ハンドリングのすゝめ

本質的な介入をするためにはハンドリングスキルが重要です。教科書や論文から得る学びも大事…

ハンドリングのすゝめ

本質的な介入をするためにはハンドリングスキルが重要です。教科書や論文から得る学びも大事ですが、患者さんから得る学びがもっともっと重要!目の前の現象を適切に解釈し、より良い方向に導く、そして次に繋げることができる考え方やハンドリングスキルに関する知見を伝えます!

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ハンドリングのすゝめの設立趣意書

これは私が思い描いていた理学療法士の姿じゃない 理学療法士になった10数年前、私が思い描いていた理学療法士はもっと感覚が優れており、手で患者さんに触れることでいろんなことがわかり、人間の手一つで状態を改善させることようなスキルを持つ人たちでした。 学生時代からの目標だった整形外科への入職を果たしいざ臨床に出てみると、私の思い描いた世界とは少し違ていました。EBM(Ebidene Based Medicine)が全盛で、根拠を持った治療をしようと言うことでデータや論文から、

    • ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その7️⃣【セラピストの姿勢と動き方に注意しよう】

      このマガジンでは、ハンドリングを行う上での基本知識を解説してきました。ハンドリングが徐々に慣れてくると、細いな感覚の違いや違和感に気がつくようになります。 感覚の変化や違和感に気がつくようになった時に、乗り越えるべきハードルがあります。それは、センサーの誤作動です。 確かに、身体の動きに問題やトラブルがあれば感覚的に気がつくことがあります。しかし、違和感を感じる能力が触れるほどセンサーの誤作動に注意しなければいけません。 センサーの誤作動を最小限するためには、セラピスト

      • ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その6️⃣【関節可動域と軟部組織の関係】

        患者から、「戻るときが痛いですね」と言われたことありませんか? 関節可動域の評価は、アウトカムを数値を置くことがほとんどです。だから、「どのくらい曲がった」とか「どのくらいで痛みが出たか」という”行き”だけの評価にありがちです。 しかし、関節の周囲を覆う軟部組織は弾性という性質が重要でです。弾性とは伸びたら縮む力であり、トラブルを持つ関節は組織の弾性に問題がある場合も少なくありません。 だからこそ、最初の位置に戻るまでが関節可動域評価として考える必要があります。 ♦︎

        • ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その5️⃣【骨の動きを正確に感じるとるための手の使い方】

          正確なアライメント評価や骨の動きを確認するためには、「どこを触れるか」よりも「どうやって触れるか」が重要です。 触れ方が間違っていると、触れている部位自体が適切でも評価の精度は大きく下がります。逆に触れ方が適切にできると得られる情報の解像度がかなり上がるため、触れる部位の適切な選択ができるようになります。 一般的には「どこを触れるか」に焦点が当たりますが、もっとベースとして重要な「どうやって触れるか」を解説します。ちょっとした意識づけだけですぐに実践できる内容です。 ♦

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        ハンドリングのすゝめの設立趣意書

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その4️⃣【関節運動や骨の動きはベクトルで整理すべし】

          関節への治療を行うとき、「運動学」が一般的に適応されていると思います。運動学は関節の動きを第3者に伝えるという意味ではとても有効です。 しかし、関節機能改善させようとした場合には、運動学を利用することが一部危険になる場合があります。なぜなら、運動学は人間が観察しやすい条件のもとで実験を行ってきたものをまとめた結果だからです。なので、運動学が真理のように考えることは危険なんです。 今回は、臨床的に関節を扱う上で必要な、ベクトルで関節や骨の動きを整理する方法を解説します。

