
細かいコードや座標、暗号は老人により見事に編み込まれて行く
しかし、時折手元がぼやけることに彼は気づいていた
それを無視して編み続けたが
知らぬ間に網目の一部がほんの少しだけずれていた
数週間後、インドの美しさを表現した見事な編み物は完成した
依頼人は満足そうに作品を持ち帰った
インドへこれを持ち込めば
作戦は成功する
しかし、誰も気づいていなかった
ほんの数ミリ編目がずれていることを
そして、クーデターは起こらなかった
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どーしても短くまとめられませんでした。
文字数:457文字
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