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こだわりの二人乗り、三人乗り自転車で世界を走る

環境にやさしく、健康維持にも一役かってくれる自転車。
風を切って走り、四季を肌で感じられる、自転車にはただの移動手段だけではない魅力がいっぱいです。
成城学園にも、そんな自転車を愛用している先生方がいらっしゃいます。「先生×自転車」にはどんな人生の彩りがあるのか。
シリーズでお届けする第1回目は、文芸学部芸術学科 津上英輔教授です。

文芸学部芸術学科 津上英輔教授

自転車をはじめたきっかけを教えてください。

元々は車にも乗っていたのですが、京都に住みはじめたときに、小さい街で道も狭いから、自転車が一番効率的だと思い乗りはじめました。
車のない生活に慣れたものだから、せっかくならこのままやってみようと思って、京都を離れてからも、40年近く自転車生活です。

自転車のこだわりポイントはありますか?

現在乗っている自転車はPanasonicのものです。一人乗りの自転車としては、これが4代目です。防水のサイドバッグは、30年以上愛用しています。

現在愛用中の自転車

1995年には二人乗りのタンデム自転車に乗り始め、1997年には三人乗りもオーダーでつくって、子どもを乗せていろいろなところへ行きました。
子どもの体の大きさを考えてつくってもらったので、とても快適でした。

三人乗り自転車にチャイルドシートを付けて、家族四人乗り

見るからに変わった自転車なので、日本でも海外でも目立っていましたね。
アメリカのニューヘイブンに住んでいたときは、車がないと不便だと周囲に言われたけれども、意地でも車なし生活をしようと決めて、子どもたちを毎日三人乗りで学校まで送迎していました。
そうしたら息子の同級生のお父さんに地元の新聞記者の方がいて、取材を受けたんです。
その新聞を見たのか、近所でお店の店員さんに「I know you!」と言われたこともありました。今でもその新聞は大事にしています。

毎年、自転車の写真を年賀状にするのが恒例に

自転車で走った思い出の場所は?

沖縄のやんばるが思い出に残っています。山々が連なっている地域なので、坂道が多くて大変でした。
今思い返すと、三人乗りでよく走ったなぁと、我ながら感心しますよ。
上りがきついのはもちろんなのですが、下りはスピードが出るので怖くて。ブレーキのかけ方にもコツがいるので、とても大変でした。
 
子どもの長期休みには、ドイツのロマンチック街道を自転車で走って、簡易的なテントキャンプもしました。
美しい街並みが素敵でしたね。

実は新雪の上を走るのが好きだという

もちろん近隣にもたくさん行きましたよ。子どもが小さい頃は、毎週のように多摩川まで走りました。
日曜の朝から家族みんなで出かけて、朝ごはんを食べるんです。小さなボンベを持って行って、お湯を沸かして、インスタントラーメンとか簡単なものでも、多摩川で食べると格別においしくて。
家で食べるのとは全然違うから、不思議ですよね。

自転車で行くお気に入りのスポットは?

成城の西側を流れる野川を自転車で15分くらい上流に走ると、調布市の野草園があります。
大きくはないけれど、人が少なくて落ち着くので気に入っています。
野川沿いは生活圏内なので、よく走ります。車通りもないので、とても気持ちの良いサイクリングコース。
桜や紅葉も綺麗だし、湧水もあるので自然が豊か。東京とは思えないような水田があったり、苦手な蛇に出くわすこともあったり、走っていて飽きないですよ。

自転車に乗っているときにどんなことを考えていますか?

執筆中は文章のことを考えています。走りながら推敲していますね。
暇なときは「今日は何を食べようかな?」とか、たわいもないことだったり、何も考えずに自然を感じていたり。
自転車に乗っている間は、とても自由な気持ちでいられます。

これから自転車をはじめたい人にアドバイスはありますか?

これは学生や同僚など身近な人には常々言っていることなのですが、自転車に乗る人には必ずヘルメットを被ってほしいと思っています。
短い区間だから大丈夫だということはありません。
自分がいくら気をつけていても、相手のあることなので、防ぎようのない事故も起こります。わたし自身も、ヘルメットがあったおかげで命が救われた経験がありますから。
子どもも大人も関係なく、ヘルメットを被って安全に自転車を楽しんでください。

さいごに、あなたにとって自転車とは…?

「生き方の一部」と言えるかもしれません。
自転車に乗っていなければ、違う人生だったと思います…というのも、自転車って常に弱者なんです。
車には負ける、歩行者を優先しなければいけない、そういう存在。
自転車に乗っていて人に道を譲るということが、自転車から降りた日常でもクセになっていて、生き方の一部になったという気がします。
自転車に乗ることで、弱者について考えるきっかけにもなりました。

身近な自転車で楽しむ非日常の感覚

国内外さまざまなところで、自転車と家族と共に過ごした時間を楽しそうに語ってくれた津上教授。津上教授にとって、自転車は人生を豊かに彩る必須アイテムであり、パートナーのような存在にも感じました。
川沿いを走る、春の暖かさや、冬の凜とした空気を感じる、穴場のスポットを探す——身近な場所でも、自転車からの視点で、新たな発見や出会いがありそうです。