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「腓骨筋腱炎のエコー所見」#書く習慣48

日々の臨床お疲れ様です。TROT(トロット)です。

今日は診療中に腓骨筋腱炎の患者さんがいらっしゃいました。
ですが、恥ずかしながら画像所見の見方や前回まとめた上腓骨筋支帯とFCRについての内容が飛んでしまったため、おさらいも兼ねて記載していきます。

・前回のまとめのおさらいはこちら。

・今回参考にした文献はこちら



高齢女性がヒールでダンス。


80代女性がヒールを履いてダンスをしていたら腓骨後方が痛くなったとのことで来院されました。

最近の80代ってすごい元気なんだなあ、と気を抜いていたら院長からひと言。

「エコー見といて!」

そう言われて固まる私。

ということで画像の見方からおさらいしていきます。



腓骨筋腱炎のエコー所見の見方。


腓骨筋腱の観察

外果後方より腓骨筋腱を短軸像にて描出

上腓骨筋支帯の下に長腓骨筋と短腓骨筋が確認できる


腓骨筋腱炎の特徴

 ・特徴:①腱の肥大、②Fibrillar  patternの消失、③腱周囲の水腫

 ・扁平足を基盤に捻挫や長時間歩行によって生じることが多い
 (peroneal spastic flat pad)

ということでこの患者さんのエコーを見てみると…

短腓骨筋の腫脹が著明でした。

つまり、特徴①の腱の肥大が認められるため腓骨筋腱炎という診断がつきました。


筋機能のおさらい


短腓骨筋

 走行:腓骨の下2/3の外側縁〜第5中足骨底(外側の粗面部)
 作用:足の回外と底屈

長腓骨筋

 走行:腓骨頭、腓骨の上2/3の外側縁〜第1、2中足骨底、内側楔状骨
 作用:足の回外と底屈

あくまで仮説ですが…

ヒールで足関節底屈位を保持したまま側方移動などをした際に足部の回外刺激を慢性的に受けてしまったのでしょうか?

それによって外果に最も接近する短腓骨筋が擦れて腫れてしまったのでしょうか?


上腓骨筋支帯とFCRのおさらい。


今回は短腓骨筋由来の腱炎が主病変でしたが、腓骨筋には腓骨筋腱脱臼というポピュラーな疾患がありますのでそちらもおさらいしていきます。


・外傷性腓骨筋腱脱臼の頻度は0.3〜0.5%

・足関節内反捻挫と誤診されやすい

・脱臼防止機構の存在
 ⑴ fibro cartilagenous ridge(FCR)
  → 軟骨の土手のような構造物
 ⑵ 上腓骨筋支帯
  → 腓骨外側表面に付着して腱を抑えている


・腓骨筋腱は基本肢位で125°の角度をなし、最大背屈位で90°の角度に達する

背屈+外返し肢位で強く腓骨筋が収縮した際に発生しやすい

・反復性腓骨筋腱脱臼への移行例
 ⑴ 腓骨外側壁上で上腓骨筋支帯が癒合しない場合
 ⑵ 腓骨筋腱が脱臼するスペース(仮性嚢)を形成する場合
  (※仮性嚢…支帯が腓骨から剥がれてできたFCRよりも外側の隙間)



今日はこの辺まで。

腱炎に関しては…

腓骨後方から短軸にてエコーを当てて、上腓骨筋支帯の中に存在する長短腓骨筋の腫脹、および周囲の水腫を確認して判断すると良い、ということになります。


脱臼に関しては…

土手(FCR)とバンド(上腓骨筋支帯)が効かなくなると、脱臼しやすくなるってことになります。
そりゃ抑えるものがなければそうですよね。


同様の症例が来た際にすぐ引き出せる知識の蓄え方をしていたいものです。