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年少組のエピソード〜「喧嘩の日」と「もう夏?」

幼稚園が夏休みに入って2週間が経ちました。今回は年少組のエピソードを2つ、ご紹介したいと思います。

 1つ目は、年少組が入園してから2ヶ月程経った6月のある日の出来事です。
A「もうやめて!」
B「やめてってば!」
強い口調で2人の子が言い合っていました。この2人は入園後の早い段階で気が合って一緒に遊んだり、集まりでも隣同士で座ることが多い2人でした。そんな2人が言い合っていたので、近くに行って聞いてみました。

教師「どうしたの?」
A「だってー、もう嫌なの!」
B「もう遊ばないの!」
教師「なんでそうなっちゃったの?」
A「レストランで、私が食べるー、私が食べるー、ってなっちゃったの」

 レストランごっこは、丸い机に布をかけてテーブルクロスに見立てておままごとの道具を並べて食べる、クラスで人気の遊びです。注文を聞いてくれたり、最後にはデザートまで出してくれて、お客さんがどんどん増えて椅子を追加したりもしていました。どうやら、今日もレストランごっこをしていて、並べられた食べ物を前に、お互いの食べたい物が重なってしまい、どちらが食べるかで喧嘩になってしまったようです。その何とも可愛い理由と、憤慨している2人の子の顔を見て、つい心の中でクスっと笑ってしまいました。ですが、本人たちはいたって本気で、笑ってしまっては失礼なので、「そうだったんだ。」とだけ言いました。本人たちは怒りがおさまらない様子で、

B「だから、やめてって言ったの」
A「もう今日は喧嘩の日だから」
教師「そうなの。まあ、そういう日もあるよね。じゃあ別々に遊ぶことにするの?」
AB「うん。」
教師「分かった。じゃあ何かお話したくなったら教えてね。」
AB「・・・。」

 Aちゃんはそのままレストランごっこへ、Bちゃんはその場を離れて別の場所で遊び始めました。しばらく遊んでいたのですが、Bちゃんの様子がどうもいつもと違います。ぬいぐるみや布、カップなど色々な物をもってお部屋の中を歩いています。声をかけると、
B「これ、沢山もっているから、遊べないの。」と。Bちゃんなりに、遊べない理由を作って自分を納得させているのだと想像しました。このような行動は、教師にも何となく身に覚えがあって、3、4歳の子どもでも、大人と何ら変わりないですね。

教師「・・・やっぱり一緒に遊ぶことにする?」
B「・・・うん。」
教師「じゃあ、どうしようか?」
B「・・・。」
教師「Aちゃんに、遊ぼうって言ってみる?」
B「うん。」

BちゃんはAちゃんに近付き、その後レストランごっこに加わりました。
教師「一緒に遊ぶことにしたの?」
B「うん!」
A「そうだよ!」
教師「喧嘩はおしまいになったのね。ごめんね、をしたの?」
A「してない!」
B「してないけど良いんだよ。」
A「そう、私達仲良しだから!」
教師「そっか、仲良しだもんね。ごめんねしなくても喧嘩おしまいできるよね。仲良しさん、良いなあ~!」

 AちゃんもBちゃんも、周りのお友達も嬉しそうにまた一緒に遊び始めました。すぐにごめんねをするのではなく、Bちゃんが「遊べない」と言って歩き回っていた時間があったから、素直にもう一度遊ぼうと歩み寄ることができたのだと思います。それを受け入れたAちゃんにも、少しの時間が必要で、その間に、(本当は遊びたいな。)とか、(あんなこと言っちゃったな。)とか、色々な事を考えて、感じていたはずです。いずれにせよ、友達って良いものですね。


 2つ目は、1学期終業も間近となってきた7月の出来事です。
朝の支度中、保育室から見える園庭をしげしげと眺めていたC君が教師につぶやきました。C「もう、夏?」
梅雨明け前でしたが、毎日これでもか!という暑さにヘトヘトだった教師は、C君の疑問に多少面食らってしまいました。(夏でしょう!これだけ暑いのだから…!!)と。なので、「う~ん。C君はどう思う?」とC君に聞いてみました。
C君は、うーん、と考えるような仕草をしたあと、にこっと笑って「分かんない!」と答えてくれたので、教師は「じゃあ、あとで皆にも聞いてみようか。」と言い、集まりで話題にしてみることにしました。

C君との会話をクラスの皆に話し、皆はどう思うか聞いてみると・・・
D「夏だよ!だって暑いから!」
と自信たっぷりです。
Eは、「夏だよ!だって、もうお店で、スイカとか、メロンとか、桃とか売っていたもん!」と。これには、聞いた教師がびっくり。きっと保護者の方がお買い物に行った時に話してくださったんだと推察し、有り難いなあと思いました。
夏だという意見が続いたので、質問を変えて、「じゃあ、どうなったら夏なのかな?」と聞くと、「分からな〜い。」と。教師が、「今は、梅雨と言って、夏だけど、一番の夏じゃない時なの。冷たい空気と暖かい空気が押し合いをしていてね・・・」すると、F君が「分かった!冷たいのと、暑いのがグーって押して、パンッてなったら夏になるんだよね!」と。これは以前、地震避難訓練の時にしたプレートの説明と混ざっています。訂正はしましたが、こんなふうに自分の知っている事と照らし合わせて考えたり、前に話した事を覚えていてくれて、嬉しく思いました。「・・・それで、暖かい空気が勝ったら、梅雨がおしまいになるの。梅雨明けって言うんだけどね。梅雨明けになると、夏本番で、本当の、一番の夏になるんだよ。」と話しました。話しながら、C君の問いかけに、(夏でしょう!)と思った自分を反省していました。C君が何故あのような質問をしてくれたのかは分かりませんが、大人にとっては考えたこともなかった・・・というような事柄でも、お子さんの疑問は面白いですね。確かに、半分夏で、半分夏じゃない、梅雨という季節だったのでC君の一言から、クラスの皆で考えるきっかけとなりました。
 お家でもお子さんの一言に気付かされたり、面白い疑問をぶつけてくれることがあるかもしれません。時には答えに窮するような疑問もあるかもしれませんが、その時にはお子さんと一緒に考えてみてはいかがでしょうか。長い夏休み、是非お子さんの一言に耳を傾けてみてください。

 ドキドキの入園式から始まった園生活も1学期を終え、年少組のお子さん達はそれぞれ大きく成長しました。9月から始まる2学期も、またお子さん達との毎日を楽しみにしたいと思います!!

2024年8月2日公式ウェブサイトに掲載

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