ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本知識1️⃣【固有感覚を使い、姿勢依存性に注意しよう】
この記事では、ハンドリングのスキルアップに必要な7つの基本事項の一つである、【固有感覚を使い、姿勢依存性に注意しよう】という内容を解説します。
固有感覚は養成校時代にも勉強したあの固有感覚です。学校では、関節や筋などが持っている感覚の一つであると習います。しかし、私は、固有感覚はセラピストが患者さんの評価するときに必要なツールであると考えています。
姿勢依存性とは、ある論文の研究で明らかになったもの(本文中にPDFファイルを貼り付けます)で、簡単いうと、関節の肢位によって神経系の反応が変化するというものです。この現象は、セラピストの身体を評価のセンサーとした場合、そのセンサーを誤作動させないために理解する必要があります。
次から、それぞれの具体的な臨床での活用方法を見ていきます。
セラピストの自身の固有感覚を使った評価の実践
冒頭でも述べたように、固有感覚を習う意味は、自分が評価において利用するためにあると考えています。
一般的な評価といえば、「可動域が〇〇°である」とか「筋力がMMTでどのくらいだ」というように記述できる内容で行われます。これらの評価は、今現在の状態把握をするため、もしくはこれまでの変化を客観的に把握するためには重要です。
しかし、その状態から変容させることを目的とした場合、これらの評価では具体的な対応手段を判断することはできません。状態を適切に捉え対応手段を決定するためには、もっと感覚的な評価を行うことに前向きな姿勢が必要です。
「感覚を使う」とは、固有感覚を使うということです。その具体例を👇に画像で示します。
それぞれ具体的に解説しています。
自分の姿勢と患者さんの分節の関係を捉える
セラピストは自分の姿勢を基準として、患者さんの身体(評価対象の分節)がどうなっているかを判断します。
自身の姿勢としてよく基準とするのが胸骨です。自分の胸骨をまっすぐに設定した時の、評価したい分節と自分の胸骨との位置関係や相対関係が重要なんです。
例えば、肩関節の評価を例に取って見てみましょう。肩関節の中間位で上腕骨を持ち自分の胸骨を関節窩に向けて正対させた時の上腕骨の配列が胸骨に対して垂直であれば、肩甲上腕関節の状態は良いと判断できます。一方で、胸骨の向きに対して上腕骨の配列が傾いているようであれば肩甲上腕関節のアライメントは不安定な状況になると考えられます。
これらは肩だけに限ったことではなくそれぞれの評価で応用できる考え方です。自分の姿勢を基準として規定し、その規定に対して患者さんの身体がどうなっているのかを判断することが重要です。
触れ方や触れる位置を均一化する
セラピストが患者さんに触れるということが、思ったよりも大きな影響力があります。その影響力をコントロールするには触れ方と触れる位置を均一化が必要です。
触れ方は、指を当てる角度や触れている面積などが該当します。身体に触れることは加速度を発生することです。なので、角度や面積が変化すると内部的に発生する力も変化します。一般的には無視されがちなこの変化も実はかなり重要なんです。
触れる位置は、例えば、同じ腱や筋であってもその部位によって得られる情報は異なります。患者さんに触れているのは自分の身体のどの部分なのかを感じることも重要です。
このように、セラピストの身体のどの部分がどのように患者さんに触れているかを自身の固有感覚を使って意図的にコントロールしてきます。
姿勢依存性は評価の再現性に大きく影響する
姿勢依存性は評価の再現性の担保に必要な考え方です。姿勢依存性は以下の論文内で言われているものです👇
この論文の実験内容を簡単に要約すると、猿のC6に同様の電気刺激を入力しても、関節の肢位が変化すると発生する筋電図の波形も変わる、というものです。
これは、関節の肢位変化は固有感覚を通じて脊髄レベルにインプットがなされ、その情報に応じてアウトプットも変化すると考えることができます。
この研究をセラピストのハンドリングや評価に当てはめて考えると、触れるときのセラピストの四肢の角度が変わると、感じると感覚や操作する時の筋活動が変化する可能性があるということです。
同様の評価を再現性高く実施するのは、まずセラピストの姿勢から均一化する必要があります。
今回はこれで以上になります。
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