【詩】 指
片方の腕が使えないと
急に視界が変わります
ただの一度も涙を流さず
骨の砕けた痛みに耐えながら貴女は
大丈夫だから、と
そういって笑います
蒼白な顔と動かない腕
器用に働いていた指先は
静かな眠りについています
着替えを手伝う私
身体を拭いて清めます
申し訳なさそうに肩をすくめる影を
打ち消すように私は笑います
子どもたちのことが心配だ、と
貴女は何処までも人の為に生きています
私が貴女を護りましょう
子どもたちのことは大丈夫です
手術を終えて無事に帰ってくるまでの間
必ずこの子たちを護ります
触れた指先、約束の証に。
ー了ー
拙作にお付き合い頂き誠にありがとうございました。願わくは、事故のない社会を。
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