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「悩ましい母指基節骨骨幹部斜骨折」#書く習慣39

日々の診療お疲れ様です。TROT(トロット)です。
なんとか予報通りの雪にはならず、ほっと胸を撫で下ろしています。
天気予報に左右されるこの気持ちを抱くくらいならスタッドレス履けばいいのにと自分でも思っていますが御愛嬌。

それでは、今日は頭を悩ませている基節骨骨幹部斜骨折の症例について書いていきます。諸先生方ももしよろしければ未熟な私にアドバイスなど頂けますと幸いです。

今回参考にさせてもらったのはこちらの本です。
(実際は、私の本は第2版ですが。恥)


「ぶつけて指が曲がってしまった」との電話がありました。


午前の診療中に一本の電話。

「ぶつけて指が曲がってしまったんでみてもらえませんか…?」


院長が二つ返事で了承すると、数十分後に患者さんが来院。
そこには電動車椅子に乗った患者さんがいました。

話をよくよく聞いてみると多発性筋炎という現病歴がありました。

多発性筋炎とは…


・多発性筋炎・皮膚筋炎は筋肉の炎症により、筋肉に力が入りづらくなったり、疲れやすくなったり、痛んだりする病気です。

・この病気は、膠原病と呼ばれる病気です。

・神経内科医は、多発性筋炎ではなく、多発筋炎と呼ぶこともあります。

・我が国の統計では男女比は、1:3です。

・発症年齢は、15歳以下が3%、60歳以上25%で、中年発症が最も多いようです。

・多発性筋炎・皮膚筋炎はいわゆる遺伝病ではありません。

・筋力の低下は、身体(胴)に近い筋肉に現れやすく、腕の筋力低下により、髪の手入れをしたり、洗濯物を干したりする時や高い所に物を上げる際に腕が上げづらいなどの症状がでます。
難病情報センター )より引用


画像所見から本骨折と診断。


まずは外観から。
正面像にて母指の内転、指尖より回旋転位(回内?)を疑わせる変形を呈しています。


それではレントゲンを見てみます。
ダイナミックな骨折ではないですが、基節骨骨幹部斜骨折を認めます。

転位方向は名称の付け方が合っているかわかりませんが(恥)、
短縮、内転、背屈、回内転位を認めます。
内転方向の転位が少し強いなあと感じます。母指掌尺側から指をぶつけたのでしょうか?


さ、整復です。


整復後はこちら。

正面像ではバッチリ。
側面像にて背屈は整復されているものの、やや過整復気味?なのか、それとも回旋転位が残存しているのか骨間に裂隙を認めます。

ですが、背側の皮質骨の乱れは整っているためこのまま固定となりました。

固定は本来であれば、アルフェンスでの固定で良いのですが、車いすの使用で手指を多用しなくてはならないとのことで
ギプスにて手関節〜指尖までIP伸展位、MP軽度屈曲にて固定を行いました。


週明けや、次回のレントゲンまでこのままの肢位で落ち着いてくれるといいのですが…。

日々反省。


基節骨骨幹部斜骨折のおさらい


1)受傷機転・病態

・骨幹部の横骨折は指が硬いものにはさまれるような場合に起こり、斜骨折は指が捻られるような回旋力が加わった場合に起こる。

・転位がないかあってもわずかな場合は比較的安定しているので簡便な外固定により治癒する。

・転位を作う場合は解剖学的に整復されれば安定する。

・整復が不十分な場合は骨折部は不安定で手内筋や伸筋腱を含む指背腱膜の作用で通常掌側凸の変形を生じる。

・掌側凸のまま変形治癒した場合、相対的に伸筋腱の伸展力が弱まるのでPIP関節の伸展障害が生じる。

・また骨折時に腱の滑動床に損傷を伴う場合は掌側凸の変形が加わると屈筋腱の癒着を合併し、PIP 関節の伸展障害のみならず屈曲障害も生ずるため機能が著しく悪くなる。



2. 治療(保存療法)

・患指を牽引しながら側方転位を整復し、次に MP 関節、PIP 関節を屈曲させ掌側凸変形を矯正すると比較的容易に整復位が得られる。

・しかし整復位を保つことが困難で,外国定のみでは再転位することが多い。

骨折が不安定な場合は経皮的線刺入法による観血療法が適応となる

・骨折が安定している場合は外国定のみでよい。

・多少動かしても動かないような安定型骨折では手掌部から指尖までの副子固定で十分であるが、不安定性の骨折では手関節を含めて指尖まで固定する。

・固定肢位に関してはいろいろな意見があるが、通常は安全肢位または MP 関節屈曲70度,PIP 関節軽度屈曲位で固定する。


ご覧いただきありがとうございました。
もっと上手くなりたい。