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その4️⃣【関節運動や骨の動きはベクトルで整理すべし】

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その3️⃣【力の入力とその反発を感じ取る手の使い方】

          人体に変容を与える手法には、外部から「力」を入力するという方法があります。 状態を確認するだけなら、前回解説した等速運動の概念を使ったハンドリングで良いのですが、等速運動は常に両者の価値が等しいので状態が変化することはありません。しかし、外部から力を加えることでその等価の関係が崩れて変容が生じます。 力の入力と入力した力を感じることは、評価にも治療にも使える重要なスキルです。その力の加え方や加えた力の感じ方を知ることが今回の記事の目的です。 ♦︎作用ー反作用の法則を知ろ

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その3️⃣【力の入力とその反発を感じ取る手の使い方】

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その2️⃣【ハンドリングとは治療者と患者の身体が等速運動することである】

          ハンドリングとは、治療者側と患者側の2つの物体が動く現象です。地球上では、"力学"という理の中で物体が動くので、ハンドリングにおいて、身体という物体が動く時にも"力学"が適応されます。 この記事では、力学を考えることがハンドリングのスキルアップに大きく貢献してくれることを解説します。力学と聞いいて「よくわかんないからもういいや」と思わないでください。難しい話を理解する必要はありません。 臨床において、もっと臨床的な介入をしたいと考えている方はぜひ確認してみてください。

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識:その2️⃣【ハンドリングとは治療者と患者の身体が等速運動することである】

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識1️⃣【固有感覚を使い、姿勢依存性に注意しよう】

          この記事では、ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本事項の一つである、【固有感覚を使い、姿勢依存性に注意しよう】という内容を解説します。 固有感覚は養成校時代にも勉強したあの固有感覚です。学校では、関節や筋などが持っている感覚の一つであると習います。しかし、私は、固有感覚はセラピストが患者さんの評価するときに必要なツールであると考えています。 姿勢依存性とは、ある論文の研究で明らかになったもの(本文中にPDFファイルを貼り付けます)で、簡単いうと、関節の肢位によって

          ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識1️⃣【固有感覚を使い、姿勢依存性に注意しよう】

          【総論】ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基礎知識

          EBMが全盛の昨今に感覚に依存するハンドリングスキルの取得することは、ある意味で時代に逆行するものかもしれません。数値化できないハンドリングは根拠の提示の仕方が難しいです。 私が考えるハンドリングの根拠とは、実践と観察から得られたものです。自然科学では、計算で求めることが可能で同様の現象が実際に実験で観察できたのであれば、「わかった」と考えると聞きます。なぜA=Bなのか、ではなぜB=Cなのかと考えを進めてもイタチごっこになります。 ハンドリングの根拠は自然科学の考え方に近

          【総論】ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基礎知識

          ゼロポジションを獲得する〜上腕骨と肩甲骨の位置関係が重要なファクター〜

          ゼロポジションは、挙上位での肩の中間位と言える重要なポジションです。そのため、肩関節の治療の一つの目標として設定されることも多かと思います。しかし、肩の90°屈曲位からゼロポジションまでの過程で難渋することが多いのも事実です。 そこで、今回は、ゼロポジションを獲得するための治療介入の流れを解説します。 ぜひ、日々の臨床に役立ててください。 ♦︎ゼロポジションは要支持関節における中間位まずは簡単にゼロポジションの復習です。一般的に、ゼロポジションは挙上130-140°程度

          ゼロポジションを獲得する〜上腕骨と肩甲骨の位置関係が重要なファクター〜

          安定する肩の外旋操作〜前腕への気配りとセラピストの姿勢〜

          外旋は痛みが出やすく過緊張を引き起こしやすいため、介入に難渋することが多いですが、ちょっとした気配りで外旋時の動かしにくさは解消することができます。 外旋の適切操作スキルは、治療効果を大きく伸ばすことができるために肩の治療を行うセラピストにとっては重要です。操作スキルを身につけて、臨床力を高めてきましょう。 今回の内容は、特に痛みがまだ残存している時期や術後など、急性期や急性期を脱しきれていない時期に有効です。 ♦︎開始肢位は肩甲骨に合わせるハンドリングにおいては、開始

          安定する肩の外旋操作〜前腕への気配りとセラピストの姿勢〜

          なぜ外転できない?〜重要な肩鎖関節の上方回旋を確認する方法〜

          肩鎖関節が肩の挙上における重要ポイントであることを、どのくらいの方が実感できているでしょうか。肩の挙上には肩甲骨上方回旋が出ない場合、下方回旋の筋をリリースすることが主な対応策になることが多いです。もしくは、全体的に肩甲骨の上方回旋させて全体をストレッチすることもあるでしょう。 しかし、肩甲骨の上方回旋で重要なのは、肩鎖関節です。この肩峰と鎖骨が作る肩鎖関節が上方回旋とどのように関係しているかのか、そしてなぜ重要なのかが理解できると、肩の理解の幅が大きく広がります。 ♦︎

          なぜ外転できない?〜重要な肩鎖関節の上方回旋を確認する方法〜

          下部体幹の安定性は上位胸郭の影響を多分に受ける〜インナーマッスルよりも前に介入すべきこと〜

          腰痛(特異的・非特異的)に関わるセラピストにとって、下部体幹の不安定性は解決すべき重要な課題であることは間違いありません。 下部体幹の"安定性"を評価する一つの手段として、Active SLR(ASLR)がよく知られています。腰痛がある、もしくは腰痛はなくても下部体幹の不安定性の有無を評価したい場合に選択されることが多いです。 下部体幹の不安定性が見つかった場合に、どのように介入するでしょうか。腹横筋や多裂筋のエクササイズにベクトルが向くことが多いのではないでしょうか。イ

          下部体幹の安定性は上位胸郭の影響を多分に受ける〜インナーマッスルよりも前に介入すべきこと〜

          骨盤の回旋評価〜アライメントと安定性を分ける〜

          身体にトラブルがある場合、骨盤の回旋偏位が頻繁に見られます。骨盤、特に仙腸関節や恥骨結合は、荷重伝達において重要な役割を担いうため、骨盤の回旋偏位を評価することは、臨床的に非常に有効です。 骨盤を評価するには、アライメントと安定性という2つ視点から見る必要があります。 ♦︎原因にも結果にもなる骨盤の向き骨盤の回旋は、腰痛をはじめとする様々の症状の原因になり得ます。骨盤の回旋を修正により主訴を再現する動作の痛みが軽減される場合は、骨盤の回旋が原因となり、愁訴が結果という解釈

          骨盤の回旋評価〜アライメントと安定性を分ける〜

          肩甲骨の評価の解像度を上げる触れ方のコツ

          【肩甲骨の動きを解像度高く評価できる方法を解説します】 肩甲骨の動きは、肩を安全に機能させる上で非常に重要であることは周知の事実です。臨床では、肩甲骨の動きを拡大させるための評価や治療が行われます。 「拡大させる」という表現の通り、肩甲骨の動く範囲を広げることが一般的に良いとされています。 しかし、肩甲骨が大きく動くことだけでは不十分で、重要なのはリアルタイムでの変化を捉えることです。その評価をするには肩甲骨の触れ方がかなり重要です。 今回の記事では、肩甲骨の面挙上時

          肩甲骨の評価の解像度を上げる触れ方のコツ

          骨頭の上方偏位の評価〜安静時の場合〜

          肩のトラブルの代表例として、インピンジメント症候群があります。この症候群の原因としては、骨頭が上方に偏位し、第2肩関節に圧迫が生じることが知られています。 この知識は広く知られており、養成校でも学ぶ内容です。しかし、「骨頭が上方に偏位している」という状態をどのように明確に判断すればよいのでしょうか。この判断方法について、ここで整理していきましょう。 インピンジメントの原因となる上方偏位には、2種類のパターンがあります。これを理解することが、具体的な判断方法を解説する上での

          骨頭の上方偏位の評価〜安静時の場合〜